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概要

UEC WOMAN No7 Society

UEC WOMAN in Society5光による画像処理分野に興味を持ち正本研究室へ進化するメディカル分野医学知識も学びながら成果物を世に出したい入学当初は、多少の戸惑いもあった。「女子の少なさは覚悟していましたが、初めはもう少し華やかな大学生活を想像していました(笑)。勉強も予想以上にハードで、特に実験レポートには苦労しましたね。友人とスカイプをつないだり、就職活動は、光を使った医療機器やその内部のセンサーを製作するメーカーに絞った。自分のやりたいことと方向性が近かったソニーに入社。現在はアプリケーションの開発のために細胞の培養実験を行いながらデータ解析にも取り組み、「思った以上に、大学の学びが生きている」ことに手ごたえを感じている。メディカル分野は、ソニーの中でもニッチな分野で、医療機器開発に取り組み始めたのも最近のことだ。製品は再生医療や創薬の研究現場に導入されているが、もっと普及させたいと意気込む。「将来的には、細胞分析から罹りやすい病気がわかったり、治療方針を決定したりすることができる製品が登場するかもしれません。開発にあたっては、医学知識も必要になることを実感。テキストを買って細胞生理学など勉強しつつ守備範囲を広げて、何らかの成果物を世に出したいですね」と言う村田さんが医療への興味を覚えたのは、中学時代。痛くない注射針は、蚊の口の構造を模して開発されたと知って、そのアイデアに感銘を受けた。医療機器は人体には欠かせないもので、しかも身体に直接触れる。それだけに高い技術力も必要とされ、そんな医療機器開発の分野に大きな魅力を感じたのである。一方、幼い頃からずっと身近にあったのが、ものづくりの経験だ。日曜大工が好きな父親の影響で、中学時代にはハンドクラフト部に入部。木材を加工、組み立てて精密な家の模型を完成させるなど、手を使ってものを作る世界に没頭した。高校に進学し、医療分野とものづくりを合わせた学びができないかと考えていた先にあったのが、電通大の知能機械工学科だったのだ。泊まり込んだりして取り組みました。仲間がいたから学生生活も充実し、勉強も乗り越えることができたのだと思います」レポート作成中は、それ以外のことはまったく頭に入ってこないくらい勉強したと、1年次を振り返る。2年次に進むと、専門分野の実験が始まる。本質的な考察が求められるようになり、レポートの難易度は増したが、興味のある分野も明確になってきた。それは、光を使ってものを見る画像処理の分野で、医療にも利用されているということを知って一層関心が強まった。そして「やりたかった研究はこれだ」と確信し、所属したのが正本和人准教授の研究室だ。「光イメージング技術により、血管内を流れる血球の動きや神経の活動を画像計測し、物質の輸送現象について研究している研究室です。その中で私が取り組んだのは『脳内の細胞間におけるブドウ糖の輸送について』。ブドウ糖が脳内でどう輸送されているのかを医学的に明らかにすることができれば、将来弱っていく神経細胞に栄養を送って活性化させたり、必要なところにブドウ糖を送って、効率的に脳を使えたりする可能性を秘めています」さらに研究を続けるべく、大学院に進学。現在、脳内の細胞間のコネクションについて解明はされていないが、村田さんの研究では、糖がどのように血管外に出るかの解明につながる成果を出した。プロジェクトメンバーとして、営業的視点も持つようにソニーに入社実習で原点に立ち返る生協学生委員会の活動に力を入れた物理のおもしろさがわかり、悩むことなく理工系を選択製品の企画開発から販売にまで関わる。ユーザーの声を製品開発にフィードバックする点がおもしろく、大学時代、生協学生委員会でイベント企画や運営をやった経験が生きていると感じる。ものづくりの現場を体験する3週間の製造実習で、放送機器を製造している工場で働いた。多品種少量生産の工場だったのでいろいろな基盤の最終加工に携わり、機械好きの原点に立ち返ることができた。生協のイベント企画や学園祭のフリーマーケットなど、勉強以外の時間をすべてつぎ込むほど学生委員会の仕事にのめり込む。イベントに向けてコツコツと準備を重ねる仕事は、達成感が大きかった。滑車の問題で、物理の先生が滑車にボールのついたおもちゃを見せながら解説してくれた。目の前で起きている現象が今解いている数式と合致していることがわかり、物理のおもしろさに目覚める。現在25歳大学時代18歳学生委員のフリーマーケットでアメリカの学会に参加した際に、現地で知り合った学生たちと(前列右)細胞の培養実験を記録しているノート。どう記録すれば効率的に解析できるかを考えて、自分なりに工夫している。大学時代、記録をおろそかにして、まとめるときに苦労した経験から生まれたやり方だ。Activity