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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
西野・若月 研究室

コンピュータをより知的で高速にするため、
物理学や脳科学に基づく新たな情報処理の仕組みを構築する

所属 大学院情報理工学研究科
総合情報学専攻
メンバー 西野 哲朗 教授
若月 光夫 助教
所属学会 情報処理学会、人工知能学会、電子情報通信学会、日本数学会、ACM、EATCS、IEEE
研究室HP http://www.nishino-lab.jp/
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

キーワード

計算機科学、人工知能、ゲーム情報学、量子コンピュータ理論の応用、条件反射をするロボット、インターナルクロック(脳内時計)、言語獲得機能の分析、GPGPU(汎用画像処理ユニット)、自然言語処理

西野 哲朗
Tetsuro NISHINO
若月 光夫
Mitsuo WAKATSUKI

研究概要

人間が何気なく行う知的な活動をコンピュータにも行わせたい

当研究室では、人間の動きや脳の働きをコンピュータ上で再現するための研究を行っている。これは広くは人工知能(AI)の研究と言ってもよい。現時点での人工知能研究は、人工的に設計した知的なものの仕組みを探ってそれをプログラム化するというところに重点が置かれている。
コンピュータ研究の現在の方向性は、コンピュータをより人間的にという意味で「知的」にし、かつ「高速化」するという2つの側面がある。「知的」コンピュータについては近年長足の進歩を見せている脳科学の成果が、研究に急速にフィードバックされつつあり、「高速化」の面では量子コンピュータの可能性が模索されている。
コンピュータは数学的思考から生まれたものである。しかし、西野は、物理や脳科学だけでなく、経済やゲームの理論といったより人間活動の現象面に近い分野にもコンピュータ研究を発展させていくことで、新しいタイプの情報処理の仕組みを作りたいと考えている。
当研究室の研究の目標は、人間が日々普通に行っている「知的」な活動を忠実に再現することである。
現在、西野はいくつもの共同研究を進めており、さまざまな実験を行い、脳の仕組み、特に条件反射の仕組みを調べている。二足歩行するロボットは存在するが、スキップをするロボットはまだ存在していない。スキップは条件反射的な運動であり、条件反射には学習が必要となるからだ。スキップについて言えばタイミングの学習が必要となる(人間には脳内にこのタイミングを計る体内時計がある)。現時点では、ニューラルネットワークというある種の回路で、人間が自然に持つ条件反射のシステムをシミュレーションできるようにネットワーク化し、ロボットに搭載して、ロボットに条件反射的な動作を学習させるという実験をしている。これが成功すれば、将来的には人工筋肉を制御して、人間が何気なく行っている「知的」な動作をロボットに行わせることが可能になるであろう。

アドバンテージ

「大貧民」のプログラムから言語獲得機能の研究まで幅広い守備範囲

人間とコンピュータとの両方について、面白くチャレンジングな研究ができる研究室である。一例としては、情報科学のエッセンスを楽しく学んでもらおうと、ロボットコンテストに倣って「コンピュータ大貧民大会」を開催している。トランプの「大貧民」のプログラムを全国から募集し、プログラム同士を戦わせ優劣を競わせるものである。2010年、文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を受賞した。
理化学研究所とは共同研究として、ジュウシマツの歌の分析も行った。ジュウシマツは個体ごとにある規則にしたがって囀(さえず)っているので、あるジュウシマツが自分の歌を獲得するまでの脳の中での学習過程を解明できれば、人間の赤ちゃんの言語獲得過程も解明できるかもしれない。
こうした情報処理とコンピュータの最先端分野を、他の分野の最先端研究の成果を取り入れながら研究していけるのが、当研究室の最大のアドバンテージである。

今後の展開

言語機能を持ったコンピュータを作ってみたい

「アドバンテージ」でも紹介したジュウシマツの歌だが、ジュウシマツは自分の歌を聴いて修正することで、より上手に歌えるようになっていくことがわかってきた。この過程をさらに研究し、究極的には言語の進化過程を解明できれば、という遠望を持っている。
また、その仕組みをコンピュータに応用すれば、コンピュータに言葉を学習させることができるようになるかもしれない。こうした言語機能を持ったコンピュータをいつか作ってみたいし、発話の不自由な人の発話の意味をコンピュータに汲み取らせるといったことも、将来的には可能になるのではないかと考えている。
コンピュータの「高速化」という面では、量子コンピュータの実現には、まだ相当の年月がかかりそうだが、量子コンピュータの原理を参考にし、情報処理に応用することで、新しい暗号処理方式や画像圧縮手法などの、アプリケーションソフトの作成も試みているところだ。

ジュウシマツの歌文法の解析結果

GPGPUを用いて高性能計算の可能性を広げたい

ソナグラムからジュウシマツの歌の規則性を探る
研究室(学生の居室)内の様子
ロボカップサッカー小型リーグ準拠ロボット

最近、コンピュータグラフィックスに使用されている、画像処理ユニットの計算速度が著しく向上している。その画像処理ユニットを、本来のグラフィックス目的に使用するばかりではなく、一般の計算にも使用できるように拡張した、GPGPU(汎用画像処理ユニット)が注目を集めている。
GPGPUは、パソコンに装着して使用するグラフィックカードのような形態だが、高速並列計算を実行できるため、その計算速度は大学の計算センターに設置されているような高速計算機にも匹敵する。つまり、GPGPUを使用することは、1人が1台の高速並列計算機を持つことに相当するのだ。しかも、GPGPUは、1台数十万円と非常に安価である。
この安価で高性能の並列計算装置を用いて、これまで不可能だったさまざまな計算が可能となる。そこで、量子コンピュータや、脳回路モデルの大規模シミュレーションをGPGPUを用いて行い、高性能計算の新たな可能性を開拓するプロジェクトも着々と進行中である。
新たな計算原理を解明しそれを情報処理に活かすため、自然界や人間、さらには人間社会の仕組みについて謙虚に学んでいく研究を続けたい。高度な知性を持った次世代計算機の実現に向けて、新たな人工知能技術を開発し、さらに、その高性能計算機による実現を目指していきたい。今後は、
さまざまな企業とも共同研究を行っていきたいと考えている。ご興味のある向きは、是非お声をかけてみてほしい。

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