ここから本文です

お知らせ

【メディアリリース】体の深部を探る世界初の近赤外発光基質を開発

2016年06月15日

本学の牧昌次郎助教(基盤理工学専攻)と丹羽治樹教授(脳科学ライフサポート研究センター)らは、東京工業大学の口丸高弘助教と近藤科江教授らと共同で発光酵素ホタルルシフェラーゼ(以下、F-Luc)の基質の開発を行い、体内深部からの発光シグナルを感度良く観察することができる近赤外光を産生する実用的な基質Aka-HClの開発に世界で初めて成功しました。

F-Lucを用いた発光イメージングは、世界標準の光イメージング技術で、小動物を用いた創薬研究には不可欠な技術となっています。しかし、自然界に存在するF-Lucの発光基質D-ルシフェリン(以下、D-luci) は、組織透過性が乏しい可視光領域の光を産生するため、これまで体内深部の観察には限界がありました。また、これまでに開発された近赤外発光を産生する基質は、産生する光が極端に弱かったり、水溶性が乏しく生体に応用できなかったり、F-Lucの変異体にしか反応しなかったりして、実用的ではありませんでした。

今回開発した基質Aka-HClは、水溶性にも優れ、マウスを用いた実験でD-luciよりも最大40倍高い検出感度を示し、近赤外光を産生できる世界初の実用的な基質です。この基質を利用することで、これまでの方法では検出されなかった小さな病変の観察が可能になるため、新規治療法や新薬の開発への貢献が期待できます。本成果は、ネイチャー・パブリッシング・グループのオンラインジャーナルNature Communicationsに6月14日に掲載されます。

    日本のがん研究については、『がん研究読本3』第3章をご参照下さい。
  • (新しいウィンドウが開きます)電子書籍 がん研究読本