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概要

UEC WOMAN No7 Campus

ベテラン療法士がそばにいなくても、自分で効果的なリハビリテーションができる手法を研究脳卒中などの脳損傷により、体を自由に動かすことができなくなってしまった方々がいます。私が取り組んでいる研究は、そんな失われた運動機能を回復させるリハビリテーション手法の開発です。機能的電気刺激を与えることにより、筋肉を収縮させて運動を誘発し、身体機能の回復を図るというものです。私が在籍している横井研究室は、工学と医学の連携によって世の中へ貢献することを考えている研究室です。その研究は、2つの分野に大きく分けられます。ひとつは、失った機能をほかのもので代替する「機能代替え」。欠損した腕の代わりとなる電動義手の研究開発が代表例です。そしてもうひとつの分野が、私が取り組んでいる「機能回復」です。現在の多くのリハビリテーション機器は、病院で行なうことや療法士のサポートがあることが前提で開発されています。一方、私が開発に取り組んでいるのが、いつでも、どこでも自分ひとりでリハビリテーションができるシステム。シール状の電極を体に貼って使うもので、将来的に実用化できればベテランの療法士がそばにいなくても、自宅で効果的なリハビリテーションが行なえるようになります。私は成蹊大学大学院に在籍し、もともとは工学ではなく、生物化学の分野で電気刺激装置の電極をつくる研究をしていました。リハビリテーション機器や脳科学に興味をもったのはその頃です。博士前期課程修了後、プログラマーとして企業に就職しましたが、会社員として働くうちにやはり研究を続けたいという気持ちを再確認し、研究の世界に戻りました。そんな自分の経験から、もし進路に迷っている方がいたら、とりあえず進んでみればよいと思います。違うと思ったら、いつでも方向転換はできますし、取り組んできたことは、決して無駄にはなりません。研究者としての評価は「実績」であり、そこに男女の性差はありません。日々やるべきことをしっかり積み重ね、実績を出す努力を続けていく。そして今後は自分の研究に向きあうともに、次世代の人々を育てる教員の仕事をめざしたいと考えています。研究中の電気刺激装置(Functional ElectricalStimulation)。患者自身が、自分の意思で電気刺激を与えることで筋肉を収縮させ、運動を誘発する。誰でも簡単に使え、電気刺激による不快感の少ないリハビリテーション装置の開発をめざしている。大平美里さん大学院情報理工学研究科知能機械工学専攻先進ロボティクスコース博士後期課程2年成蹊大学大学院理工学研究科理工学専攻博士前期課程修了私立日本大学第二高等学校出身、成蹊大学理工学部卒業UEC WOMAN in Campus 11