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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
藤井 研究室

高信頼・高効率無線ネットワークに関する研究

所属 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター
メンバー 藤井 威生 教授
所属学会 IEEE、電子情報通信学会
研究室HP http://www.awcc.uec.ac.jp/fujiilab/
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掲載情報は2015年8月現在

藤井 威生
Takeo FUJII
キーワード

移動通信、コグニティブ無線(CR)、コグニティブメッシュネットワーク、無線アドホックネットワーク(自律分散型無線ネットワーク)、高速信頼性通信

研究概要

周波数の有効利用を目指して

無線の用途はテレビやラジオをはじめ、災害・防災無線や警察、消防、鉄道、航空などの業務用無線、さらに携帯電話や無線LANなどにも広がっている。
こうしたさまざまな無線に利用されている無線周波数は国連の専門機関ITU(国際電気通信連合)によって各国に割り当てられている。
日本国内では、ITUから割り当てられた無線周波数(3KHz〜3THz帯)の用途(帯域)を電波法で規定している。このためテレビやラジオはもちろん、警察や消防、携帯電話会社もそれぞれ割り当てられた帯域を使用している。
このように、無線周波数は既にさまざまな用途に割り当てられているため、新たなシステムに割り当てる周波数はないのが現状で
ある。しかし、ほとんどの占有帯域における実際の周波数利用率は10〜20%程度にとどまっている。これは、さまざまな無線が飛び交う空の混雑状況も時間帯や地域によって異なるためであり、結果的に実際には8割の周波数が有効利用されていないこととなる。
この空いている周波数(ホワイトスペース)の有効利用が世界で注目されており、アメリカではテレビ用の帯域を無線インターネットと共用できるかどうか検討中である。一方、国内における占有帯域の開放には電波法改正などの政治的ハードルに加え、その利便性を保証する技術的ハードルをクリアしなければならないため、なお時間がかかると思われる。
当研究室では、この技術的ハードルをクリアするため、無線環境のイノベーションの研究に注力している。

コグニティブ無線(CR)の研究

「コグニティブ」は「認識の」という意味で、「CR」(Cognitive Radio)は既存の占有帯域の利用状況を自動認識し、空いている周波数を探して送受信する技術である。ただ、既存の周波数帯との相互干渉を回避するため、電力を制御しなければならない。そうなると電波の到達する範囲が限定されるため、情報を最終目的地に届けるには周囲の端末を介して中継する仕組みが不可欠となる。

無線アドホックネットワークの研究

「無線アドホックネットワーク」は、コグニティブ無線の情報中継を自律的に行う方法として「自律分散型無線ネットワーク」とも呼ばれており、送受信する端末同士が周囲の端末と中継して通信する。基地局やアクセスポイントが不要で、①省電力化、②通信範囲の拡大、③干渉の回避、④現状の無線LANで構築可能、といった特長を持つ。ただ、複数端末の相互接続方法や中継ルートの効率化、各端末の役割分担などの課題があるため、当研究室ではこれらの課題を克服する技術も研究している。
また、無線アドホックネットワークの応用研究にも取り組んでおり、その1つが工場内無線ネットワークの構築である。工場では複数の工程ラインと、それに伴う複雑な配線が敷設されているため、機械の配置転換が大掛かりな作業になってしまう。そこで、無線ネットワークを構築することにより、複雑な配線をやり直す手間が省け、機械の配置転換が容易となり、さらにCRの技術を併用することで干渉も回避できる。

アドバンテージ

大きく広がるCRの可能性

コグニティブ無線実験用無線ボード
複雑な計算処理のためのPC群とブレードサーバ

CR(コグニティブ無線)と無線アドホックネットワークの研究は総務省も注目しており、同省の委託研究テーマにも選ばれている。当研究室では現在、両者を併用した「コグニティブメッシュネットワーク」の研究に取り組んでいる。
CRが実用化されれば、新規参入業者の増加に伴いサービス・価格競争が促進されるため、ユーザーはより精度と利便性の高いサービスを容易に選択できるようになる。
当研究室では、次世代の無線通信標準規格として期待されるWiMAXや超高速無線LANの高度化・多様化に対応する通信方式も研究している。また、空いている周波数をリースするといった新ビジネスや、個人ユーザーへの周波数割り当ての可能性も考えられる。
このようにCRは、ユーザー層やビジネスチャンスの拡大など、多くの可能性を秘めている。干渉の回避や未使用周波数を自動認識する技術の実用化には困難が伴うものの、無線周波数は国内外で逼迫しているだけに、実用化した場合のインパクトの大きさは想像に難くない。このためCRの研究は世界をも動かすダイナミックな研究なのである。

今後の展開

世界で通用する人材を育成

ボードにプログラムを実装してコグニティブ無線機の動作を確認
研究室の様子

無線通信は国境を越えた世界的な研究テーマとして海外への情報発信も大切である。当研究室は2006年度に誕生した新しい研究室だが、学部生のうちからテーマを絞り、修士課程では国際学会で発表することを目標にしている。企業への就職後には、ビジネスにつなげられる先見性や、海外でも自分の意見を言える能力が求められるため、このような経験は非常に大切である。学生に国際舞台を踏ませ、世界で通用する技術者・研究者を育てたいと考えている。
一方、個人ユーザーへの無線周波数割り当てを目指し、今後もCRの基礎研究に全力投球していく。日本ではCRの研究がやや遅れているが、CRの重要性に目を向ける大学・企業も増えてきたため、この萌芽を大切に育てて、将来は国を動かす技術開発に発展させたいと考えている。

研究・産学連携