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受賞・表彰

武田光夫名誉教授がHumboldt Research Award を受賞

2012年11月29日

ドイツのアレキサンダー・フォン・フンボルト財団は、武田光夫名誉教授へ本年度のHumboldt Research Awardを贈ることを発表しました。同賞は、ドイツ政府の国際的学術活動機関であるアレキサンダー・フォン・フンボルト財団が創設した賞であり、人文、社会、理、工、医、農学の各分野において、基本的な発見もしくは新しい理論によって後世に残る重要な業績を挙げ、今後も学問の最先端で活躍すると期待される国際的に著名な研究者に対して授与されるものです。
本学からはこれまでに2010年に小林孝嘉特任教授(先端超高速レーザー研究センター)が受賞しています。

武田名誉教授のフーリエ変換縞解析法は米国光学会誌で最初の提案以後、米国光学会誌の最初の論文は2,000件、第2論文は1,000件以上の引用がなされ、武田名誉教授ご自身と世界の多くの研究者における改良と応用の開拓によって、以下の先端計測分野での極限物理計測に新しい可能性を切り拓きました。
今回の受賞の対象となった研究は、 ” Pioneering work in development and establishment of Fourier Fringe Analysis ”です。
これは、以下の研究・開発と関連する分野に極めて大きなインパクトを与えました。

(1)サブナノメータの極限波面計測
フーリエ変換法をEUV(極端紫外光)リソグラフィー光学系の波面収差計測に応用し精度0.1nmの波面収差計測を実現。
(2)サブフラクソイド感度をもつ極微弱磁場計測
外村彰氏らの協力によりフーリエ変換縞解析法を電子線ホログラフィーに応用し、フラクソイドの1/20の感度をもつ極微弱磁場計測を実現。
(3)サブオングストローム格子歪計測
高分解能透過電子顕微鏡の格子像にフーリエ変換縞解析法を適用することによる超高感度格子歪計測法を提案。この方法によりHytchらはシリコン結晶の0.03オングストロームの格子歪の検出に成功。
(4)アト秒からフェムト秒領域の超短光パルス計測
フーリエ変換縞解析法はIaconisとWalmsleyによるSPIDERと呼ばれる超短光パルス計測法の核となる技術要素として用いられ、アト秒からフェムト秒領域の超短光パルスの解析に新しい可能性をもたらした。

武田名誉教授は本学を2012年3月に定年退職後、宇都宮大学オプティクス教育研究センターの特任教授として研究活動を継続しており、2013年にはフンボルト財団からの招聘によりStuttgart大学の光工学研究所に滞在し国際共同研究を行う予定です。