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学長室から:大学案内

平成27年度 学部卒業式

2016年3月25日
福田 喬

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
ご来賓の学園活動後援会会長 長友貴樹調布市長、本学同窓会目黒会の野々村欽造会長、並びに本学名誉教授の先生方、そして列席の役員、副学長、各部局長、さらに教職員、在校生とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。また、皆さんが学業に励んできた間、皆さんを物心両面からしっかりと支えてこられたご家族の皆様が、会場の都合で、別室のスクリーン越しではありますが、多数お集まりいただいています。この晴れの日の喜びをご家族の皆様とも分かち合わせていただきたいと思います。

さて本日、卒業式を迎え学士号を授与された方は、情報理工学部が703名、電気通信学部が31名の合計734名です。これで、本学の学部卒業生は1953年(昭和28年)3月に最初の卒業生を送り出して以来、累積で36,566名となります。すなわち、皆さんには、3万6千名余の先輩がいることになります。本学のこれまでの高い社会的評価は、その先輩卒業生の社会での活躍に依拠しているわけで、これからは、皆さんの活躍が、本学の評価に大きくかかわってきます。大いに期待しております。

また、卒業される734名の中には女性の卒業生が83名いらっしゃいます。卒業生全体の11.3%にあたります。多様な視点や優れた発想を取り入れて均衡のとれた持続発展可能な社会を形成し維持してゆくためには、理工学の分野における女性の活躍をもっともっと広げなければなりません。その考えから、本学は、女子学生を増やすためのさまざまな取組みをしておりますが、そのためには、何よりも、女性の卒業生の社会での活躍を広く知ってもらうことが一番です。今日卒業される女子学生の皆さんには、ぜひ積極的にご自身が電気通信大学の卒業生であることをアピールして下さるようお願いいたします。 卒業される方々の中には、また、留学生の方が25名含まれています。遠く母国を離れ、言葉、文化、習慣の異なる異国での環境を克服されて、見事に卒業されますこと、心からお祝いするとともにその努力を称えたいと思います。 さらに本日の卒業生の中には、18名の社会人の方もいらっしゃいます。夜間主コースである先端工学基礎課程を卒業される社会人の方々です。昼間の就業と並行する夜間の修学を完遂されて見事に課程を修了されましたこと、深く敬意を表します。

なお、卒業生のうちの60%近い方は来年度から大学院へ進学されます。残りは就職を希望しておられる方々で、2月末の時点での就職内定率は95%近くとなっているようです。まだ、就職先未定の方が少し残っておられますが、大丈夫です。あきらめずに、希望を捨てずに、先輩等の助言を受けて、チャレンジし続けてください。

ところで、最近沸騰した話題の一つに、ディープラーニング、深層学習と言うのがあります。この3月に入ってから、グーグル傘下の会社が開発した「アルファ碁」という、ディープラーニングの手法で自己学習した人工知能、AIが、人間界で最も強い棋士の一人と目されているプロ棋士との対戦に、4勝1敗で勝ち越したというニュースです。驚くべきことです。実際の対局を観戦した別のプロ棋士をして、「アルフア碁は人間とは見えているものが違う」、「このAIが話せるなら、どう考えているか聞いてみたい」とまで言わしめたそうです。
実は、本学でも、「電聖戦」という日本棋院公認のプロ棋士とコンピュータ囲碁が闘う世界的にも有名な囲碁の公式定期戦が毎年開かれています。本学の「エンターテインメントと認知科学研究ステーション」が主催しているものです。今年は一昨日、3月23日に、学内で開催されました。事前に催されたコンピュータ囲碁大会で1位、2位となった2つのソフトが、あらかじめ3個の石を置くハンディキャップ戦(三子戦)でプロ棋士と対戦して、1位ソフトは4目半勝ち、2位ソフトは中押し負けと、1勝1敗の成績でした。これらソフトはいずれもディープラーニングの手法を組み込んでいました。
このディープラーニングの手法が優れている点は、大量のデータを学ぶことで、AIが自力で「特徴ある何か」の存在を見つけることができる点です。そして、最近の加速度的進歩は、アルゴリズムの改良が進んだのは勿論ですが、何よりも、ハードウェアの能力向上したこと、学習に用いるデジタルデータへのネットを介したアクセスが容易になったこと、そのデジタルデータそのものがネット上に大量に蓄積されるようになったことなどにより、従来よりも学習の精度や速度が飛躍的に進んだためだと言われています。今後さらにその進化は早まるものと思われます。
進化の果てに何があるのかと少なからず不安を感じるところですが、私はまだ楽観視しています。人工知能も今のところはまだ技術の範疇であり、その技術を支配するのはやはり人間だと思うからです。ただ、座してその楽観論に浸っていてはダメで、その技術が社会の中で適切に機能するような制度設計に人間は意を尽くさなければならないと思います。

このような人工知能の進化を例にとるまでもなく、科学技術の進歩により社会、経済の構造はもとより、知識や価値の創造プロセスまでもが大きく変わろうとしています。そのような大変革の社会に向かって、又は時代に向かって、皆さんは羽ばたこうとされているのです。その大変革の社会・時代においては、大学生活で身につけた知識や体験だけで対処しようとすることは不可能な場合があると思います。いや、過去の知識・体験だけでは不可能な場合がほとんどではないでしょうか。どうか、常に社会のニーズを自分でとらえ、今自分は何を為すべきかに想いを致し、必要とされる学びを生涯続け、自身を変化させ成長させて行ってください。希望に溢れる未来社会を構築する役割は、皆さんに託されています。

この卒業式で一つの区切りをつけ、新しいスタートラインに立った皆さんを、電気通信大学はこれからも応援していきます。卒業後も、ときにはキャンパスを訪ね、多くの友人や教職員と語らい、また同窓会活動の場として、また生涯の学習の場として、母校を積極的に活用してください。皆さんが人生の困難に直面したときなど、一層の知識や経験が必要となったときなど、そのような場合には、皆さんが学んだこの電気通信大学を思い出してください。そして気軽に大学を訪れてください。この大学で出会った多くの友人や教職員が皆さんの力となることを忘れないでください。

ところで、電気通信大学は、2年後の2018年に、創立100周年を迎えることになります。この記念すべき節目において来し方を振り返るとともに、次の節目に向けてその存在価値をさらに高めるべく、いろいろな視点に基づく機能強化のための改革に取り組んでいます。100周年キャンパスの新営計画もそうですし、大学の財政基盤をより強固にして、学生諸君への奨学支援や国際交流支援などを充実させることを目指したUEC基金の創設もそうです。
また、100周年とは独立ですが、大学と卒業生の絆をさらに強固にするために、生涯メイルシステムも起動させました。このシステムは、卒業生・修了生・退職教職員のすべてにUEC生涯メイルアドレスを無料で提供するもので、生涯にわたり、様々な電通大関連情報の配信や、恩師、同窓生、友人などからの連絡を、受け取ることができるメイル転送サービスです。大学を去られる前にぜひ、生涯メイルへの登録を済ませておいて頂けるようお願いいたします。
先のUEC基金への募金にもぜひご協力ください。学生時代に貸与型奨学金を受けていて、その返済が始まるので寄付は無理だという方もおいででしょう。そのような場合はUEC基金への呼びかけ活動にぜひご協力いただきたいと思います。

100周年を祝う式典を含めた記念事業の企画も進めています。記念式典では皆さんを含め多くの卒業生に集っていただき本学の節目をともに祝いたいと願っています。

最後に、学部卒業の734名の皆さんが、それぞれの目的に合った場所を見つけ、自らの学習や研究の成果を生かして、生き生きとご活躍されることを願い、2年後の100周年祝賀の式典でまたお会いできることを期待し、私のお祝いのことばとさせていただきます。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。

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