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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
山田(哲) 研究室

経営に関わるヒト・モノ・カネ・情報についてのあるべき姿を探究する経営情報学の研究

所属 大学院情報理工学研究科
総合情報学専攻
メンバー 山田 哲男 准教授
所属学会 日本経営工学会、日本オペレーションズ・リサーチ学会、日本設備管理学会、スケジューリング学会、日本LCA学会、
米国Industrial Engineers協会
研究室HP http://tyamada-lab.inf.uec.ac.jp/
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掲載情報は2015年8月現在

山田 哲男
Tetsuo YAMADA
キーワード

循環型・低炭素型サプライチェーン、企業資源管理(ERP)、経営情報システム、製品ライフサイクルマネジメント(PLM)、環境物流、情報共有、eラーニング、育児・家事、イクメン・ウーメン、ヘルスケアシステム工学、ワークライフバランス、経営工学

研究概要

社会のあらゆる問題を研究対象にして、その解決を目指す

私たちは製品やサービスを当たり前のように利用しているが、それらは企業の生産システムや流通など、複雑なサプライチェーン(供給連鎖)を経て手元に届いている。
この複雑なプロセスを効率化・省資源化するためには、ERP(Enterprise Resource Plannig:企業資源管理)やSCM(Supply Chain Management:サプライチェーン・マネジメント)などの経営情報システムが必要となる。
当研究室では「企業経営に関わるヒト・モノ・カネ・情報に対してあるべき姿を探究する経営情報学」を研究している。経営情報学は比較的新しいサイエンスで、コンピュータを利用した情報システムを経営に活用している。この知見と方法により、企業経営に限らず地球環境や子育て、ヘルスケアといった人の営み、すなわち、社会のあらゆる問題の解決を目的としている。

循環型・低炭素型サプライチェーンに関する研究

①循環型サプライチェーンにおける分解生産・物流システムのモデル化
②リサイクル性評価法による分解生産システムの設計
③環境負荷と経済性を考慮した低炭素型サプライチェーンの設計

経営情報を活用したシステムに関する研究

①PLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクルマネジメント)を活用した組立生産システム設計の事例研究
②業務プロセス志向の企業業績評価法の研究とWebビジネスゲームやeラーニング授業の開発
③育児ライフログ情報を活用したイクメン・ウーメンのための育児サービス・イノベーション
これらの研究には、生産シミュレーション・製品設計・数値計算の実行や表示のための各種ソフトウェア(「研究設備」参照)や、オペレーションズ・リサーチの待ち行列や数理計画法のモデル化・最適化の手法などを用いている。

アドバンテージ

洋書の英語輪講ゼミの様子

社会全体の問題を長期的視点で研究

このようなサプライチェーンや企業情報管理の効率化は、既に各企業やコンサルタント会社でも行われているが、当研究室がそれらと大きく違うのは、長期的・間接的視点に立って考えられることだ。企業の場合、目の前の短期的・直接的な収益やコスト削減が最優先になるため、環境に配慮したサプライチェーンなど、コストアップになりがちな提案は敬遠されるかもしれないからだ。
ところが、当研究室の手法は、企業単体だけでなく社会全体の最適化を長期的視点で考えることができるので、環境負荷低減とコストダウンを両立できる代替案をシミュレーションで実行することが可能だ。こうして、より幅広い視野で研究できる大学の研究室ならではの利点を活かし、企業らと協力して研究を進めている。

理系と文系の視点が両方理解できる強み

タイで開催された国際会議APIEMSで大学院生の五十嵐健人君が優秀学生論文賞を受賞

当研究室では、経営情報学に関するお金の流れが分かる文系の分野と、生産などに必要となる技術が分かる理系の分野の、両方が理解できることがアドバンテージになっている。例えば、工場を見学に行った時に、当研究室は物理・化学的なプロセスのことなど理系の内容を理解でき、作業効率やヒト・モノが停滞している時の損失額などのカネのことも見える。当研究室では、この両方が分かって見えることが非常に重要だと考えている。

大学・企業・自治体との共同研究で幅広い連携関係

当研究室は、いろいろな国公私立大学などの研究機関、製造メーカー、サービス企業、ソフトウェアベンダー等との研究プロジェクトで共同研究を行っている。このことから、理系の機械工学やマテリアル工学の研究者から、文系の経営学や会計学の研究者などとも幅広く協力関係を持っている。しかも、大学に限らず企業や自治体にも幅広いつながりがあり、モデル化、数値評価、見える化などの成功事例や現場に携わる人たちの言葉を多く集めた知見が得られることも利点の1つだ。
例えば、環境分野では二酸化炭素の量を計算するために二酸化炭素のデータベースが必要になるが、当研究室の場合はLCA(Life Cycle Assessment:製品などの環境影響評価手法)グループとの協力関係があり、このデータベース(インベントリーデータベース)が得られる。このように、幅広い協力が得られるので、より現場に近いデータでシミュレーションを行うことが可能なのだ。

世界の大学とのコネクション

この協力関係は国内にとどまらず、グローバルだ。今は先進国だけでなく、新興国や途上国などとも幅広いお付き合いがある。国際会議で各国を廻り、新しいパートナーを見つけ出す取り組みを行い、アメリカ、イギリス、ドイツ、フィンランド、オーストラリア、アラブ首長国連邦、ブラジル、チリなど多くの国の研究者とのコネクションを確立した。アジアでは、中国、韓国、ベトナム、インドネシアなどに足を運び、交流を深めている。
2013年度には、本学の若手教員の海外研修制度により、米国ノースイースタン大学機械・経営工学科Prof. Surendra M. Guptaのもとで、10ヶ月間の海外滞在研究を行っている。

来訪や訪問のあった海外研究機関

今後の展開

医療・福祉・健康・少子高齢化・子育てなどの社会基盤の効率化と安全を実現

今後は、企業のことだけでなく、医療、福祉、健康、少子高齢化、子育ての分野にも力を入れていきたい。この分野で営利企業が積極的に参画することには限界があることから、そこには潜在的なチャンスがあると考えられる。特に、ヘルスケア(健康管理)のマネジメント分野は欧米のみならず、今後は日本でも成長するので、こうした分野に注力していきたい。
つまり、社会中で困っていることに、ビジネスで培った考え方を応用していこうと考えているのだ。
その1つが「イクメン・ウーメンのためのライフログ情報活用による育児サービスの研究」だ。これは仕事の仕方を良くする仕組みを育児に応用したものだ。ライフログとは行動記録のデジタルデータをいう。例えば、子育て中の親の身体活動量を計測して、何の育児作業が高活動量なのかを分析して、育児負担の改善へと繋げるのだ。
このように、経営情報学で用いた手法を活用することで、育児にかかる負担の軽減や安全を検討・実現することが可能となる。また、少ない税金でより安心安全な育児基盤を築くことが可能になる。このようにして、社会基盤の構築と再生のためにも頑張っていきたい。

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