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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
橋本・韓 研究室

通信路符号化をはじめとする情報理論を主体としたディジタル通信の研究

所属 大学院情報理工学研究科
情報・通信工学専攻
メンバー 橋本 猛 教授
韓 承鎬 准教授
所属学会 IEEE、電子情報通信学会(IEICE)、海洋音響学会
研究室HP http://borodin.ee.uec.ac.jp
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掲載情報は2015年8月現在

キーワード

干渉除去技術、干渉制御、高効率通信、高性能インタリーバー、情報伝送、信号干渉、通信路符号化、無線周波数

橋本 猛
Takeshi HASHIMOTO
韓 承鎬
Chenggao HAN

研究概要

無線周波数高度利用技術の研究開発

携帯電話やWi–Fiの普及で、今や無線のインフラはライフラインの1つと言っても過言ではない。さらに近年ではスマートフォンやタブレット端末などの普及に伴い、音声よりもデータ通信量の爆発的増大で通信の高速化と帯域の確保が急務となっている。しかし、無線周波数の帯域は有限でこれ以上増やすことはできないため、無線周波数資源の枯渇問題はより深刻化している。
当研究室では「無線周波数高度利用技術の開発」を主要テーマとして、逼迫する無線周波数資源を高効率的に利用するための技術を情報理論や通信理論から導き出し、これに基づいた具体的な通信システムと周辺技術の研究開発を行っている。

高効率通信を実現するための通信システムの研究

通信電波の信号設計を行った上に、それに適した符号化を行い、送信データの誤り率を極力少なく(10万回に1回ぐらい)することで、効率の良い通信を実現する方式だ。具体的には、電波の信号である正弦波を特定の間隔をおいて送信することで、マルチパスでも安定した通信が行えるようにしたものだ。例えば図1で提案しているCRV-OFDMは、無線LANで使用しているOFDMシステムを改良し、マルチパス環境ではエネルギーを加算するように設計されているので、エネルギー効率が格段に向上する。

図1.Constellation Rotated Vector OFDM (CRV-OFDM)のシステム図

信号間干渉のないシステムの開発

図2.完全相補系列系の一般的生成法

今の通信では、送信電力を上げれば上げるほど通信速度を速くすることができるが、電力を上げると他の通信に影響を及ぼし、信号間干渉が起こって使えなくなってしまう。そこで、信号間干渉のないシステム開発とそのための信号設計を行っている。その中で本研究室で提案している図2の完全相補系列系の生成法は、現在世の中に存在するすべての生成法を含む最も一般的な生成法である。

干渉制御と干渉除去技術の開発

信号間干渉のないように設計したシステムでも、新幹線などの高速移動体では通信環境の変化に伴い、ドップラー効果で信号間干渉が生じる。そこで、これを解消するための干渉制御と干渉除去技術の研究を並行的に行っている。

複数のアンテナを使用するMIMOシステムの最適化の研究

無線周波数利用効率向上のために、現在、複数アンテナを使用するMIMOシステムが提案・実用化されている。当研究室ではさらなる効率向上を目指して、MIMOシステムに適した信号形式の研究も進行中だ。

その他の研究テーマ

当研究室では、以下の研究も行っている。

  • ●水中通信の実験
  • ●光を用いた空間多重伝送
  • ●干渉整列アルゴリズムの開発
  • ●中継局を介する通信システム

アドバンテージ

高性能インタリーバーなどで飛躍的な通信効率向上に成功

  「高効率通信を実現する符号化」の研究において、高性能インタリーバー(データを何らかの領域で不連続な形で配置して性能を向上させる手法)の設計を行っている。これまで、通信業界ではインタリーバーをあまり重要視していなかったが、今後はインタリーバーが鍵になると考え、いち早く研究をスタートした。インタリーバーの設計には、符号化したものを通信システムに合わせてシャッフリングする必要があるので、その際どのような配列にするかが重要になってくる。結果として、当研究室独自の理論で構築した図3のMLIは、無線LAN(Wi–Fi)やWiMAXで使われている標準のインタリーバーと比較して数%~数十%以上効率が上がっている。しかも、マルチパスが長い回線のように状況の悪いチャンネルで使われる方が、標準型と当研究室の手法との差は大きくなる。つまり、状況の悪いチャンネルで高性能を実現するのに向いているのだ。

図3.Modified Linear Interleaver(MLI)の概念図

さらに、「信号間干渉のないシステムの開発」でも、良い効率を実現している。CDMA(符号分割多元接続)方式では周波数利用効率が悪く、単独のシステムの周波数利用効率は約30%程度しか達成できない。しかし、当研究室のシステムを利用することで、一挙に90%にまで効率を上げることができる。

干渉制御と干渉除去技術の利用でコスト削減

一般の通信環境では、電波の強いユーザーと弱いユーザーがいる場合、強いユーザーの電波が弱いユーザーの電波に干渉する。これを解消するために現在は基地局がパワーをコントロールして、この問題に対処している。このようなパワーコントロールはコストが非常にかかる。
ところが、当研究室独自の信号間干渉のない通信システムと「干渉制御と干渉除去技術」を使えば、干渉解消のためのコストを大幅に削減できる。

今後の展開

共同研究で理論を実用に転換したい

現在、研究している理論はIEEEに発表している。そのため、標準化できればいいのだが、標準化に至らなくとも企業との共同研究で、少しでも社会貢献につながればいいと考えている。現在はまだ論文の段階だが、多くの共同研究を行い実践への応用を考えている。
先々を考慮し積極的に特許を取得し、さらにはベンチャー起業にも対応している。

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