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学長室から:大学案内

令和2年度 学長告辞 (学域)

2020年4月8日
田野 俊一

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

本学に入学される新入生のすべての方々に心からお祝いを申し上げるとともに、本学の役員、教職員、在校生を代表して、皆さんを心から歓迎いたします。同時に、本学を勉学の場に選んでくださったことに感謝申し上げます。
新入生の皆さんをここまで育て上げてこられたご家族の皆様にも心からお祝いを申し上げます。

新入生、ご家族の皆様には、新しいスタートとなる入学式を心待ちにされていたことと思いますが、新型コロナウイルス感染の拡大防止のため、慎重に検討を重ね、皆様の健康と安全を最優先に考え、入学式の中止し、さらに前学期授業開始日を5月7日まで延期するという苦渋の決断をいたしました。本来であれば、入学式の場においてお祝いの言葉を述べるところですが、このようなかたちでのご挨拶となりますことをご理解賜りますようお願いいたします。

今年、情報理工学域は、1年次への新入学生787名、3年次への編入学生43名の合計830名の方々をお迎えしました。その830名のうち93名の方が女性で、女子学生比率は11.2%となります。今年も47都道府県ほぼ全てから入学生を迎えることができました。

まず、高校を卒業したばかりの皆さんに、一般的な大学生としてのアドバイスを申し上げます。
高校での勉強と違い、数学などの共通教育や情報、通信、機械、物理、化学等の専門教育のいずれにおいても「厳密さ」が桁違いに求められます。数式を用いた解析、実験による真理の探究の両面において、その前提条件の設定、導出過程など全てのステップを厳密な論理展開で進めることが求められます。最初は戸惑うことでしょう。しかし、この厳密さが科学・技術の発展の基礎となっており、第一に身につける素養です。
学域(学部)では共通教育を経て専門教育に進みます。高校と同じように、先人たちの知識がきれいに整理された教科書群が整備されており、それを学ぶことが主になります。学ぶ内容が専門的になり、その論理展開の厳密さが異なりますが、先人達の知識を学ぶという意味では高校と同じです。しかし、4年時の卒業研究では、誰も解いたことのない問題、それももしかしたら答えがないかもしれない問題に1年間取り組みます。これも高校での学びとは本質的に異なります。苦しみでもあり、楽しみでもあります。きっと貴重な体験になることでしょう。

次に、本学の学生としての皆さんに、本学についてご説明します。
電気通信大学は1918(大正7)年に無線通信技術者の養成機関として創設された社団法人電信協会管理無線電信講習所がその起源です。その後、1949(昭和24)年に国立学校設置法施行により新制大学として開学しました。当初、「電波大学」という名称で文部省への申請準備が進められていましたが、設置準備委員の中から「大学には一般的に工学部があり、その中に電気通信工学科があって、またその学科の中に無線電信電話等を含んだ電波工学がある。この最も狭い範囲の『電波』を大学の名称とすることは、将来の大学発展のためにはふさわしくないから、電気通信大学としては如何か」という提案があり、大学の将来を見据えて「電気通信大学」の名称となりました。
また、電気通信大学は学部を持つ国立大学の中で唯一、大学名に地名を含んでいません。これは、日本全国に開かれた大学を創ろうという精神に基づいたものです。

本学は一昨年、100周年を迎えました。過去一世紀は正に「電気通信」の時代であり本学は輝いていたと言えるでしょう。本学が得意とするICT(情報通信技術)は社会の基盤であるとともに、Innovationの原動力であり、これからの百年も輝き続けると信じています。

本学では、人間・社会・自然の秩序を形成する物・エネルギー・情報の相互作用をコミュニケーションと捉えます。通信による情報交換のみならず、生命活動を維持する細胞間の物質交換、経済活動を促す貨幣の交換、自然界でのエネルギー交換も、すべてコミュニケーションと考え、これを研究対象とする科学を、「総合コミュニケーション科学」として提唱しています。
皆さんは超スマート社会、Society5.0という言葉をご存知でしょうか。Society1は、狩猟社会、2が農耕社会、3が工業社会、4が現代の情報社会です。Society5.0は現代社会の次に来る未来社会という意味です。これをコミュニケーションの変遷という観点で見ていくと、Society1は人と自然、2が人と社会、3が人と機械、4が人と情報のようにコミュニケーションが非連続に変化していることが分かります。Society5.0では、人と疑似AIとの対話や、モノとモノとが話し始める(IoT:Internet of Things)など、さらに新たなコミュニケーションが出現することになります。
まさに本学が掲げる「総合コミュニケーション科学」の花開く場が超スマート社会、Society5.0であると言えます。
超スマート社会、Society5.0の実現に必要とされる基盤技術を内閣府が、光・量子技術から、素材ナノテクノロジー、ロボット技術、ネットワーク技術、AI技術などにまとめていますが、これらすべての専門領域は、本学の情報理工学域のⅠ類、Ⅱ類、Ⅲ類でカバーされています。つまり、本学は超スマート社会、Society5.0を牽引する大学と言えます。

本学は、産業界で活躍できる優れたエンジニア、研究者を多数養成してきています。企業からの評価は高く、学生の就職状況は非常に良い大学です。皆さんは、未来社会を創造するエンジニア、研究者として世界中で活躍することになるでしょう。

最後に皆様に2つだけお願いを申し上げます。
地元調布市と本学は、友好協力協定を結び、大学と調布市及び調布市民とは交流を深めています。調布駅前の交差点から大学の前の甲州街道までの約300メートルの道は「電通大通り」と名付けられているのもこの一環です。また、皆さんの大学での活動を支援いただいている「電気通信大学学園活動後援会」の会長を調布市長にお願いしています。この学園活動後援会は、皆さんの保護者の方々の会費によって運営されており、法人としての制約で大学が支援できない部分を補完するという役割を担っていただいております。具体的には、学生の研修や行事、サークル活動、さらに会員学生を対象とした学生の海外派遣や大学院合宿ゼミなどの幅広い支援をいただいております。事業の性格上、会員学生のみを対象とせざるを得ないことから、ぜひ多くの学生が支援を受けられるように、多くの保護者の方に参加していただくようお願いいたします。

また、本学では、本学における教育研究の活性化及び学生支援並びにその活動環境の整備充実等を図ることを目的として、国立大学法人電気通信大学基金を設置しています。具体的には、成績優秀者(留学生を含む)に対する奨学金、学生の海外派遣等の国際交流に活用しています。また、支援内容は同じですが、学資支援基金として経済的理由により修学が困難な学生に向けた基金も用意しております。新入生、ご家族の皆様にもご協力いただければ幸いです。

本学のキャッチフレーズは、Unique & Exciting Campusです。これは、電気通信大学の英語名称のThe University of Electro-Communicationsの略称「UEC」と同じです。電気通信大学(UEC)は、世界中の個性豊かな(Unique)若者が集い、楽しくてわくわくする(Exciting)新しい知と個性を育てる(Campus)にしたいと願っています。

本学で学べる日が来るのを待っていてください。必ずその日は来ます。

我々も皆さんと会える日が来るのを楽しみにしています。

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