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学長室から:大学案内

平成27年度 学部入学式

2015年4月6日
福田 喬

皆さん、おはようございます。

電気通信大学へのご入学、誠におめでとうございます。ご来賓の学園活動後援会会長、長友貴樹調布市長、本学同窓会目黒会の野々村欽造会長、そして列席の役員、副学長、各部局長、および教職員、在校生とともに、皆さんを心から歓迎します。 ご家族の皆様のお慶びも一入のことと心からお祝いを申し上げます。会場の都合で、スクリーン越しのご挨拶となりますことをお許しください。

さて、皆さんをお迎えする今日、昨日と違って天気になりました。桜のも昨日の春雨にもめげず皆さんを待っていてくれたようです。また、正門を入られたら、歓迎の噴水とともに、植え込みの中の色とりどりのチューリップなどが、雨に濡れながらも皆さんを迎えてくれたことと思います。これらの花々は、地元調布市のボランティアグループの皆様が1年中お世話してくださっています。

その調布市と本学は友好協力協定を結んでおり、市や市民の皆様といろいろな交流があります。皆さんのご父兄に会員となっていただき、大学行事や学生行事、さらに、皆さんの海外留学や大学院ゼミ合宿、クラブ活動など、多岐に渡るご支援をいただいている「学園活動後援会」の会長を調布市長にお願いしているのも、その一環です。皆さんも、地元調布の皆さんとの交流に積極的に参加してください。

さて、今年、本学情報理工学部は、新入学生739名(※1)、3年次への編入学生38名、合計777名(※2)の方々をお迎えしました。そのうち女性の入学者は103名で女子入学生比率は13.3%(※3)となります。本学は他の工学系学部と同様に永らく女子学生比率は低い値にとどまっていて、1つの学年の女子入学者数が100名を超えたのは一昨年が初めてでした。以降、今年で3年引き続いての100名突破です。ほっとしています。
ただし、もっともっと女子学生比率を高める必要があると考えています。それは、私たちの社会は、ますます科学技術を基盤とする傾向を強めているからであり、科学技術に関する所有知の多寡が、人生の選択肢の幅から日常生活や職業生活の質にまで大きな影響を与えているからです。
そして何よりも、専攻分野に性別による大きな差があると、男女がイーコールパートナーとして作り上げ維持してゆくべきこの社会も、様々な局面で影響を受けることになり、その持続的発展を図る上で決して好ましいことではありません。
近い将来には本学における女子学生比率を、せめて20%程度にまでは引き上げたいと望んでいます。

また、入学者777名(※4)の中には、留学生の方が24名いらっしゃいます。言葉はもちろんのこと、文化や制度、習慣や常識など様々な面で大きく異なる環境の下で修学されることは、邦人学生とは異なる大変さが伴うことだろうと思います。それにひるまず本学を希望され入学された方々の勇気を称えるとともに、教職員一丸となってサポートする所存です。

さらに、今年は社会人の方が10名、夜間主課程に入学されました。社会に出られた後に学部教育を受けようと決断された背景はいろいろであろうと思いますが、社会人としての立場を維持しつつ修学することを決断されたことに対して敬意を表します。皆様がそれぞれに描いておられる修学目標が最大限達成されるよう、私たちも努力したいと思っています。

ところで、ここで本学のルーツについて少し述べさせてください。それは本学の大学名称の由来にも関係しているからです。
話はずいぶんと遡りますが、1912年(大正元年)に、北大西洋でイギリス客船タイタニック号が痛ましい海難事故に会いまいした。皆さんも聞いたことがおありと思います。世界では、この海難事故を契機として、海上交通における安全確保の重要性が認識され、特定船舶に無線通信設備の設置を義務付けようとする動きが起こりました。日本も少し遅れてその動きに呼応し、1918年(大正7年)に、現在の東京都港区に無線通信士の養成機関が創設されました。それが、社団法人電信協会による「無線電信講習所」です。 その後、この講習所は逓信省、これは今の総務省に相当しますが、その逓信省の所管となって官立化し、次いで文部省へ移管され、1949年(昭和24年)の国立学校設置法の施行により「電気通信大学」の名で大学として出発しました。これが本学の来歴です。 すなわち、本学の名称にある「電気通信」はそのルーツとなる無線通信士養成機関の名称の「無線電信」を引き継いだものです。ですから、当然のことながら、地名を含んでいません。これは、学部を持つ国立大学の中で唯一のものです。
このような由来の大学名称ゆえに、本学は電気および通信の分野に特化した大学と思われがちですが、開学後の高度経済成長とそれと歩を同じくする高度情報化社会の進展と共に専攻分野の拡充がなされ現在に至っています。今では、情報・電気・通信を核としつつ、物理工学、材料科学、生命科学、光科学、エレクトロニクス、ロボティクス、機械工学、計測制御、メディアなど、理工学の基礎から応用まで、広範な先端的分野で教育と研究を進めているのはご存知のことと思います。

このような理由から、本学の創立記念日は前身の無線電信講習所創設日の12月8日となっています。そして、一昨年の2013年(平成25年)には創立95周年を祝い、3年後の2018年(平成30年)には創立100周年を迎えることになります。

その本学の理念、ビジョンに、触れておきたいとおきます。
本学は、人類の持続的発展に貢献する知と技の創造と実践を目指し、3項目からなる理念を掲げていいます。第一は、万人のための先端科学技術の教育と研究、第二は、自ら情報発信する国際的研究者、技術者の育成、そして第三に、時代を切り拓く科学技術に関する創造的活動と、その実践を通しての社会との連携です。この理念の下で、本学は、先ほど触れた創立100周年までに目指すべき大学像を、「UECビジョン2018 ~100周年に向けた挑戦~」として掲げています。このビジョンの根幹を成す考え方は、「人々が心豊かに生き甲斐を持って暮らせる持続発展可能な社会の実現には、人、自然、社会、人工物に関する正しい理解の下、それらの間の、もの、エネルギー、情報の交換を含む適正な相互作用に基づく価値の創造、イノベーション、が不可欠である」というものです。そして本学は、そのようなイノベーションをもたらすための幅広く総合化された科学技術体系を、「さまざまな事象を広義のコミュニケーションの視点から捉え、関連する個別の学問、要素技術を総合的に適用し課題解決を図る」との視点から「総合コミュニケーション科学」と呼び、それに関する教育研究の世界拠点となることを目指すと、宣言しています

ところで、ここで言うイノベーションとは、革新とか、刷新とか、新機軸といった意味ですが、皆さんは、そういったイノベ―ションを生み出す人材に最も必要とされるものは何だと思いますか。
少し前、Harvaed Business Schoolの先生が、これこそイノベーションだと認められる革新的な製品やサービスを開発した人約100人にインタビューして調べたところ、いくつかある資質の中で、最も必要とされるものは「イノベーションに取り組む勇気」であるという結論になったそうです。
イノベーションを生み出すためには「イノベーションに取組む勇気が必要」というのは、議論がなんだか閉ループに入ってしまっているような気がしますが、実はそうではなく、噛み砕けば、「リスクをとる勇気が最も必要だ」ということを指しているのです。リスクとは危険そのものですから、リスクをとると失敗するかもしれないという不安に駆られるのが常です。が、そんな不安を乗り越える勇気が必要ということです。

皆さんのような若者の最大の特権は失敗しても許されるということです。学生の間にこそ、失敗を恐れず、いろいろなことにとことん挑戦して、リスクをあえてとるという勇気を身に付けるようにして欲しいと思います。
本学では、いろいろなことへの挑戦を志向する人に向けて、昨年度から「UECグローバルリーダー育成プログラム」という学部・修士一貫教育コースを開始しました。このプログラムにはそのコースの学生となるための条件がありますが、それをクリアした人に対して、通常よりも半年ほど早くに研究室配属や卒業研究着手を認め、学部卒業までに生まれる半年程のギャップ期間を利用して、国内外への短期留学やアカデミックインターンシップなどへチャレンジができるオフキャンパス研修、学外研修、を組込んだ弾力的なカリキュラムを提供することになっています。これによって、基礎学力の上に深い専門知識と創造力を身に付け、幅広い視野と世界の人々と交流できるコミュニケーション能力を持ち、もってグローバル化の時代を牽引し未来を切り開いて行くことのできる逞しい人材を育成しようとするものです。
この学部・修士一貫コースの詳しい説明はオリエンテーションなどでなされると思いますので、よく検討して多くの人がトライしてくださることを期待しています。

話は変わりますが、一昨年度(平成25年度)、文部科学省は、世界水準の優れた研究大学群を増強して我が国全体の研究力強化を図ることを目的とした「研究大学強化促進事業」を創設しました。そして全国の国公私立大学と大学共同利用研究機関、合わせて約780の大学・機関から、研究力に関する客観的指標に基づいて19の大学と3つの研究機関を集中的に支援する対象として選びました。本学は、その19の大学の1つに選ばれて、世界トップレベルとなることが期待できる大学の一つであるとの評価を受け、以後複数年に渡って特別経費による支援を受けることになりました。
本学は今、この追い風の下で、更に輝きを増すべく、研究力の強化と、その研究力を背景とした教育力の強化に取り組んでいることも、お伝えしておきたいと思います。

ところで、本学電気通信大学の正式英語名称は、The University of Electro-Communications です。頭文字からなる UEC を略称としています。この頭字語UECをそのまま使って、先ほどの「UECビジョン2018」に関するスローガンを作っています。

それは、Unique & Exciting Campus です。

このスローガンは、「電気通信大学(UEC)は、世界中の個性豊かな、Uniqueな若者が集い、楽しくてわくわくする、Excitingな、新しい知と個性を育てる学園、Campusを目指します」という意味です。覚えておいて頂きたいと思います。

最後に、本学にはおよそ460名の教員とおよそ150名の職員、そして、およそ5,000名の学生がいます。在学中に、いろいろな人と出会って生まれる人間関係は、将来きっと皆さんの人生を彩り深いものにすることでしょう。勉強や研究で出会う人のみならず、課外活動やその他の出会いを大切にし、自ら進んで人間関係広げ、深めていってほしいと思います。 我々教職員は、掲げる理念の下、ビジョン達成を目指し、本学の教育・研究環境をさらに充実させてゆきます。本日ご臨席のご家族や関係者の皆様には、引き続き、本学へのご支援や応援を頂けますよう、切にお願い申し上げます。

以上、皆さんのご入学をお祝いするとともに、皆さんが、Unique & Exciting Campus を合言葉に、充実した楽しい学園生活を送ってくださることを祈念して、私の歓迎の言葉といたします。

ありがとうございました。

※次の箇所を訂正の上、お詫びいたします。
(※1)新入学生 837名
(※2)合計 875名
(※3)女子入学生比率 11.8%
(※4)入学者 875名

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