このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

ここから本文です

サイト内の現在位置

取り組み・活動:大学案内

総合コミュニケーション科学とは

図1. 人と社会と自然の営みにおけるコミュニケーション

本来、人と社会と自然は、物・エネルギー・情報のやりとりをしている(図1 参照)。代表的な相互作用が、人と人との間で思考をやりとりする言語活動である。私たちは、この言語活動を一般にコミュニケーションと呼んでいるが、他にもさまざまなコミュニケーションが存在する。
例えば、私たちの身体を構成している細胞同士、または細胞とさまざまな外部刺激との間でも、機能性タンパク質や脂質を介した細胞間コミュニケーションや、神経伝達物質やホルモンを介した情報伝達としてのコミュニケーションが交わされており、その結果として、DNA から遺伝情報が読み出され多種多様なタンパク質が合成されている。レビ=ストロースは、物の交換が社会を構成させる要因であると言っているが、貨幣も経済活動を通して社会を成り立たせる重要なコミュニケーションの手段である。また、太陽からの光・熱エネルギーは、生命活動を維持する上でなくてはならないものであり、地球上に現存するあらゆる種を誕生させた大きな要因の一つである。
総合コミュニケーション科学は、情報のやりとりだけではなく、物やエネルギーの交換も含めた相互作用を広い意味での「コミュニケーション」と捉え、このコミュニケーションの在り方を考える学問である。

文明の発達した現代では、こうしたコミュニケーションを媒介する人工物(図1 参照)の役割が増大している。地球環境を健全に持続させ、安全安心な社会を構築し、人々が心豊かに暮らしていくためには、人工物を含めた人と社会と自然における相互のコミュニケーションが円滑に進められることは何にも増して重要である。
科学技術の飛躍的発展によって人工物の比重が高まり、人工物自体もますます複雑化していくこれからの時代においては、コミュニケーションに関わる学問を個別に推し進めるだけでは限界がある。また、人工物が適切に機能しなくなれば、本来のコミュニケーションを阻害することにもなりかねない。
卑近な例を挙げれば、携帯電話の普及によって、外出先で待ち合わせ場所や時刻の確認・変更等が容易になった。しかしながら、先頃の東日本大震災の直後に、多くの基地局が津波に流され、電源が喪失し、通信が殺到したため、携帯電話がほとんど機能しなくなったことは記憶に新しい。この事例は、想定外の事態に見舞われる場合には、人工物がかえって本来の素朴なコミュニケーションを阻害する要因になり得るという典型的な例であろう。このことは、人工物は本来のコミュニケーションを促進する一方で、在り方や状況によってはコミュニケーションに困難をきたす原因になるというネガティブな側面を示している。

総合コミュニケーション科学は、人工物を含む人と社会と自然におけるコミュニケーションを、それらの本質と意義を正しく理解して機能的に向上させるにはどうしたらよいかを考える総合的な科学と技術である。

図2. 人、社会、自然に関わる既存学問領域

総合コミュニケーション科学を推進するために、まず、人、社会、自然に関わる既存の学問領域を概観してみることが重要である。図2は、代表的な既存学問領域を、人、社会、自然との関連において図示したものである。
それぞれの学問領域は、さらに細目分野から構成されている。一例として、工学に属する細目分野を吹き出しに示した。哲学と数学は、基盤的学問領域として他の学問領域とは異なる範囲に属し、あらゆる学問領域の基礎をなすと考えられる。
その他の学問領域は、人、社会、自然のいずれにより深く関わるものであるかに応じて平面的に配置されている。もちろん、それぞれの学問の捉え方によっては配置の仕方も変わるであろう。そのことは、取りも直さず、それぞれの学問が、人、社会、自然のいずれか一つにだけ関係しているのではなく、程度の差はあれ、全てに関係していることを意味している。このことは、従来のように理工系、人文社会科学系といった学問の2大区分に従っていたのでは、人と社会と自然のコミュニケーションを捉えるのが困難であることを示すものである。

総合コミュニケーション科学は、こうした既存の個別学問領域をよりどころに、コミュニケーションという視座からの新たな研究開発を通して互いの関連性を明らかにするとともに、それらを複合・融合させた新しい学問の創出や、社会的課題を解決する総合的な科学と技術の構築を目指すものである。

大学案内トップ