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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】肺炎の病原細菌が遡上することを発⾒

2022年07月15日

ポイント

● ヒト肺炎の病原細菌であるマイコプラズマは我々⾼等⽣物に寄⽣し動きまわる。
● この運動は今から80年前に発⾒されたが、何のために動くのかは不明であった。
● 本研究では、この小さな細菌が水流の流れに逆らって運動することを発⾒した。
● 「風見鶏」のように、流れを受けると細菌が上流に向かって配置する。
● これにより宿主表面にある「流れ」を利⽤して⾃⾝の⽬的地に到達するのだろう。
● この発見はマイコプラズマ肺炎の治療法を考える上で重要な新しい視点を与える。

概要

中根⼤介助教(基盤理工学専攻)、⻄坂崇之教授(学習院⼤学理学部)らの研究グループは、ヒト肺炎の病原細菌が「⾛流性」を⽰すことを発⾒しました。この成果は⽶国科学誌 PLOS Pathogens に掲載されました。

今後の期待

⾛流性は、この病原細菌によって引き起こされる感染症を予防・対策するために重要な情報となると期待されます。マイコプラズマは寄⽣性の細菌であるため、宿主の表⾯から流されてしまうと、単独では⽣存することはできません。流れに逆らうことで、⾃⾝の⽣存に適した環境へと移動するのでしょう。今回発⾒された⾛流性が実際にどれほど感染プロセスに貢献しているのか、これから⼗分に調べてゆく必要があります。筆頭著者である中根助教は「流れをうまく利⽤して⽬的地に到達するのは⾮常にかしこい戦略だと⾔えます。マイコプラズマが何のために動いているのか、⻑年の疑問でした。今回発⾒した⾛流性は、この⼩さな細菌が動く意味そのものだと⾔えるのかもしれません。」と述べています。

(論⽂情報)
著者名: Daisuke Nakane, Yoshiki Kabata & Takayuki Nishizaka
論⽂名: Cell shape controls rheotaxis in small parasitic bacteria
雑誌名: PLOS Pathogens 18: e1010648
DOI: 10.1371/journal.ppat.1010648

研究サポート
本研究は、科研費 基盤C 21K07020, 学術変⾰B 22H05066 等の⽀援を受けて⾏われました。

流れに逆らうマイコプラズマのイメージ図

流れに逆らうマイコプラズマのイメージ図

(動画:14秒)

詳細はPDFでご確認ください。