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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
一色 研究室

シリコンフォトニクス、Ⅳ族半導体ナノエレクトロニクス、
ダイヤモンドの結晶成長機構の解明と応用

所属 大学院情報理工学研究科
先進理工学専攻
メンバー 一色 秀夫 教授
所属学会 応用物理学会、電子情報通信学会
研究室HP http://www.flex.es.uec.ac.jp
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

一色 秀夫 Hideo ISSHIKI
キーワード

シリコンフォトニクス、ナノエレクトロニクス、ナノ材料、次世代LSI、希土類元素、エルビウムシリケイト結晶、シリコンベース半導体レーザー、ダイヤモンド、深紫外発光デバイス、エピタキシャル成長

研究概要

次世代シリコンLSIの研究開発、光デバイスとの融合

シリコンLSI技術の進歩はめざましく、成熟の域に達している。
当研究室では、これに続く次世代LSIを目指して、現在、シリコンフォトニクスの研究を中心に材料とデバイスの開発を進めている。シリコンフォトニクスとは、簡単に言えば、LSI技術と光制御技術の融合であり、発光・受光、光接続、変調・増幅などの機能をシリコンLSIに包含した概念である。
シリコンLSIを光で繋ぐことができれば、信号伝送速度はより高速化できるし、並立コンピュータ間の接続なども光を使って行えば、その処理スピードは飛躍的にアップする(光接続コンピュータ)。これを実現するためには、光/電気インターフェースをシリコンLSI基板上に集積化することが第一歩になる。
さらに光信号処理システムのシリコンLSI基板上への集積化が進められている。高度なシリコンLSI技術を積極的に活用することにより、シリコン細線光導波路が作製され、微小光配線が可能になった。シリコン細線光導波路は、変調器などのパッシブデバイスに応用されているが、発光デバイスは厳しい状況である。

エルビウムシリケイト結晶

当研究室では、独自に開発したエルビウムシリケイト(Er2SiO5)結晶を発光材料として、発光デバイスの開発に取り組んでいる。そのうえシリコンをベースにした半導体レーザーが開発されれば、情報通信に革命をもたらす。

ダイヤモンドの半導体化・デバイス化

ICP-RIE装置
リング共振型マイクロ波プラズマCVD装置

シリコンと同じⅣ族元素炭素で構成されるダイヤモンドの半導体化・デバイス化の研究にも取り組んでいる。Ⅳ族半導体の中で、ダイヤモンドは最も耐環境性に優れており、高温高圧や放射線下でも半導体として使用できる。また、バンドギャップが大きく、これに対応する220ナノメートルで深紫外発光する。したがって、今後ダイヤモンドの半導体が実用になれば、宇宙空間や原子力発電所など、厳しい動作環境下で使われる部品はもとより、深紫外線光を医療用機器に利用するなど、その応用範囲は極めて広い。

アドバンテージ

「誰もやっていないことをやる」をモットーに、オリジナリティ溢れる研究で成果

当研究室が開発したエルビウムシリケイト結晶は、シリコンフォトニクスの発光材料の筆頭として注目されている。当研究室は、シリコン基板上に希土類元素であるエルビウムを堆積し特殊な熱処理を行うことにより、この化合物超格子が自己組織化されることを発見した。この自己組織化超格子を調べてみたところ、これがエルビウムを構成元素として25%含む結晶で1.53マイクロメートルの高安定で波長広がりが極めて少ない発光を示すことが分かったのである。
また、半導体レーザー同様、電子―正孔対の再結合による励起発光が可能であることが分かった。現在、シリコンフォトニクスの光源・増幅器を目指して、このエルビウムシリケイト結晶のシリコン基板上での薄膜形成とデバイス化に取り組んでいるところであり、さらにはシリコン基板上でのレーザー実現を視野に入れている。
既に実用化に移行しているものは、ドリルなどに用いられる超硬質材料へのダイヤモンドコーティングである。ダイヤモンド被覆に必要となる材料表面の前処理について、これまでの方法より簡便な画期的手法を開発し、特許出願を行った。
当研究室では、個々の研究目的に合わせて、ほとんどの実験機器を自分たちで組み立てている。こうした機械工作技術の高さも、きわめてユニークなところであり、自慢でもある。

今後の展開

シリコンLSIに光デバイスを自由に集積化させる技術を開発したい

LSIの高性能・高速化を目指すことが大目標である。シリコンフォトニクスの分野では、シリコンLSI上に光デバイスを自由に作製でき、集積化が可能となるような研究を目指している。量産可能な光端末ができれば、現在の情報通信はさらに高速・大容量化できる。
シリコンの大きな魅力は、地球上に最も多く存在する物質の1つであり、危険性のない、環境にやさしい物質であることである。こうした点からも、シリコンにこだわって研究を深めてみたいと考えている。例えば、シリコンの上にシリコンを組み合わせて作るデバイスやシリコン半導体レーザーがどこまで可能か、ということも今後の研究テーマである。

ErSiO自己組織化超格子

ダイヤモンド半導体デバイスの開発も課題

また、シリコン基板の上にダイヤモンドを結晶成長させたダイヤモンド半導体を考えている。ダイヤモンドは周知の通り非常に高価な物質なので、基板もダイヤで作ると非常にコストがかかる。シリコン基板にすることで、コストダウンが可能となり量産化への道が広がるのではないかという発想による。将来的には、ダイヤモンド半導体の深紫外線を利用した医療用デバイスの開発なども試みていきたい。

珪化処理による超硬合金へのダイヤモンドコーティング
ファイバー(左)からEr2SiO5/SiO2スラブ導波路に入射した1.48μm光によるアップコンバージョンの発光減衰。100μm付近は励起光の光トラップ
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