このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

国立大学法人 電気通信大学

ここから本文です

お知らせ

【ニュースリリース】透明物体の内部や曲がった反射面上に歪みのない空中像を表示する手法を開発

2022年04月14日

ポイント

*レイトレーシング法を用いた透明物体や反射面形状による空中像の歪みの補正手法を開発
*実物体の内外に動的かつフルカラーの映像を表示可能
*平面にとらわれない新たなディスプレイ形状の探求が期待される

概要

小泉直也准教授(情報学専攻)らの研究グループは、コンピュータグラフィックス(CG)の手法であるレイトレーシング法を用いて、屈折面の内側や反射面上に歪みのない空中像を表示する技術を開発しました。これによって実物体の内外に動的かつフルカラーの映像を表示できるようになり、平面にとらわれない新たなディスプレイの実現が期待されます。
特殊な光学素子を用いて実空間の何もない中空にデジタル映像を表示する空中像表示技術の開発が進み、実空間においてCGキャラクターなどとのインタラクションが実現されつつあります。一方で、曲がった鏡上や水晶玉の内部といった屈折面の内側や反射面上に空中像を表示する際には空中像が歪んでしまうという問題がありました。
そこで今回、小泉准教授らは、レイトレーシング法によるシミュレーションを用いて、歪みのない空中像を表示させる光線経路を計算し、これを実際の空中像光学系に適用して歪みが補正されたきれいな空中像を表示させることに成功しました。将来、例えばガラスの彫刻や大理石などの反射面をデジタルサイネージとして活用することなどが可能になると見込まれます。
本研究の成果はバーチャルリアリティに関する国際学会「IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces 2022」で発表しました。

(上)透明物体内部の空中像歪み補正・(下)反射面上の空中像歪み補正

(上)透明物体内部の空中像歪み補正・(下)反射面上の空中像歪み補正

今後の期待

屈折面の内側や反射面上に歪みのない空中像を表示できるようになれば、実物体の内外などに動的かつフルカラーの映像を表示できるようになります。将来、ガラスの彫刻や大理石などの反射面をデジタルサイネージとして活用するなど、従来のような平面上だけではない新しいディスプレイの可能性が開かれると期待されます。

(学会情報)
「IEEE Conference on Virtual Reality and 3D User Interfaces 2022」
著者: 木内 舜司、小泉 直也

(特許情報)
特願2021-017987 空中像生成装置 
「歪み補正関数生成方法及び空中像生成方法」木内 舜司、小泉 直也(出願日:2021年02月08日)

(外部資金情報)
一般財団法人キヤノン財団 研究助成
「空中映像産業の基盤技術としての建築調和型空中像光学系の構築」

詳細はPDFでご確認ください。