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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
由良 研究室

工業製品の製造からリサイクルまで、
一 貫した有効利用の方法を研究し、循環型生産システムを実現する

所属 大学院情報理工学研究科
総合情報学専攻
メンバー 由良 憲二 教授
所属学会 日本情報経営学会、スケジューリング学会、情報処理学会、日本機械学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

由良 憲二
Kenji YURA
キーワード

環境配慮型プロダクトライフサイクルマネジメント、環境負荷削減方策、ライフサイクルアセスメント、製品ライフサイクル最適化、製品のリニューアル/リサイクル計画最適化

研究概要

製品の製造からリサイクルまでの環境管理に関する研究

当研究室では「環境配慮型プロダクトライフサイクルマネジメントの研究」を行っている。これは製品が製造されてその役割を終えるまでを、より環境に負荷をかけない形で管理しようという発想に基づくものである。具体的には、製造者→ディーラー→消費者→リサイクル業者といった、製品が辿る全ての段階で「環境に優しく」、「経済性・効率性」の面でも優れた方法を見出そうとする研究だ。
この研究の中心柱は2本ある。

製品使用時(消費者のレベルで)の環境負荷削減手法

消費者にとっては、製品の修理などのアフターサービスやリサイクルサービスを気軽に受けることができれば便利である。そのためには、どのような方法で消費者から製品を回収するかという問題を解決する必要がある。回収コストが高くては修理やリサイクル費用も高額になってしまうため、製品のエンドユーザがどこに住んで、どの程度ばらついているかなどを考慮する。サービスポイントなどを設けて回収するにしても、どこに設ければ一番効率的か。修理やリサイクルに持ち込む消費者も、修理を請け負う製造者やリサイクル業者も簡便に立ち寄れる立地を見出すことが、リサイクルやリニューアルの推進につながる。
そこで、当研究室ではこうした諸点を考慮して、製品の生命が終わるまでの一貫サービスを目的とした最適化を計算している。

回収物を分解して有効に活用するための最適な算出論理の研究

換言すれば、回収製品をどうすれば最も有効に再利用できるかを検証・解明するものである。部品を一部修理したり入れ替えたりして中古市場に回すのがよいのか、それとも、使える部品だけを取り出した後、残りは廃棄する方がよいのかといったことにつき、有効に判断する手法を研究している。
具体的には、製品にICタグを付けて製造データや修理データを記録する方法がある。いわば、製品の「健康状態」を判断するカルテを付けるようなもので、この記録を見ることによって、製品の状態を判断し、製品を最も有効に活用するような修理やリサイクル計画を立てることが可能になるのである。

アドバンテージ

ライフサイクルアセスメントの評価に多くの知見

由良は、生産システム管理を専門としていて、産業製品のライフサイクル全般を効率化し、環境負荷を低減するこの研究に、すでに約20年にわたって取り組んでいる。 由良は、製品のリニューアル、分解、モデル化、最適化のそれぞれについて、ライフサイクルアセスメントのためのソフトウェア作成に携わった経験があり、ライフサイクルアセスメント評価の方法論や手法について、多くのノウハウと幅広い経験を有している。
現在、製品の製造時からリサイクルまでの一貫した有効利用は、ライフサイクルアセスメントに基づく評価によって行われている。

これからの産業社会を考える上で必要不可欠な研究

昨今、年を追うごとに環境への配慮が強く望まれ、製造業者も消費者も環境に配慮した製品の製造や、製品の使い方・捨て方を考えることが大切になってきている。
これからの社会に必要不可欠なテーマを研究していることは、この研究室の大きなアドバンテージである。

今後の展開

消費者に製品情報を提供することが環境負荷低減とより賢明な消費行動をもたらす

研究室風景

ある調査によると、現代の消費者は環境への関心は高いが、環境のために具体的にどのような行動をすればよいのかわからないという人々が4割に及ぶという。こうした消費者(エンドユーザ)のために、今後、製品のリニューアルシステムの研究をもっと深めていきたい。
製品の保守・管理情報(ある故障が生じた場合、どこを修理すればよいのか、あるいは、そうした現象が起こったらもう廃棄した方がよいのかといったこと)やリサイクル情報(どこに持ち込めばよいのかといったこと)が、Webページなどを通じて家庭で簡便に入手できるようになれば、逆に、環境によりよいサービスを提供している企業の製品を選んだり、リサイクルしやすい型番の製品を選んだりといった消費行動も実行・普及しやすくなる。製品購入時や使用時に、未来の環境への影響をイメージすることも容易になるだろう。

製造業者、消費者、リサイクル業者への情報支援

循環型生産システムの理論と実践手法の構築

こうした情報が製造者やリサイクル業者に共有されることで、リサイクル方法の研究やリサイクルを考えた製品製造の研究にもつながっていくことが期待される。
地球温暖化問題がグローバルな課題となり、地球環境全体への関心がかつてなく高まっている現在、工業製品を環境に優しい形で利用/再利用する、より有効な方法を研究し、その成果を社会に還元したい。それによって、環境負荷を低減しつつ持続的な発展を可能とする、循環型生産システムの理論と実践手法を構築していきたいと考えている。

環境配慮型プロダクトライフサイクルマネジメント
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