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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
水柿 研究室

超伝導デバイスと集積回路の研究、
単 一 電子デバイスの研究

所属 大学院情報理工学研究科
先進理工学専攻
メンバー 水柿 義直 教授
守屋 雅隆 助教
所属学会 応用物理学会、電子情報通信学会
研究室HP http://mogami.ee.uec.ac.jp/
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掲載情報は2015年8月現在

キーワード

超伝導、ジョセフソン効果、トンネル現象、SFQ、超伝導回路、メゾスコピック物理、磁束量子

水柿 義直 Yoshinao MIZUGAKI
守屋 雅隆 Masataka MORIYA

研究概要

超伝導、ジョセフソン効果を使ったデバイスと集積回路の研究と単一電子デバイスの研究を行う

液体ヘリウムデュワーに低温プローブ挿入

われわれが日常使っている電池に書かれた1・5Vという電圧は、原子時計で正確な時間を測っているように、専用の計測器を使って標準が決められている。その計測器に使われているのが、超伝導の技術だ。
具体的には、弱く結合した2つの超伝導体の間に、超伝導電子対のトンネリングによって超伝導電流が流れるジョセフソン効果を利用して、超高精度の計測を行っている。このようにジョセフソン効果を使えば、超高速、超低消費電力、超高感度、超高精度な電子デバイスを作ることができる。
当研究室では、さまざまな可能性を秘めている超伝導・ジョセフソン効果を使ったデバイスと集積回路の研究と単一電子デバイスの研究を行っている。
ジョセフソン効果を利用した回路とデバイスに関しては、当研究室でもさまざまなジャンルのものを研究しているが、具体的な成果として、電圧を高精度にコピーするSFQ(Single Flux Quantum)回路を多段接続することで、電圧を高精度で2倍化できるデバイスの設計と試作に成功した。実際に、プログラムによるシミュレーションを行い、それを基に回路を設計し、外部に委託して素子の製作まで行っている。現在は4倍化するためのデバイスを研究中だ。
また、ジョセフソン素子の持つ高度なセンシング機能を使ってセンサーとしての利用も研究している。このセンサーは非破壊検査に有効で、微妙なセンシングが必要な脳磁界の計測や食品に含まれる異物混入の検出など、非接触で高精度な計測が行える。
ジョセフソン効果を利用したものとして、高精度計測器だけではなく、超高速で超低消費電力を実現するルーター、ソフトウェアラジオなどのA/D変換器、さらには次世代コンピュータ方式として注目を集めている量子コンピュータを実現するための手法の1つとしても考えられている。

低温プローブのヘッド部

さらに、ジョセフソン効果を利用した例で、マクロとミクロの中間にあるメゾスコピック系の電子デバイスの設計・試作も行っている。たとえば、数十nm(ナノメートル)の大きさのトンネル接合を組み合わせることで、電子や超伝導電子対を1個単位で取り出すことが可能となり、しかも外部信号を使って移動をコントロールできる回路を設計した。この回路を利用することで、将来の電流標準として応用できる可能性がある。
ここまで説明したとおり、超伝導やジョセフソン効果は、限りない可能性を秘めている反面、残念ながら現段階での応用範囲は必ずしも広くはない。そこで、当研究室ではジョセフソン効果の特性を追究しながら、応用範囲を広げていきたいと考えている。

アドバンテージ

高性能な低温実験装置を保有

超伝導チップ用セラミックス製パッケージ

当研究室では、液体ヘリウムを使った低温実験装置を保有しており、超伝導現象の測定をはじめとする低温下での実験、測定を行うことができる。しかも低温プローブの入出力は60ピンに対応しているので、詳細なデータを計測することが可能だ。この装置を利用すれば、超伝導に関するさまざまな実験だけではなく、低温エレクトロニクス全般に関する特性評価も行える。

回路設計、素子の製作まで可能

メゾスコピック素子作製用に金電極をパターニングしたシリコン基板

それに加えて、超伝導に関する応用研究として、ジョセフソンデバイスや超伝導回路の設計も行える。さらに外部との共同研究で、設計を基に素子の製作も可能だ。
このように、超伝導に関する本格的な実験・測定装置を持って、回路設計や素子の製作にいたるまで手掛けられる大学の研究室は珍しく、超伝導に関して物理の発見・理解から、そのシステム応用までを守備範囲としている。

今後の展開

素子の開発と応用範囲の拡大を目指す

ジョセフソン素子の電流(縦軸)−電圧(横軸)特性。中央の垂直な直線部分が「電流を流しても電圧が発生しない」超伝導電流。

超伝導の実験から回路設計まで一貫して研究できる強みを活かし、冒頭で説明した電圧測定の2次標準のような高精度の計測機器の一部に開発した素子が使われるよう、研究を進めていきたい。
また、磁束量子を作り、それを動かす研究をしていることから、その先に何があるのかを見つけたいという夢もある。その応用が究極の演算装置の製作だ。ジョセフソン接合は量子コンピュータの方式の1つで、完成すれば半導体では得られない超高速演算が可能となる。この分野で、当研究室の技術を活かしていきたい。

超伝導回路用の計測機器類

このほかにも、ジョセフソン効果を利用した計測器は非常に高精度であることから、脳磁場などの人体の計測にも利用できる。また、オゾンの計測などに使われた経緯もあり、環境測定での利用にも可能性が広がる。さらには、電子を自由に抜き出せることから、ナノテクへの応用も期待される。
このように、当研究室での研究内容は、幅広い用途に応用することが可能だ。今後は、共同研究していただける企業の方々のお知恵を拝借して、当研究室の研究成果をさまざまな分野で応用していきたいと考えている。

研究・産学連携