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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
金子 研究室

顔特徴・顔印象の解析、コンピュータ似顔絵師、
顔表情認識、類似顔検索、ヒューマンロボットコミュニケーション、知能ロボティクス、察するインタフェース

所属 大学院情報理工学研究科
知能機械工学専攻
メンバー 金子 正秀 教授
所属学会 電子情報通信学会、電気学会、映像情報メディア学会、日本顔学会、情報処理学会、ヒューマンインタフェース学会、日本ロボット学会、IEEE
研究室HP http://soybean.ee.uec.ac.jp/kaneko/
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掲載情報は2015年8月現在

金子 正秀
Masahide KANEKO
キーワード

顔画像情報処理、コンピュータ似顔絵、顔特徴解析、顔印象解析・操作、類似顔検索、顔表情認識、ヒューマンロボットコミュニケーション、知能ロボティクス、察するインタフェース、知的インタラクション、自律移動ロボット、視聴覚情報の統合、人間的な振舞

研究概要

コンピュータに人の似顔絵を描かせる研究

顔は、人と人とのコミュニケーションに欠くことのできない存在である。顔からは、誰であるか、また、人種、性別等、個人を他人から識別する情報、喜怒哀楽の感情や体調、心理状態等、人の内面を外に表す情報など、様々な情報が得られる。これらの情報を人と同じようにコンピュータやロボットが理解できるようにすることにより、人との間のより円滑なコミュニケーションを実現することができる。

顔の特徴解析と似顔絵生成

当研究室では、顔写真から顔パーツの形状や配置の特徴を数値的に解析し、今まで曖昧にしか扱われていなかった顔の特徴や印象を定量的に記述し、様々な応用に役立てていくための方法を研究している。研究成果を具体化したものとして、表現力豊かな似顔絵をコンピュータに自動的に描かせる「コンピュータ似顔絵師」の技術を開発している。顔を構成する眉、目、鼻、口、顔輪郭のパーツの形状や配置の情報を取り出して解析を行う。まず、多くの日本人の顔をもとにして平均顔を作成する。対象とする顔の各パーツの形状や配置と平均顔のそれとの差を求め、この差について、主成分分析と呼ばれる統計的な手法を適用することにより、どの様な特徴を持っているかを数値的に記述することが可能となる。平均顔との数値のズレが大きい部分がその人の顔の特徴となり、それを強調することで似顔絵を作成できる。

顔表情の認識

顔表情は6つの基本的な表情(喜び、悲しみ、怒り、恐れ、嫌悪、驚き)に分けられる。まず、顔の局所的なアピアランス特徴と形状特徴を抽出し、各々に基づいた6表情への分類結果を融合することで、高い表情認識精度が得られるようにした。また、ランダムフォレスト分類器を利用して、表情の種別と強度のレベルを確率的に認識することにより、日常生活で良く見られる弱い表情に対しても頑健な認識が行えるようにした。

人間的な振舞をする自律ロボットの実現に向けた研究

当研究室では、中村友昭助教の研究室と密接な協力関係の下に、家庭やオフィスで人と共存し、人と同様に振舞う自律ロボットの実現を目指した研究にも力を入れている。ロボットは、目や耳の機能を使って逐一外界の情報を得た上で、周囲にいる人がロボットに何をしてほしいと思っているか、今何をするべきか、を自ら判断して自律的に行動する。

対向者及び周囲環境の自動認識処理画面

まず、複数のマイクロフォンへの音の到来時間差を解析することにより、3次元空間内のどこで音が鳴ったか(どこにいる人物が話しかけてきているか)を把握することが可能である。その方向の画像を取得し、濃淡・色情報に基づいて人物検出処理を行い、人物がいるか、いる場合に誰であるかを判断し、その人物に合せたインタラクションを行う。
次に、ロボットの自律移動のために不可欠な、環境内の地図の自動生成と自己位置推定を同時に行う方法を研究している。本研究の特徴は、環境内の人やドア(開閉)、可動物体など、単純に地図に書き込むことが適当でない潜在的な動物体を的確に判断し、観測物体を地図に反映させる度合いを確率的に記述することによって、より正確な地図の生成を行う点にある。

日常環境内でのロボットの自律移動

自律移動型ロボット

ロボットは、周囲に対する観測情報(距離、カラー画像、音)に基づいて自身の行動形態を自ら考え、行動するという自律型であることが大きなポイントである。まず、狭い廊下で人とロボットが、人同士のように阿吽の呼吸ですれ違えるようにした。更に、ロボットが人と同行して移動する際に、通路上の対向歩行者や障害物に応じて、同行者との相対的位置関係(並走か縦走か)を柔軟に切り替えながら移動できる技術を開発した。この様な動作の実現のために独自のポテンシャル法を開発した。廊下を同行者と一緒に移動することを想定し、ロボットが人の右または左に位置するように引力を設定する。同時に、対向者からは強い斥力を受けるように設定する。ロボットは同行者や対向者の動き及び各々からの引力・斥力の変化に基づいてポテンシャル場を逐一計算し、ポテンシャルの最下点に向かって移動する。対向者とのすれ違いの際には、自律的に同行者の前或いは後ろに移動して、同行者との同行状態を保ちつつ対向者との衝突を避ける。

アドバンテージ

顔特徴の客観的記述に基づく似顔絵技術の利用の拡がり

コンピュータ似顔絵師の技術では、顔のデータをすべて数値化し客観的に記述できるという特長がある。世界中で当研究室にしかない顔特徴解析・合成ツールを使えば、顔の各パーツの形状や配置の特徴を始めとして、顔表情、さらには、今まで言葉によって曖昧にしか表現されていなかった顔印象も含めて、顔に関する様々な情報を全て数値(主成分の重みの値)の組合せにより客観的・統一的に扱えるという大きなメリットがある。
顔の様々な特徴が数値的に記述され、かつ、似顔絵の形で視覚化されるので、与えられた実写顔の特徴を参照する場合はもちろん、顔写真が無くても「つり目」「への字口」「厳しい顔」などの顔印象を表す言葉を介して、それぞれの特徴をもった顔を多数の顔画像の中から効率良く探すこともできる。

「察する」、「社会性を持つ」:より人間的な振舞をロボットにさせるために

並走から縦走への自律的切替えが可能なロボット

人を障害物の一つとして捉え、衝突回避を自律的に行うということだけではなく、周囲の人の移動や動作の状況を観測し、各人物がロボットに対してどの様な動作をすることを期待しているかをロボット自身が「察し」、自律的に動作する。また、ロボットと各人物との「社会的関係」を考慮して、ロボットの行動の仕方を変化させる。これらは、より人間的な振舞をロボットにさせるための一歩進んだ試みである。
複数の人が行き交う中をロボットが単独で自律移動する場合だけでなく、同行者と行動を共にしながら移動する場合に対する研究に力を入れている。1対1での同行に加えて、複数の人物の案内(誘導)、離れた場所を歩行している人との進行方向先での落合い等も扱っている。また、同行者の属性(老人、子供、お客など)に応じて、同じ同行でも、相手の傍に寄り添う、少し距離を置くなど、社会的な考慮も行えるようにしている。

今後の展開

2つの要素技術を1つにまとめたロボット開発

環境の動的変化に頑健な地図生成
顔輪郭特徴の主成分表現

コンピュータ似顔絵師については、様々な撮影条件に左右されない頑健さと、プロの似顔絵画家のレベルに近い表現力の実現を目指したい。また、顔画像はコミュニケーションの様々な場で重要な役割を担っており、似顔絵の実利用の拡がりを図っていきたい。
現状では、顔、ロボットに分けて研究を行っている。今後は、それぞれの技術を発展させると共に、これらの技術を統合し、ロボットが3次元環境とその中で活動している複数の人(誰が何をしているか)を的確に認識した上で、自らの行動を決め、人と様々な形で関わり合いながら日常生活に役立っていけるようにしたい。

研究・産学連携