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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
椿 研究室

サービス・サイエンス
─ サービスや教育の質向上に科学的アプローチ

所属 大学院情報理工学研究科
総合情報学専攻
メンバー 椿 美智子 教授
所属学会 日本品質管理学会、日本経営工学会、日本行動計量学会、応用統計学会、日本教育工学会、研究・技術計画学会、サービス学会、日本教育情報学会
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掲載情報は2015年8月現在

椿 美智子
Michiko TSUBAKI
キーワード

サービス・サイエンス、教育の質的向上、タイプ別教育・学習効果分析システム、学生・生徒の個人差(異質性)の定量化、統計的問題解決能力向上のための支援システム、学習型PDCAサイクル、地域差の分析、キャリア・モデル、顧客と従業員のマッチング、サービス・コミュニケーションアナリシス、構造方程式モデリング、グラフィカルモデリング、多変量解析、ベイジアンネットワーク、システム工学

研究概要

サービス利用者の異質性研究

21世紀に入り、世界経済の中でサービス分野の占める割合が非常に高くなっている。しかし、サービス分野の生産性は製造業などと比べて低いため、その向上が強く求められ、サービスを研究する必要性が高まった。そこで、サービス・サイエンスという学問分野が出現し、学術界・産業界・政府から重要視されはじめている。
サービス・サイエンスとは、サービスをサイエンスの対象ととらえ、科学的な分析手法、効率的なマネジメント手法、生産性を最大限に高めるための工学的な生産方法を提供し、サービスの特性に起因する諸問題を解決し、生産効率を上げようという新たな学問領域である。
サービスの共通の特性には、主に「無形性」「同時性」「異質性」などがあるが、当研究室ではサービス利用者や提供者の「異質性」に関して、さまざまな視点から分析・研究を行っている。分析には、構造方程式モデリング、グラフィカルモデリング等の多変量解析、ベイジアンネットワークなどの手法を使い、定量的に行う。

顧客タイプ別サービス効果分析システム

サービス利用者(顧客)にとって、提供される場所や、利用者のおかれた環境・心理状態などにより、サービスの受け止め方が異なる。そこで、ニーズや好み、行動特性をきめ細かく分析・タイプ分けし、さらに目的変数(例えば、満足度)に対する因果構造を踏まえたモデリングを行うことで、顧客タイプ別にサービス提供方法を示唆できる分析システムを考案した。本システムによって、サービスの質や生産性の向上が見込まれ、さらには潜在的なニーズを掘り起こして新しいサービスの提案も可能だ。
既に、地域ごとに見たニーズの違い(地域差)や年齢差でのサービスに求めるものの違いについて、図書館サービスや医療サービス、カフェでの分析実績がある。
また、本研究の教育バージョンの「学生タイプ別教育・学習効果分析システム」は、先行して検証が進んでいる。本システムを利用することにより、①各タイプの学生の成績向上のための教育・学習効果の傾向の分析、②教師の授業改善が各タイプの学生の満足度に与える影響の分析、③個々の学生への指導のための分析が可能であることを示している。
また、現在このシステムを応用して、NHK仙台放送局技術部との共同研究で、被災地児童・生徒達の夢や希望、日常の行動などに関するアンケート調査から、児童・生徒のための復興へ向けたコンテンツや媒体などについて分析を行った。

「タイプ別教育・学習効果分析システム」における条件付き確率分布による教育・学習効果の把握

学習に関する異質性の分析

教育における異質性は、椿自身の強いこだわりがあり、より綿密に研究している。例えば、ある科目受講の大学生93人に対して学習アンケートを行い、学習スタイルの違いがテスト結果にどのように影響を及ぼすかを調べた。アンケートの回答は900字程度の自由記述式とし、テキストマイニングの一種であるキーグラフにより、学生の潜在的な意識にも注目して解析した。

サービス分野での活躍に必要な能力

学習型PDCAサイクル分析結果:自分の学習テーマに関して、Plan(自分の実力に適した計画)、Do(実行)、Check(学習方法の効果の確認)、Act(標準化、改良)を行った学習プロセスと、学習成果との関係を分析している。

社会に出てから必要となる能力を、早い段階から学生に提示し、意識させることは重要である。特にサービス産業では、付加価値を生む存在である人材の育成・確保が課題となっている。
当研究室では、サービス分野での活躍に必要な能力を各業種別に分析し、学生のキャリアの教育に生かしている。これは、椿が電気通信大学のキャリア教育に平成17年の立ち上げ時から関わり、学生アンケートの設計・実施から分析まで行い、効果を検討してきた経験から導かれた研究である。
こうした研究をはじめ、小・中学生の問題解決能力教育として統計的手法を活用する研究や、学習型PDCAサイクル(Plan、Do、Check、Act)のまわし方と成果との関係など、ユニークな研究も手がけている。

アドバンテージ

ユニークな切り口

研究テーマや手法は、他の研究機関が行っていないところを狙って取り組んでいる。そのため、思いもよらないジャンルの研究者に論文を引用してもらい、新しいタイプの研究だと評価される機会も少なくない。
また、高校生や大学生を対象としたアンケート調査を行うなど、自らの手で収集した生の情報を解析している。そのアンケートの項目変数の構成の仕方は他に類を見ないものであることは、当研究室の特徴の1つと言える。

「図書館サービスにおける利用の構造に関する研究」の利用者・非利用者別分析

産学連携の実績も多く社会的注目度も高い研究室

さらに、調布市立図書館との共同研究「市民満足度アンケート調査設計および解析」、「調布市教育人口推計に係わる分析調査」を手がけるなど、産学連携の実績も豊富である。
学生・生徒の学力低下が社会問題として注目される中で、「学生・生徒の意欲や能力に最も大きな影響を与えているものは何か」「学力を伸ばすために教育に求められる要素は何か」という問題提起について理系的・定量的なアプローチで研究を行っている点で、当研究室の研究は社会的意義が大きいと言える。

今後の展開

企業との共同検証を推進

研究指導風景

従来のモノ中心の論理から、サービス中心の論理(サービス・ドミナント・ロジック)へと価値概念も変わりつつある。企業と消費者が双方向コミュニケーションを強くし、ともに製品やサービスの価値を創り上げる関係を築くために必要な要素とは何かを解明していく。
その手はじめとして化粧品サービスについて、購入時のサービスについて分析するのではなく、購入前後の消費者の動向、つまり使用頻度やメーク場所、使用時の気持や目指す自分などについて、顧客の視点で分析している。
また、顧客タイプ別サービス効果の分析システムは、情報通信業や小売、宿泊業・飲食サービス業など全てのサービス業に拡張できるものであり、今後はさまざまな企業との共同検証を積極的に進めていきたいと考えている。

【文献】
椿美智子『教育の質的向上のための品質システム工学的データ分析』(現代図書)〈2007年度日経品質管理文献賞受賞〉

研究・産学連携