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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】人の感情の振る舞いを数値で表すことに成功

2021年11月26日

ポイント

  • 心理学の情動定義に基づき、動的な感情モデルを作成
  • 人の意思決定における感情的な振る舞いを数値計算で表すことが可能に
  • 感情をもつロボットやAI、自動運転技術のドライバー支援などに応用が見込める

概要

電気通信大学大学院情報理工学研究科の小木曽公尚准教授らは、人間が意思決定をする際の感情的な振る舞いを数値計算によって表すことに成功しました。心理学における情動(感情)の定義に基づいて動的な感情モデルを作り、人の非合理的な意思決定を再現するモデルを提案したことによりこれを実現しました。
人の行動の数値例として、裁判事例(殺人事件)を扱い、提案したモデルが人の行動を再現できることを確認しました。感情をもつロボットやゲームの人工知能(AI)キャラクター、自動運転技術におけるドライバーの判断支援などへの応用が期待できます。
人と工学システムが共生、協調していく上で、人の選択する行動を予測することは、人に寄り添うシステムを構築するための重要な手段になります。その中でも、感情は人の非合理性を誘因するものの一つであると考えられます。人の意思決定プロセスへの影響を考慮した感情の動的な振る舞いを数理モデルで表すことができれば、人の行動予測や人と機械が共生するシステムの実現に役立つと考えられます。
成果は国際学術誌「Mathematical and Computer Modelling of Dynamical Systems」に掲載されました。

今後の期待

人の非合理的な意思決定を再現するために感情ダイナミクスを定式化しました。裁判所の記録に基づく実例への適用では、提案モデルが人間の非合理的な行動を再現することを示し、また提案モデルが正しいと仮定したときに、モデルが非合理的な行動選択の回避策を検討できることを確認しました。今後の課題として、モデル化する際のパラメータチューニングの基準の明確化やモデルの妥当性の検証などが挙げられます。
応用面では、感情をもつロボットや、ゲームのAIキャラクター、自動運転技術のドライバー判断支援などといった、人の行動予測や人と機械が共生するシステムの実現に役立つと考えられます。

提案した意思決定モデルの概略図

提案した意思決定モデルの概略図

(論文情報)
雑誌名:「Mathematical and Computer Modelling of Dynamical Systems」
論文タイトル:Emotion-involved human decision-making model
著者:Kaede Iinuma, Kiminao Kogiso
DOI番号:10.1080/13873954.2021.1986846

(外部資金情報)
本研究は、挑戦的研究(萌芽)JP21K19762(2021-2022)の助成を受けて行いました。

詳細はPDFでご確認ください。