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 HOME > 岩澤実行委員長からの総括

アジア学術セミナー組織委員長挨拶

 

岩澤 康裕

国立大学法人 電気通信大学 大学院情報理工学研究科 教授

 

 

 日本学術振興会(JSPS) の国際事業「アジア学術セミナー」は、時代の最先端の重要学術課題を選び、その分野の研究に従事するアジア各国の博士課程大学院生や若手研究者を招待し、最新の学術動向について、世界から選出された講師陣によるレクチャーを聴講し、併せて、具体的課題と解決・方策のスクーリング等を通して、講師との討論、受講生相互の交流により、次世代のアジアの学術を担う精鋭を養成する目的を持っています。日印科学評議会において、2010年度のアジア学術セミナーは「表面・界面科学領域」から計画することが提案・合意され、その領域の日本側コーディネーターが所属する電気通信大学(梶谷 誠学長)が名誉ある開催機関を引き受けることになりました。開催場所は、インド側コーディネーターが所長を努めるインド・コルカタのサハ核物理学研究所としました。本セミナーの主題「新機能を持つクラスター・ナノマテリアル・表面の研究最前線」"Recent advances in the study of clusters, nanomaterials and surfaces with new properties and functions" は、アジア各国が抱えている課題である持続可能社会を実現する産業・経済、環境・エネルギー、情報通信システム、新物質・プロセス創出などの解決の基盤となるナノサイエンス・ナノテクノロジーと関連し、また、理学、工学、生命科学、地球環境科学など多様な学問領域にまたがり、グリーンイノベーションとライフイノベーションに貢献する重要な最先端研究分野のトピックスです。また、レクチャーに加えて、ナノマテリアル・表面を計測・評価するための放射光X線分析法を具体的に講義するスクーリング「 ナノ構造・物質のためのシンクロトロン放射光最新手法」"Synchrotron x-ray techniques for nanostructured materials" も行い、大学院生や若手研究者がより具体的課題と解決策についての専門性と理解に資することにしました。
 本セミナーは、日本とインドの各3名の組織委員会と、電気通信大学とサハ核物理学研究所の共同作業によって準備し、2010年11月29日~12月4日の6日間、JSPS とDST(インド科学技術省)から旅費・滞在費・参加費の援助を受けたアジア各国からの91名の受講生を迎え、この分野の第一線で活躍する米国、英国、韓国、日本、インドの研究者32名の講師が参加して開催されました。レクチュア、スクーリング、ポスターセッションを通して、講師・受講生が、6日間、ホットな話題と熱い研究討論に集中し、互いの異分野・国際交流も含めて、充実したセミナーとなりました。講師・受講生はもとより、JSPS, DST 関係者からも高い評価を受けました。成功裏に終了した一因に、インド側組織委員会とサハ核物理学研究所の柔軟かつ温かい配慮に満ちた運営と対応があったことに感謝を持って申し添えます。