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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】小さな細菌がもつ分子ものさし

2021年06月11日

中根大介助教(基盤理工学専攻)、見理剛室長(国立感染症研究所 細菌第二部)、西坂崇之教授(学習院大学 理学部 物理学科)らの研究グループは、ヒト肺炎の病原細菌に「分子ものさし」があることを発見しました。

ポイント

  • ヒト肺炎の病原細菌に「ものさし」として機能するタンパク質があることを発見した。
  • ものさし分子を人為的に 短く/長く 改変すると、接着器官という 300 nmの超分子構造が 短く/長く 変化した。
  • このシンプルな「かたち」のデザインは、この病原細菌によって引き起こされる感染症を理解・対策するための重要な情報となると期待される。

概要

マイコプラズマという細菌はもっとも小さくシンプルな生物の1つとして知られています。この小さな細菌は「接着器官」という超分子構造を形成して、我々の組織に付着して動くことで病気を引き起こします。この接着器官の長さは必ず 300 nm であることは知られていましたが、なぜ同じ長さを持つのかはわかっていませんでした。 論文の筆頭著者である中根助教らは、長さを一定に制御するための「分子ものさし」があるはずだと考え実験に取り組みました。接着器官を構成する巨大タンパク質に注目して、その分子の長さを 短く/長く 人為的に改変した変異株を作製しました。すると驚いたことに、それら変異株の接着器官が 短く/長く 変化していました。たった1つのタンパク質を遺伝子操作するだけで、超分子構造体の長さを自在に制御できることを示しています。このシンプルな「かたち」のデザインは、この病原細菌によって引き起こされる感染症を理解するための重要な情報となると期待されます。
この成果は米国科学誌 PLOS Pathogens に掲載されました。

電子顕微鏡の画像と模式図

電子顕微鏡の画像と模式図