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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】30分の睡眠で脳の記憶力と処理速度の改善効果が得られる室内の温熱制御を確認
実際のオフィス環境での有用性を検証する実証実験を『point 0 marunouchi』で開始

2022年01月25日

概要

髙玉圭樹研究室(情報学専攻)は、効果的な短時間睡眠による生産性向上の実現をめざして、ダイキン工業株式会社と共同で「日中の仮眠における最適温熱制御」の研究を進めてまいりました。このたび、日中の仮眠に適した温熱制御を見つけ出すとともに、30分の睡眠時間でも起床後の脳の処理速度と記憶力を改善する効果が得られることを確認しました。
また、両者はこのたびの研究結果をもとに「仮眠体験システム」を構築し、株式会社point0が運営する会員型コワーキングスペース『point 0 marunouchi』において、実際のオフィス環境での有効性を検証する実証実験を開始します。

共同研究および実証実験の背景

近年、人々の睡眠時間は減少傾向で、20代以上の男女のうち70%以上が平均睡眠時間7時間を下回り、20代から50代の30%以上が生産性の低下につながる「日中の眠気」を週3回以上経験しています。こうした眠気の解消方法のひとつとして「仮眠」が有効とされています。昨今の働き方の多様化で比較的仮眠が取りやすくなる中、両者は2020年1月より、生産性向上につながる効果的な仮眠に適した温熱環境を探る「日中の仮眠における最適温熱制御」の共同研究を開始しました。
両者は、今回の共同研究と実証実験を通じて、覚醒度が強まる日中の時間帯でも快適で効果的な仮眠を実現する温熱制御技術の開発をめざします。

これまでの共同研究の概要

日中の眠気による生産性低下の改善には30分以内の短い仮眠が推奨されています。本共同研究では、30分間の睡眠状態を「入眠前・睡眠中・起床」の3段階に分け、脳波測定器で検知した睡眠状態に応じて実験ブース内の空調を様々に制御することで、「速やかな入眠」、「適度な深さで安定した睡眠」、「眠気の残りにくい起床」を実現できる温熱制御を検証しました。
2020年1月から2年間の検証により、湿度40%から60%の一般的なオフィス空間では、室温を27℃にすると入眠までの時間が短くなる傾向が見られたことや、入眠後に室温を26℃に低下させると10分後にはノンレム睡眠(睡眠段階2)に到達したこと、起床の3分前に室温を27℃以上にすると睡眠深度が浅くなる傾向が見られたことを確認しました。また、これらの温熱制御により、起床後には脳の処理速度と記憶力を改善する効果が得られたことも確認できました。

「仮眠体験システム」の概要

「仮眠体験システム」の概要

詳細はPDFでご確認ください。