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学長室から:大学案内

平成30年度 大学院修了式

2019年3月25日
福田 喬

情報理工学研究科および情報システム学研究科修了の皆さん、修士並びに博士の学位取得おめでとうございます。

ご来賓の本学同窓会目黒会 野々村欽造 会長、並びに本学名誉教授の先生方、そして列席の役員、副学長、各部局長、さらに全ての教職員、在校生とともに、学位研究に取り組まれてきた皆さんの努力とその成果に、心から敬意を表します。
また、参列されているご家族やご関係の皆様にも、心よりお慶び申しあげます。

本日、修士号を授与されたのは、情報理工学研究科が511名、情報システム学研究科が1名の、合計512名の方々です。課程博士号を授与されたのは、情報理工学研究科が20名、情報システム学研究科が1名の、合計21名の方々です。なお、本学では、博士号学位授与を6月、9月、12月の各期でも行っており、今年度各期に授与された方は16名おいでですので、今年度としては、課程博士授与者 トータル37名となります。また、博士号については、課程に在籍せずに学位申請論文を本学に提出し、審査を経て学位が授与される、課程修了によらない学位申請、通称、論文博士申請、というシステムもあり、今年度は1名の方にこの論文博士学位が授与されています。

したがって、本学に大学院が開設されて以来の累計をお示ししますと、修士号を授与された方は13,845名、課程博士号を授与された方は976名、論文博士号を授与された方は139名となっています。

ところで、今年度に修士号を取得された512名の中には40名の留学生の方が、博士号を取得された37名の中には10名の留学生の方が、それぞれいらっしゃいます。言葉はもちろんのこと、文化や制度、習慣や常識など、様々な面で大きく異なる環境の下で研究に取り組まれるのは、大変困難であったろうと思います。それを乗り越えて学位を取得されたことに対して、皆さんを大いに称えたいと思います。

さらに、今年度の学位取得者の中には、修士で2名の、博士で14名の社会人の方がいらっしゃいます。社会に出られた後に学位取得を目指して大学院に戻ろうと決断された理由はいろいろであろうと思いますが、社会人としての立場を維持しつつ学位研究を完遂されて、見事に学位を取得されたそのご努力に敬服するとともに、改めてお祝い申し上げます。

また、先ほどの博士学位記授与の後で、「スーパー連携大学院コンソーシアムによるイノベーション修士サーティフィケート」の授与がありました。このことについて、少し触れておきます。
スーパー連携大学院というのは独立した大学院ではなく、全国に散らばる複数の大学が連携して推進している、イノベーション修士、イノベーション博士を養成する、博士前期課程および後期課程一貫の教育プログラムです。連携している各大学の大学院生の中から、学位取得に挑戦して修士又は博士になったら、企業や行政機関などアカデミア以外の広い分野で活躍したいと思っている人を、プログラム受講生として募集し、志願する学生の中から、志の高い人を審査した上で受け入れるというプログラムです。
このプログラムには、連携大学だけでなく連携する企業や行政機関が協力して組み上げた、幅広い知見を得るためのカリキュラムが用意されており、受講生はそれを履修して一定以上の成績を収め、単位を取得しなければなりません。また、学位研究は、産業界や大学以外の研究機関との共同研究として行われるものでなければなりませんし、その審査は、在籍大学の教員以外に他大学の教員や産業界の専門家を含む委員会で、行われることになります。
そして受講生は、在籍する各大学での学位審査と、スーパー連携大学院での学位審査の両方に合格すると、各大学から授与される修士号、博士号のほかに、イノベーション修士サーティフィケート、イノベーション博士サーティフィケートが授与されることになります。これらサーティフィケートは、実社会で創造的能力を発揮し活躍できる人材であるとの保証書です。
本日は、そのイノベーション修士の資格を得た3名の方に、それを証明する「イノベーション修士サーティフィケート」を授与した訳です。その3名の方、サーティフィケート取得、おめでとうございます。

さて、皆さんは、高度で先端的な専門性の高い研究の成果を、修士論文や博士論文としてまとめられました。すでにその分野の専門家です。しかし、社会では、先端的であるがゆえに、狭い領域の中での仕事である場合が多いと言われることがあります。したがって、皆さんのこれからの社会での役割を考えたとき、これまで取り組んできた領域から飛び出す果敢な勇気と柔軟性を持てるかどうかが、鍵のように思います。
一般的に、しばらく大学等での研究生活に没頭した人間は、ややも すると、自分の専門にこだわりがちになります。 が、実世界の現象は、それが自然現象であれ社会現象であれ、一つの学問分野でまかないきれるほど単純ではありません。当然の事ですが、世の中で解決が望まれている問題・課題は、それが重要な対象であればあるほど、個々の学問の領域とは無関係に存在します。したがって、ある問題・課題を解決しようとする場合、解決のためのアクションやプロセスには、なんらの制限も設けるべきではありません。ところが、人は、専門分野に秀でれば秀でるほど、自身がその分野を超えるということに対して抵抗を覚え、障害と感じる可能性があるのです。

そこで、本日授与された学位の意味を考えてみていただきたいと思います。
学位は、その根拠となった学位論文が扱う課題に関する知識や、扱った課題に対する解決の結果だけを問うたものではありません。根拠となった論文を一番の評価資料としてはいますが、もっと広く、一般的な意味での課題解決能力、それを評価し、認め、証したものなのです。したがって、学位を持つ人、とくに最高学位の博士号を持つ人は、自分が経験したことのない新しい課題にも取り組んでいける能力を、有しているとみなすべきです。
博士号の授与にあたっては、何ができるか又はできたかではなく、課題にどう取り組むかをプランする能力、及び、それを遂行してゴールに到達する能力が、評価されているのだと理解してください。

本日、修士課程を修了された皆さんの中の何人かは、更に上位の博士課程に進学されることになっていますが、残りの多くの方々は、そして博士課程を修了された方々は、この4月から、実社会に羽ばたかれます。その社会は、今、進展するグローバル化の中で、我が国の将来を展望して、優れたリーダーシップを発揮し、イノベーションを引き起こしてくれる人材を、求めています。どうか皆さんは、社会的・世界的課題に着目できる人材、次世代の技術開発のテーマ設定ができる人材として、社会に貢献してください。
繰り返しになりますが、課題にどう取り組むかをプランする能力と、それを遂行してゴールに到達する能力が評価されて、本日学位が授与されたということの自負を持ち、これからは、学位研究で主に取り組んだテーマの専門家としての域を超え、関連する専門領域全般の専門家として、活躍されることを期待しています。

以上の意味からも、本日修士号取得の段階で社会に出られる方は、近い将来、博士号をとるために本学に戻ってこられることを、期待しています。

最後に、昨年、本学は、前身組織である無線電信講習所の創設から数えて100年の節目を迎え、創立記念日の12月8日に、産学官各界の代表者、並びに卒業生、本学退職者、本学現役教職員、学生など、400名近くの関係者に出席いただいて、記念式典と祝賀会を盛大に執り行いました。文部科学大臣のご祝辞をはじめとし、多方面から、激励や期待を込めた暖かい言葉も、頂戴しています。

この100年という節目に立つことは次なる節目に向けた船出に臨むことに他なりません。そのための決意を本学全構成員で共有すべく、100周年標語なるものを打ち出しています。 “ひらけ、INNOVATION!”です。

冒頭の「ひらけ」は意図的に平仮名表示としています。それは、そこに漢字を当てはめようとすると、“門を開く”や“新しく始める”の意の「開け」であったり、“未開の地を拓く”の「拓け」であったり、また、“人の目を啓いて解らないことを理解できるようにする”の意の「啓け」であったりと、いろいろな意味の「ひらけ」が浮かんでくるからです。そして、この多重の想いを込めた標語、“ひらけ、INNOVATION!”の下、「総合コミュニケーション科学に関る教育・研究のダイナミズムの下、知の創造拠点であり続け、その知を社会に還元し続ける」ことを、決意表明としています。
皆さんもぜひ、この周年記念スローガン “ひらけ、INNOVATION!”を心に留めて、卒業生としての本学へのサポートを、今後もどうかよろしくお願いします。

また、本学では、大学と卒業生の絆をさらに強固にするために、生涯メイルシステムというのを起動しています。このシステムは、卒業生・修了生・退職教職員のすべてに、UEC生涯メイルアドレスを無料で提供するもので、生涯にわたり、様々な電通大関連情報の配信や、恩師、同窓生、友人などからの連絡を、受け取ることができるというメイル転送サービスです。
大学を去られる前に、ぜひ、生涯メイルへの登録を済ませておいて頂けるようお願いします。

さらに本学では、国立大学への国庫交付金が毎年縮減するという昨今の状況に鑑みて、大学の財政基盤をより強固にして、学生諸君への奨学支援や国際交流支援などを充実させるために、UEC基金なるものを立ち上げています。このような基金の維持、充実には、大学に一番繋がりの深い同窓の方々にご理解ご協力を頂かなくてはなりません。どうか皆さんも、UEC基金への募金にぜひご協力ください。ただ、学生時代に貸与型奨学金を受けていて、その返済が始まるので寄付は無理だという方もおいででしょう。そのような場合は、UEC基金への募金呼びかけ活動に、ぜひご協力いただきたく、お願いいたします。

電気通信大学は、新しいスタートラインに立つ皆さんを、これからも応援していきます。皆さんも、卒業後も、ときに母校を訪ね、電気通信大学を人生の基軸の一つとして、多くの友人や教職員と語らい、同窓会活動の場、生涯の学習の場として、積極的に利用・活用してください。そして、母校を温かく見守り、今後も、本学の教育研究活動の強化発展に向け、ご支援いただけますようお願いいたします。

以上、皆さんの活躍、電通大の発展、そして社会の持続的振興を祈念し、私のお祝いのことばとさせて頂きます。

本日は、修士並びに博士の学位取得、誠におめでとうございます。

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