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学長室から:大学案内

平成30年度 学部卒業式

2019年3月25日
福田 喬

学部卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

ご来賓の本学学園活動後援会会長 長友貴樹 調布市長、本学同窓会目黒会の野々村欽造 会長、並びに本学名誉教授の先生方、そして列席の役員、副学長、各部局長、さらに全ての教職員、在学生とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。
また、本日は、卒業される皆さんのご家族やご関係の皆様が、会場の都合で、別室のスクリーン越しとなってしまいましたが、多数お集まりいただいています。卒業される皆さんは、これらの方々からの長年にわたるご支援に対して感謝の気持ちを、きまりが悪いなどと思わず、素直に伝えてください。私たちも、ご家族やご関係の皆様方のここに至るまでのご支援に対して御礼を申し上げるとともに、本日の喜びを分かち合わせていただきたいと思います。

さて本日、学士号を授与されたのは、743名の方々です。

その卒業される中には女性の方が89名おられます。全体の約12%にあたります。
女性の数を特出しすることに違和感を覚えられる方がおいでかもしれませんが、それは、均衡のとれた持続発展可能な社会を形成し維持するためには、情報分野および理工学分野における女性の活躍を、もっともっと広げなければならないとの考えからの現状把握のためとご理解ください。
本学では、かねてより、女子学生を増やしたい、構成比率をせめて20%程度にまで高めたいと様々な手を尽くしておりますが、さらに頑張らねばと思っております。そしてそのためには、何よりも、社会の様々な場所での本学女性卒業生の活躍を知ってもらうことが一番だと思っています。女性の方々は、ぜひ積極的にご自身が本学電気通信大学の卒業生であることをアピールするとともに、社会で活躍されて、後に続く人にとっての良きロールモデルとなって下さることを期待します。

卒業される方々の中には、また、留学生の方が18名おられます。
言葉はもちろんのこと、文化や制度、習慣、常識など、様々な面で大きく異なる環境下で修学することは大変困難であったろうと思います。それを乗り越えて本日を迎えられたことに対して、皆さんを称えたいと思います。

さらに本日の卒業生の中には、12名の社会人の方もいらっしゃいます。
夜間主コースである先端工学基礎課程を卒業される社会人の方々です。昼間の就業と夜間の修学を共に完遂されて見事に課程を修了されました。深く敬意を表します。

これで、本学の学士授与者数は、1953年に最初の学部卒業生を送り出して以来、累計で38,824名となりました。
すなわち、皆さんご自身にとっては、これまで、およそ3万8千名の先輩がいて、本学のこれまでの高い評価は、その先輩卒業生の社会での活躍に大きく依存していたと言っても過言ではなく、皆さんもその恩恵に浴していたわけです。これからは、皆さんも卒業生として加わり、合わせて3万9千名近くの活躍が、将来の本学の命運や後輩たちへの社会的な期待感にかかわってくるということになります。
活躍を期待しています。

ところで、本日皆さんにお話をする内容を整理していた折、皆さんが入学された4年前の、平成27年度入学式で何をお話したかを調べてみました。確か、イノベーションという言葉を取り上げて、「イノベ―ションを生み出す人材に最も必要とされるものは」という話をしたと思います。少し振り返らせていただくと、Harvard Business School の Clayton M. Christensen 達が著した「イノベータのDNA」という分析本に基づいて、イノベーションを生み出していくは「5つの基本的なスキル」が必要と言われていることを紹介したと思います。
5つの基本的なスキルの1つ目は「質問力」、それは、現状に異議を唱えることも含めて、質問によって物事の探究に情熱を燃やすためのスキル、2つ目は「観察力」、観察を通して新しいやり方のもとになる洞察やアイデアを得るためのスキル、3つ目は「ネットワーク力」または「人脈力」、多様な背景や考え方をもつ人たちとの幅広いネットワークを通じて、アイデアをみつけたり試したりするためのスキル、4つ目は「実験力」で、将来成功する方法について手がかりを得るには実験に勝る方法はないということ、そして最後の5番目のスキルは「関連づけて思考する力」で、一見無関係に思える物事を結びつけて独創的なアイデアを生み出して行くというスキルとされている、というお話をしたと思います。
Christensenらの著書には、また、「イノベーションに取り組む勇気」を持っているということも重要と述べられていました。その勇気とは、「現状を変えたいという意思」と言っても良いかもしれません。そして「リスクをとる勇気」とも言えるでしょう。失敗するかもしれないという危険性を認識した上で自らの責任で果敢にリスクをとるということです。
結論として、現状を変えたいという意思を常に持ち、「質問力」「観察力」「ネットワーク力」「実験力」を駆使していろいろなアイデアを蓄積し、あえてリスクをとる勇気を発揮できる者がイノベータとなり得る、と言われており、そしてそれらこそが大学で身につけるべき高度な教養というもので、専門性を太く高くするための欠くことのできない重要要素である、大いに研鑽してください、と話をしたと思います。
本日卒業して社会に出られる方も、また、これから大学院に進まれる方も、ぜひこれからも、リスクを恐れず研鑽に努めてください。

正直なところ、失敗は誰にとっても避けたいもので、それをもたらす可能性の高いリスクは怖いものです。でもリスクを恐れていては前に進めず成功を手にすることはできないでしょう。
アップル創設者のスティーブ・ジョブズは言っています。「成功と失敗の違いは、途中であきらめるかどうかに依存する」と。
経営学者であるピ-ター・ドラッカーは言っています。「優れた者ほど間違いは多い。それだけ新しいことを試みるからである。間違いをしたことのない者は凡庸である上に、いかにして間違いを発見し、いかにしてそれを正すかを知らないだけである」と。

社会は、今、進展するグローバル化の中で、我が国の将来を展望して優れたリーダーシップを発揮し、イノベーションを引き起こしてくれる人材を求めています。特に高度理工系人材の活躍を待っています。どうか皆さん、社会的・世界的課題に着目できる人材、次世代の技術開発のテーマ設定ができる人材として社会に貢献してください。本日、卒業式を迎えられた皆さんは、入学時から努力を重ね、間違いなく変化をとげ成長されてきました。その証が先ほど授与した卒業証書・学位記です。電気通信大学は、皆さんが学士にふさわしい技術者としての実力を備え、学士にふさわしい教養と人格を備えていることから、それを社会に向けて保証したのです。
期待しています。

最後に、昨年、本学は、前身組織である無線電信講習所の創設から数えて100年の節目を迎え、創立記念日の12月8日に、産学官各界の代表者、並びに卒業生、本学退職者、本学現役教職員、学生など、400名近くの関係者にご出席いただいて、記念式典と祝賀会を盛大に執り行いました。文部科学大臣のご祝辞をはじめとし、多方面から、激励や期待を込めた暖かい言葉も頂戴しました。
この100年という節目に立つことは次なる節目に向けた船出に臨むことに他なりません。そのための決意を本学全構成員で共有すべく、100周年標語なるものを打ち出しています。 “ひらけ、INNOVATION!” です。 冒頭の「ひらけ」は意図的に平仮名表示としています。それは、そこに漢字を当てはめようとすると、“門を開く”や“新しく始める”の意の「開け」であったり、“未開の地を拓く”の「拓け」であったり、また、“人の目を啓いて解らないことを理解できるようにする”の意の「啓け」であったりと、いろいろな意味の「ひらけ」が浮かんでくるからです。そして、この多重の想いを込めた標語、“ひらけ、INNOVATION!”の下、「総合コミュニケーション科学に関る教育・研究のダイナミズムの下、知の創造拠点であり続け、その知を社会に還元し続ける」ことを決意表明としています。皆さんもぜひ、この周年記念スローガン “ひらけ、INNOVATION!” を心に留めて、今後も卒業生としての本学へのサポートをどうかよろしくお願いします。

また、本学では、大学と卒業生の絆をさらに強固にするために、生涯メイルシステムを起動しています。このシステムは、卒業生・修了生・退職教職員のすべてにUEC生涯メイルアドレスを無料で提供するもので、生涯にわたり、様々な電通大関連情報の配信や、恩師、同窓生、友人などからの連絡を受け取ることができる、メイル転送サービスです。大学を去られる前に、ぜひ、生涯メイルへの登録を済ませておいて頂けるようお願いします。

さらに本学では、国立大学への国庫交付金が毎年縮減するという昨今の状況に鑑み、大学の財政基盤をより強固にして、学生諸君への奨学支援や国際交流支援などを充実させるために、UEC基金を立ち上げています。このような基金の維持、充実には、大学に一番繋がりの深い同窓の方々にご理解ご協力を頂かなくてはなりません。どうか皆さんも、UEC基金への募金にぜひご協力ください。ただ、学生時代に貸与型奨学金を受けていて、その返済が始まるので寄付は無理だという方もおいででしょう。そのような場合はUEC基金への募金呼びかけ活動に、ぜひご協力いただきたく、お願いいたします。

この卒業式で一つの区切りをつけ、新しいスタートラインに立つ皆さんを、電気通信大学はこれからも応援します。卒業後も、ときに母校を訪ね、電気通信大学を人生の基軸の一つとして、多くの友人や教職員と語らい、 同窓会活動の場、生涯の学習の場として、積極的に活用してください。皆さんが人生の困難に直面したときなど、一層の知識や経験が必要となるでしょう。そのような場合には、皆さんが学んだこの電気通信大学を思い出してください。そして気軽に大学を訪れてください。電気通信大学との縁は、同窓会や生涯の学びを通じてこれからも続きます。この大学で出会った多くの友人や教職員が、これからも皆さんの力となること忘れないでください。

では、本日学部を卒業される743名の皆さんが、それぞれの目的に合った場所を見つけ、自らの学習や研究の成果を生かして、いきいきとご活躍されることを願い、私のお祝いのことばとさせていただきます。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。

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