【メディアリリース】小脳から記憶の謎に迫る -運動学習の分子実体が明らかに-
2018年08月17日
松田信爾准教授(基盤理工学専攻)らと慶應義塾大学の柚﨑通介教授・掛川渉准教授は、神経細胞間のつなぎ目であるシナプス(注1)において、情報の受け渡しをするグルタミン酸受容体(注2)の数を光照射によって人為的に制御する新技術を開発しました。この技術をマウスに用いることにより、シナプスでのグルタミン酸受容体の数が長期低下する現象(長期抑圧)(注3)こそが、小脳における運動学習(注4)の実体であることを明らかにしました。本技術を応用することによって他の脳部位での記憶・学習機能の解明にも迫ることができると期待されます。
- (注1)シナプス
神経細胞と神経細胞の連絡部位。シナプスの前側にある神経細胞からグルタミン酸等の情報伝達物質が放出され、シナプスの後側の神経細胞がこれを受け取ることにより情報が伝達される。 - (注2)グルタミン酸受容体
脊椎動物中枢神経系の最も主要な伝達物質であるグルタミン酸を受容するタンパク質。グルタミン酸の結合による構造変化によりチャネルが開きイオンを通過させるようになる。 - (注3)長期抑圧(LTD)
神経細胞間の情報伝達効率が長期に渡って低下する現象。Long-term depression。シナプスに存在するグルタミン酸受容体がエンドサイトーシスにより減少するために引き起こされる。 - (注4)運動学習
スポーツや楽器演奏など、繰り返しの練習によって体で覚える学習。運動学習には、おもに小脳が関わっている。
詳細は添付ファイルをご覧ください。
- (新しいウィンドウが開きます)小脳から記憶の謎に迫る -運動学習の分子実体が明らかに-(PDF:558KB)