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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
石橋(功) 研究室

圏外なし・電池切れなしを実現する無線分散ネットワークの研究

所属 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター
メンバー 石橋 功至 准教授
所属学会 IEEE、電子情報通信学会
研究室HP http://d-wise.awcc.uec.ac.jp
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掲載情報は2015年8月現在

石橋 功至
Koji ISHIBASHI
キーワード

RFエナジーハーベスティング、誤り訂正符号化、携帯電話、省電力化、協調通信、高信頼無線通信、無線分散ネットワーク

研究概要

常に接続して電池切れしない無線通信のロバスト性を実現したい

携帯電話や無線通信は年々目覚ましく進化しており、現在では十分な帯域と通信速度、いつでもどこでもつながる接続性を実現し、これ以上何が必要なのかと言われるまでになった。しかし、実際には多くの問題を抱えていて、それを露呈したのが2011年東日本大震災の時だった。それまで当たり前のように接続できた無線通信が、大地震によって基地局が破壊されて、まったく通信できなくなった。さらに電気が通っていないために復旧もすぐにできなかった。もしその時に携帯電話がつながっていれば助かった命もあっただろう。また、接続できても端末を使えば電池は減っていく。電池の充電もままならない状況のため、必要な情報が欲しい時には電池切れになってしまったのだ。
当研究室では、今までとはまったく違う方法を使い、決して通信が切断されることがなく、いつどこででも常に接続されており、何らかの問題が発生した場合には自己修復を行い、さらに電池切れもしない、無線通信のロバスト性(外的要因による変化を内部で阻止する仕組みや性質)を実現するためにさまざまな研究を行っている。

無線分散ネットワークでバケツリレー方式のデータ通信

それを実現するための1つのアイデアが無線分散ネットワークだ。この方式を使い、データを周囲や近くの携帯端末を経由し利用しながらバケツリレー方式で送信することで、ベースステーション(基地局)が壊れても通信できると考えている。前述の大震災のケースのように、それぞれの端末は正常に動作していたが、基地局が壊れたために通信不能に陥る、ということがなくなるのだ。
また、通常の電波通信では基地局を通してデータをやり取りすることから、近くにいるユーザーへ通信したい場合でもいったん基地局へ電波を飛ばさなければならず、たいへん無駄が多い。無線分散ネットワークでは、近くにある端末間を結んでバケツリレー方式でデスティネーション(送り先、宛先)までデータ転送を行うため、無駄な電波を省くことができる。

アドバンテージ

情報理論と無線通信技術に精通し実用的規格を策定できる

協力通信では、周囲の端末を利用してデータの到達経路を増やすことで安定した通信を実現する

石橋は、過去に情報理論に加えて、プログラミングやデバイスの回路設計、マイコン、センサネットワーク、電力の最適化などを研究した経験を持ち、理論と技術の両方を理解していることが大きなアドバンテージだ。
情報理論や通信システムの多くの研究者は、クロード・シャノンが考えた数学モデルに則って、多数の理想的な仮定の下で独自の理論構築に傾注している。一方、デバイス系の研究者は、研究対象となる回路の最適化に傾注している。このように通信分野は複数のレイヤに分割されて設計が行われていて、お互いのレイヤを結んでシステム全体を考えてレイヤの設計に取り組んでいる研究者は少ない。石橋は、理論と技術の両方を踏まえて研究を進め成果をあげている。

無線分散ネットワーク、動的協調方式で省電力化

エナジーハーベスティング技術に関して多数の国際会議発表

通常のリレー通信では直接データを送ると失敗する可能性があるので、バケツリレーを行う端末以外にも同じデータを送っておき、失敗した場合には他端末から再送することで、より信頼性の高い通信を行っている。しかし、この方式では同じデータを複数回送るため、時間がかかってしまう欠点がある。
この問題を解決するため、石橋は誤り訂正符号の構造に工夫を凝らした動的協調という方法を研究中だ。この方式ではデータの送信中に、リレー端末が送信情報の復元を行い、データの受信に成功した時点から動的に補助情報を送信端末の信号に重ねて送信する。これら2つの信号の補助情報を組み合わせて、受け手側は正しくデータを受け取ることができる。
また、動的に補助情報を重畳(ちょうじょう)して送信することで通信の効率が格段に向上し、バケツリレー方式でも安定した通信ができるようになる。しかも、通常はより遠くへ安定した通信を行うためには、より強力な電波で送信しなければならないが、この方式では弱い電波でも安定した通信ができ、省電力化も図れて一石二鳥といえる。石橋の研究を活用することで、リレー通信の新たな可能性が高まっている。

エナジーサルベージの仕組み、エナジーハーベスティング技術

無線LANの電波によって点灯するLED

通信に要する電力をいかに省電力化しても、電池切れが無くなるわけではない。そこで当研究室では、端末が不必要な電磁波を回収し電力として再利用するエナジーサルベージの仕組みを研究している。同時に、環境から太陽光、照明光、熱、振動、電波などを何らかの方法で採取して電力に変換するエナジーハーベスティング(環境発電)技術も研究し、最終的には真に電池切れの無い環境の構築を目指している。

国内外に多くのネットワーク

ソフトウェア無線機

石橋は電気通信大学を卒業後いろいろな大学に移って奉職したのでネットワークが多く、ハーバード大学で教えていた時以来の国際的なコネクションもあり、大きなアドバンテージとなっている。

今後の展開

携帯電話や無線通信がいつでもどこでもつながっていることを当たり前にしたい

将来的には、携帯電話などの無線通信がいつでもどこでもつながっていることが当たり前となり、携帯電話の画面のアンテナ表示が必要でなくなるようにしたい。現在は誰しもが携帯電話や無線通信はテクノロジーだと思っているが、これはテクノロジーの進化がまだ完成されていないからだ。例えば、紙は外界の光を取り込む、優れたディスプレイなのだが、今では誰も紙がテクノロジーだとは思っていない。このように無線通信も普及・進化して、そこにあるのが当たり前になり、テクノロジーであることを意識させないレベルにまで持っていきたい。

電池切れの解消、携帯電話のワイヤレス給電

もう1つは電池切れの解消だ。携帯電話はワイヤレス機器だが、いまだに電源ケーブルを使ってバッテリーの充電を行っている。ワイヤレスというからには線があってはダメだ。そこで、電池切れを無くする方法やワイヤレスでの給電方法の研究を行い、携帯電話から電源ケーブルを無くしたいと考えている。

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