このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

ここから本文です

サイト内の現在位置

学長室から:大学案内

平成28年度 学域(学部)入学式

2016年4月6日
福田 喬

皆さん、おはようございます。

電気通信大学情報理工学域へのご入学、誠におめでとうございます。ご来賓の学園活動後援会会長 長友貴樹調布市長、本学同窓会目黒会の野々村欽造会長、そして列席の役員、副学長、各部局長、および全教職員、在校生とともに、皆さんを心から歓迎します。
併せて、皆さんの勉学を今日まで愛情をもって励まし続けてこられたご家族や関係者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。会場の都合で、スクリーン越しのご挨拶となりますことをお許しください。

さて、皆さんをお迎えする今日は昨日と打って変わって晴れの良い天気となりました。昨日までの数日の雨は、草木にとっては春の潤いだったのでしょうが、桜の花にとっては少し過酷で、今日の入学式まではたして残っていてくれるかと、気を揉んでいたところです。でも頑張って、皆さんの入学をしっかりと待っていてくれたようです。
また、正門を入られたら、歓迎の噴水とともに、色とりどりのチューリップが、皆さんを迎えてくれたことと思います。それらは、地元調布市のボランティアグループの方々が、花壇を耕し球根を植え、肥料をやってお世話してくださったものです。
その調布市と本学は友好協力協定を結んでおり、市や市民の皆様といろいろな交流があります。皆さんのご父兄に会員となっていただいている「学園活動講演会」からは、大学行事や学生行事、さらに、皆さんの海外留学やゼミ合宿、課外活動など、多岐に渡るご支援をいただいておりますが、その後援会の会長を調布市長にお願いしているのも、友好協力の一環です。皆さんも、地元調布市の方々との交流に積極的に参加して下さるようお願いします。

この春、本学情報理工学域は、新入学生760名、3年次への編入学生39名、合計799名の方々をお迎えしました。その中に女性の方は105名おいでで女性比率は13.1%となります。1年生の方だけで見ると101名で13.3%です。本学は他大学の工学系学部と同様に永らく女子学生比率は低い値にとどまっていて、1つの学年で女子学生数が100名を超えたのは3年前が初めてでした。以降、今年で4年続いての100名突破です。ほっとしています。ただし、もっともっと女子学生比率を高める必要があると考えています。それは、多様な視点や優れた発想を取り入れて、均衡のとれた、そして持続発展可能な社会を形成し維持してゆくためには、産業の中核を担う理工学の分野での女性の活躍をもっともっと広げなければならないからです。近い将来には本学における女子学生比率を、せめて20%程度にまで引き上げたい、そのためにはもっともっと多くの女性に本学を知ってもらい、チャレンジしてもらいたいと望んでいます。
また、新入学者の中には、留学生の方が26名いらっしゃいます。言葉、文化、制度、習慣さらに常識など、様々な面で大きく異なる環境で修学されることは、邦人学生とは比べものにならないほど大変だろうと思います。それにひるまず来日し、しかも本学を志望され入学された方々の前向きさを大いに称えたいと思います。
さらに、今年は社会人の方も15名、夜間主のコースである先端工学基礎課程に入学されました。いろいろなお考えの下に、大学教育を受けようと決断されたのだと思いますが、社会人としての立場を維持しつつ夜間主の課程で修学することを決断されたことに対して、敬意を表します。皆さんがそれぞれに描いておられる修学目標が最大限達成されるよう、私たちも精一杯支援いたします。

ところで、本日、皆さんは電気通信大学の一員となられました。そこで、電気通信大学とはどういう大学かを話させてください。それは本学の名称の由来にも関係しているからです。
皆さんも聞いたことがおありと思いますが、1912年(大正元年)に、北大西洋でイギリスの客船タイタニック号が痛ましい海難事故に遭いました。この事故を契機として、世界では、海上交通における安全確保の重要性が課題視され、特定船舶に無線通信設備の設置、無線通信士の配置を義務付けようとする動きが起こりました。日本も少し遅れてそれに呼応し、1918年(大正7年)に、現在の東京都港区に無線通信士の養成機関が創設されました。それが、社団法人電信協会が管理する「無線電信講習所」です。そしてこの講習所が、本学のルーツに他なりません。
その後、この講習所は逓信省、これは今の総務省に相当しますが、その逓信省の所管となって官立化し、次いで文部省へ移管され、1949年(昭和24年)の国立学校設置法の施行により「電気通信大学」の名で大学として出発しました。すなわち、本学の名称にある「電気通信」はそのルーツである無線通信士養成機関の名称の「無線電信」を引き継いだものです。ですから、当然のことながら、地名を含んでいません。これは、学部を持つ国立大学の中で唯一のものです。
このような由来の大学名称ゆえに、本学は電気および通信の分野のみに特化した大学と思われがちですが、開学後の社会・経済の成長、および高度情報化社会の進展と共に、専攻分野の拡充がなされ現在に至っています。今では、情報・通信・電気・電子を中核としつつ、メディア、ロボティクス、機械工学、計測制御、さらに、物理工学、材料科学、生命科学、光科学など、理工学の基礎から応用まで、広範な分野で教育と研究を進めています。
そして、本学は、1918年の創設された「無線電信講習所」をルーツとしていることから、2年後の2018年(平成30年)に、創立100周年という大きな節目を迎えることになります。

その本学の理念、ビジョンに、触れておきたいとおきます。
本学は、人類の持続的発展に貢献する知と技の創造と実践を目指し、3項目からなる理念を掲げています。第一は、万人のための先端科学技術の教育と研究、第二は、自ら情報発信する国際的研究者、技術者の育成、そして第三は、時代を切り拓く科学技術に関する創造的活動と、その実践を通しての社会との連携です。
この理念の下、本学は、先ほど触れた、100周年およびその先に向けた挑戦として、「UECビジョン2018」を掲げています。このビジョンの根幹を成す考え方は、「人々が心豊かに生き甲斐を持って暮らせる持続発展可能な社会の実現には、人、自然、社会、人工物に関する正しい理解の下、それらの間の、もの、エネルギー、情報の交換を含む適正な相互作用に基づいた価値の創造、イノベーション、が不可欠である」というものです。
そして本学は、そのようなイノベーションをもたらすための幅広く総合化された科学技術体系を、「さまざまな事象間の相互作用を広義のコミュニケーションと捉え、関連する個別の学問、要素技術を総合的に適用し課題解決を図る」との視点から「総合コミュニケーション科学」と呼び、それに関する教育研究の世界拠点となることを目指すことを宣言しています。

さて、この春、本学は、そのビジョン実現の一環として、教育研究組織を改組再編し、新しい教育体制でスタートしました。皆さんはその新しい体制の一期生ということになります。その新体制では、これまでの「学科」が「類」に再編されています。専門分野をあらかじめ限定してしまうきらいのある「学科」に対して、「類」は、教育研究の方向性や特色に即して、専門分野の横断や跨りを自在に生み出させるような緩やかな括りとなっていて、以て広範な領域の学びを可能にするものとなっています。そして、「学科」をなくすために「学部」という呼称もそぐわないことから、「学域」と称することとしています。情報理工学域です。
「類」は情報系、融合系、理工系の3つに分かれており、その選択は基本的に学修者自身の意志で決定できることになっています。そして3年次からは3つの類に用意された全部で14の専門教育プログラムから一つを選択し、それぞれの希望・資質に合った専門性を究めていくことになります。それらプログラムは、学士課程から博士前期課程までつながっており、「科学技術の深化と階層性に依拠する積み上げ型の教育」と「学際・融合領域の開拓・実装を背景とする目的指向型の教育」を有機的に絡み合わせたプログラムとなっています。 このように、学修者にとって選択の自由度が高く、そのためには自律的、探求的な学びの姿勢がどうしても必要であり、そのような学びを通じて幅広い視野と自ら学び行動する力を醸成すること、これが新教育体制の大きな特徴です。
当然の事ですが、世の中に生起する課題のほとんどは、閉じた学問分野とは無関係に存在します。実世界の現象は、それが自然現象であれ社会現象であれ、一つの学問分野でまかないきれるほど単純ではありません。したがって、将来、社会を先導する立場となる皆さんには、基盤となる高度な専門性に加えて、学際的、複眼的な思考力と実践力が求められることになります。
私たちはそのための学修環境を提供し、全力で皆さんをサポートしてゆきます。学びの主役は皆さんです。頑張ってください。

本学では、また、いろいろなことへの挑戦を志向する人向けに、「UECグローバルリーダー育成プログラム」という学士・修士一貫の教育コースを各専門教育プログラムの中に配置しています。この「UECグローバルリーダー育成プログラム」では、通常よりも半年ほど早く研究室配属や卒業研究着手を認めるという弾力的な履修環境を提供し、学域卒業までに生まれる半年程のギャップ期間を利用して、国内外への短期留学やアカデミックインターンシップなどへチャレンジできるオフキャンパス研修を用意しています。基礎学力の上に深い専門知識と創造力を身に付け、幅広い視野と世界の人々と交流できるコミュニケーション能力を備えた、グローバル化の時代を牽引し未来を切り開いて行くことのできる逞しい人材を、育成しようとするものです。
ただし、このUECグローバルリーダー育成プログラムを履修するには、学業成績と志に関するある条件のクリアが必要です。詳しい説明はオリエンテーションなどでなされると思いますので、情報を収集してよく検討した上で、多くの人がチャレンジしてくださることを期待しています。

話は変わりますが、3年前(平成25年度)、文部科学省は、世界水準の優れた研究大学を増強して我が国全体の研究力強化を図ることを目的とした「研究大学強化促進事業」を創設しました。そして全国の国公私立大学と大学共同利用研究機関、合わせて約780の大学・研究機関の中から、研究力に関する客観的指標に基づいて、19の大学と3つの研究機関を、集中的に支援する対象として選びました。本学は、その19の大学の1つに選ばれて、世界トップレベルとなることが期待できる大学の一つであるとの評価を受け継続的な支援を受けています。本学は、今、この研究大学強化促進事業という追い風を得て、更に輝きを増すべく、研究力の強化と、その研究力を背景とした教育力の強化に取り組んでいるということも、お伝えしておきたいと思います。

ところで、本学電気通信大学の正式英語名称は、The University of Electro-Communications です。 頭文字からなるUECを略称としています。この頭字語UECをそのまま使って、先ほど述べた「UECビジョン2018」のスローガンを作っています。それは、Unique & Exciting Campusです。 このスローガンは、「電気通信大学(UEC)は、世界中の個性豊かな、Uniqueな、若者が集い、楽しくてわくわくする、Excitingな、新しい知と個性を育てる学園、Campus、を目指します」という意味です。
覚えておいてください。

最後に、本学にはおよそ460名の教員とおよそ150名の職員、そして、皆さんを含めておよそ5,000名の学生がいます。在学中に、いろいろな人と出会って生まれる人間関係は、将来きっと皆さんの人生を彩り深いものにすることでしょう。勉強や研究の場でつながりを持つ人のみならず、課外活動やその他のいろいろな出会いを大切にし、自ら進んで人間関係を広げ深めていって欲しいと思います。

我々教職員は、掲げる理念の下、ビジョン達成を目指し、本学の教育・研究環境をさらに充実させてゆきます。本日ご臨席のご家族や関係者の皆様には、お子様が学ぶこの電気通信大学への引き続きのご支援を頂けますよう、お願い申し上げます。

以上、皆さんのご入学をお祝いするとともに、皆さんが、Unique & Exciting Campusを合言葉に、充実した楽しい学園生活を送ってくださることを祈念して、私の歓迎の言葉といたします。

もう一度、電気通信大学へのご入学、誠におめでとうございます。

大学案内トップ