データ関連人材育成拠点 研究室紹介
ITSを高度化する「車両アドホックネットワーク」の研究
名前 | 策力木格(ちりむげ)准教授 |
---|---|
所属 | 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 |
OPAL-RING | https://www.uec.ac.jp/research/information/opal-ring/0005880.html |
研究室ホームページ | http://comp.is.uec.ac.jp/wp/clmg_jp |
研究概要
高度道路交通システム(ITS)向けの無線ネットワークの通信プロトコルを研究する。特に車両間で通信する車両アドホックネットワークについて、自律分散的に処理する手法を提案した。例えば、事故情報をある車両が検知した際、近隣の車両にリアルタイムに伝えることで事故渋滞の緩和や運転環境の快適化に貢献する。
研究テーマ
車両アドホックネットワーク
現在の渋滞情報は、カーナビシステムから自動で情報を集め、その情報をラジオなどで一斉に流す。そのため皆が同じ情報を受け取ることになる。この「集中型」ネットワークに対して、各車両に無線装置を搭載して車両アドホックネットワークによる「自律分散型」のネットワークを構築し、近隣の車両に個別の情報をリアルタイムに送れるようにした。
ファジィ論理と機械学習
車間の通信距離や通信品質が頻繁に変化する中で、自律分散型ネットワークを柔軟に構築するため、人間のように柔軟に推論できる「ファジィ論理」と、自動的に学習し機能を高める「機械学習」の手法を組み合わせた通信方式を提案した。これにより信頼性が高く、高効率で高速動作が可能なネットワークが実現できる。
実機にも搭載
企業との連携により、車両アドホックネットワークを利用した新開発の通信装置が、自動車レース「SUPER GT」に参戦している実際のレーシングカー「OGT Panasonic PRIUS」に搭載された。走行経路や移動距離、スピードなどの車両情報を自動で収集できるため、レース結果の迅速な集計や練習環境の向上などにも役立つ。
- アドホック通信を利用したテレメトリーシステム
- 車両アドホックネットワークを利用した事故回避支援システムの一例
経歴
中国出身で本学で博士号を取得。先駆的な日本のITS分野において車両アドホックネットワークを実用化し、「交通事故や二酸化炭素の削減に寄与したい」という。