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学長室から:大学案内

平成29年度 学部卒業式

2018年3月23日
福田 喬

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

ご来賓の本学学園活動後援会会長の 長友貴樹 調布市長、本学同窓会目黒会の野々村欽造 会長、当法人監事団の 松山優治 監事、並びに本学名誉教授の先生方、そして列席の役員、副学長、各部局長、さらに教職員、在校生とともに、皆さんのご卒業を心からお祝い申し上げます。
本日は、卒業される皆さんのご家族、ご友人、ご関係の皆様が、会場の都合で、別室のスクリーン越しとなってしまいましたが、多数お集まりいただいています。卒業される皆さんは、これらの方々からの長年にわたるご支援に対して感謝の気持ちを、きまりが悪いなどと思わず、素直に伝えてください。私たちも、ご家族、ご友人、ご関係の皆様方のここに至るまでの様々なご苦労やご支援に対して御礼を申し上げ、本日の喜びを分かち合わせていただきたいと思います。

さて本日、卒業式を迎え学士号を授与された方は、情報理工学部が787名、電気通信学部が5名の合計792名の方々です。その中の電気通信学部卒業の方々は、4年以上かけてじっくりと学ばれた人たちで、多分通常よりも多くの有意義な体験を楽しまれたであろう強者達と言えましょう。
また、卒業される792名の中には女性の方が106名おられます。全体の13%強にあたります。均衡のとれた持続発展可能な社会を形成し維持するためには、理工学および関連分野における女性の活躍をもっともっと広げなければなりません。その考えから、本学は、女子学生を増やしたいと様々な手を尽くしております。が、そのためには、何よりも、女性の卒業生の社会での活躍を知ってもらうことが一番です。女子学生の皆さんは、ぜひ積極的にご自身が本学電気通信大学の卒業生であることをアピールするとともに、社会で活躍して、後に続く人にとっての良きロールモデルとなって下さることを期待します。
卒業される方々の中には、また、留学生の方が18名おられます。言葉はもちろんのこと、文化や制度、習慣や常識など、様々な面で大きく異なる環境下で修学することは大変困難であったろうと思います。それを乗り越えて本日を迎えられたことに対して、皆さんを称えたいと思います。
さらに本日の卒業生の中には、16名の社会人の方もいらっしゃいます。夜間主コースである先端工学基礎課程を卒業される社会人の方々です。昼間の就業と夜間の修学を共に完遂されて見事に課程を修了されました。深く敬意を表します。

これで、本学の学士は、1953年(昭和28年)3月に最初の学部卒業生を送り出して以来、累計で38,081名となりました。皆さんにとって、これまで、およそ3万7千名の先輩がいました。本学のこれまでの高い評価は、その先輩卒業生の社会での活躍に依拠していると言っても過言ではありません。そしてこれからは、皆さんもそれに加わって、合わせて3万8千名余の活躍が、将来の本学の命運にかかわってくるということになります。大いに期待しております。

話は変わりますが、卒業するという言葉を英語ではGraduateと表現することはご存知でしょう。このことに関連して少し述べさせてください。
少し調べてみましたら、卒業する=Graduateはラテン語の gradusに由来するそうです。gradus は「歩く」とか「足どり」といった意味で、Progressionは前へ進むこと、すなわち進歩を意味し、Regreaaionは逆に後ろへ進むこと、すなわち後退することを、さらにGradeは歩いて積み重ねていくもの、すなわち段階、階級を意味するわけです。学位を意味するDegreeの語源はその「Grade=段階」から由来していて、一歩一歩上っていった先の「区切りとなっている段階」という意味から来ているそうです。そのようなことから、Graduateという語は「ある段階から一段高い段階に進む」という意味を持っていて、それで卒業を表すときに使われています。
皆さんは、小学校から中学、高校、大学とそれぞれの教育課程を1年ごとに学年というステップを積み重ねて進歩してきました。そして本日、学士課程の段階をクリアし、学士という学位記の授与を受けてGraduateし、社会に、または学士課程の一つ先のステップである大学院に進まれることになります。
そこで、とくに、卒業後に直ちに社会に羽ばたく方々に考えていただきたいと思います。
皆さんには、これまで1年ごとにステップを踏んできた「学年という指標」、いわば、一段高い課程に進むという「進歩の指標」はもうありません。本日迎えた、大学卒業というステップが教育課程としての最後の区切りとなります。これからのあなた方の進歩・成長を評価する指標は、今後あなた方が成し遂げる「変化」のみです。考えてみれば、この世に存在するすべての事象は変化から免れません。生命も、物質も、社会の態様もなにもかも、時間とともに同じ状態では存在できません。すなわち、私たちは常に変化を求められています。努力を怠り、じっとそのままでいると必ず悪い方向に変化していきます。良い方向に変化するには、絶え間ない努力が必要なのです。
本日、卒業式を迎えられた皆さんは、入学時から努力を重ね、間違いなく変化をとげ成長されてきました。その証が先ほど授与した卒業証書・学位記です。電気通信大学は、皆さんが学士にふさわしい技術者としての実力を備え、学士にふさわしい教養と人格を備えていることから、それを社会に向けて保証したのです。ただ、意地悪く言えば、この保証は、本日の日付におけるものであり未来永劫の品質を保証するものではありません。社会に出ると、解決すべき具体的な問題にいきなり直面することになります。大学生活で身につけた知識や体験だけで対処できる問題もあると思いますが、それだけでは不十分なことの方が多いと思います。どうか、常に社会のニーズを自分でとらえ、必要とされる学びを生涯続け、自分自身を変化させ成長させて行ってください。
この卒業式で一つの区切りをつけ、新しいスタートラインに立つ皆さんを、電気通信大学はこれからも応援します。卒業後も、ときに母校を訪ね、この電気通信大学を人生の基軸の一つとして、多くの友人や教職員と語らい、同窓活動の場、生涯の学習の場として、積極的に活用してください。皆さんが人生の困難に直面したときなど、一層の知識や経験が必要となるでしょう。そのような場合には、皆さんが学んだこの電気通信大学を思い出してください。そして気軽に大学を訪れてください。電気通信大学との縁は、同窓会や生涯の学びを通じてこれからも続きます。この大学で出会った多くの友人や教職員が、これからも皆さんの力となること忘れないでください。

ところで、今年2018年は、本学にとっていよいよ創立100周年の年となります。今年の創立記念日12月8日には100周年祝賀の式典を行う予定であり、それに向けてのカウントダウンが、皆さんも目にされていると思いますが、キャンパス沿いに立てたボード上で刻まれています。今日、そのカウントダウンクロックは、祝賀式典の12月8日まであと260日となっている筈です。
この記念すべき節目において来し方を振り返るとともに、次の節目に向けて本学・電気通信大学の存在価値をさらに高めるべく、いろいろな視点に基づく機能強化を進めてゆく所存です。そしてその為に、この100周年の節目と、それを越えて更なる先を目指すためのスローガンとして「ひらけ、INNOVATION!」を掲げています。スローガン冒頭の「ひらけ」はわざわざ“ひらがな”表示としています。これは“漢字”をあてはめることによって、それこそ、いろいろな意味を取り込めるからという目論見です。例えば、「門を開く」「花が開く」といった「新しく始める」という意味、「未来を拓く」「運命を拓く」といった「今まで無かったことに挑戦する」という意味、「知識を啓く」「悟りを啓く」といった「解らないことを理解できるようにする」という意味、「書物を披く」「押し披く」「あらわし示す」といった意味、などなどです。
その「ひらく」を、「INNOVATION」に向けて被せて、『電気通信大学は、教育・研究のダイナミズムの下、“知”の創造拠点であり続けるとともに、グローバル社会にそれらの“知”を還元し続けます』という意を込めています。
皆さんもぜひ、この周年記念のスローガン「ひらけ、INNOVATION!」を心に留めて、今後も卒業生としての本学へのサポートをどうかよろしくお願いします。

また、100周年とは独立ですが、大学と卒業生の絆をさらに強固にするために、本学は生涯メイルシステムを起動しています。このシステムは、卒業生・修了生・退職教職員のすべてにUEC生涯メイルアドレスを無料で提供するもので、生涯にわたり、様々な電通大関連情報の配信や、恩師、同窓生、友人などからの連絡を受け取ることができるメイル転送サービスです。大学を去られる前にぜひ、生涯メイルへの登録を済ませておいて頂けるようお願いいたします。
本学ではまた、大学の財政基盤をより強固にして、学生諸君への奨学支援や国際交流支援などを充実させたいとするUEC基金を立ち上げています。その基金への募金にもぜひご協力ください。ただ、学生時代に貸与型奨学金を受けていて、その返済が始まるので寄附は無理だという方もおいででしょう。そのような場合はUEC基金への募金呼びかけ活動に、ぜひご協力いただきたく、お願いいたします。

最後に、本日学部を卒業される792名の皆さんが、それぞれの目的に合った場所を見つけ、自らの学習や研究の成果を生かして、いきいきとご活躍されることを願い、私のお祝いのことばとさせていただきます。

本日は、ご卒業、誠におめでとうございます。

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