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国立大学法人 電気通信大学

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ベンチャー創業・育成支援:研究・産学連携

研究テーマの紹介

研究テーマの紹介(Ⅰ)医工連携

基調講演「医工連携による医療機器開発エコシステム」

谷下 一夫 氏(日本医工ものづくりコモンズ理事長(慶應義塾大学 名誉教授))

概要

輸入超過で推移していた医療機器は、日本独自の技術で開発を達成すべく過去10年間に顕著な進展が見られる。医療現場で有用な医療機器を創出するためには、医療現場とものづくり現場と密に連携するという医工連携が必須であるが、従来分野間の壁が厚い我が国では、両者が密に関わるチーム構成は容易ではなかった。最近では、両者間の壁を乗り越える様々な動きが見られるようになり、優れた医療機器の製品化も見られるようになっている。このような最近の動きを踏まえて、医療現場で有用な医療機器開発の実現を目指すための医療機器開発エコシステムに関して概観します。

テーマ「医療・バイオはあたらしいデジタルだ-医デジ化による超高精度な診断・治療の実現-」

小泉 憲裕(機械知能システム学専攻/脳・医工学研究センター 准教授)
11時00分から11時30分

概要

10年後の医療を持続可能なものとするために医療のデジタル化(医デジ化)により高度な医療診断・治療技能/技術を一般的な医療従事者であっても簡便かつ随意に、安全・安心・安定的に思いやりをもって扱えることが求められてきている。これを踏まえて我々は、AI・IoT・ロボット技術を援用して、現状、医療専門家の間で閉じられているノウハウやスキルをデジタル(ロボット)に再現・再構築する手法を研究・開発している。

テーマ「非接触バイタルサイン計測技術の研究開発と感染症疑い患者の検出への応用」

孫 光鎬(機械知能システム学専攻/脳・医工学研究センター 准教授)
11時30分から12時00分

概要

生体情報センシング技術の進歩はすさまじく、次々と新しい生体計測センサーが開発されている。計測された正確な生体情報を医師に提供し、適確に異常に対応することが生体情報センシングの必要性と真の意味がある。しかし、患者の身体にストレスを与えるような生体計測法では、苦痛を与え患者の状態を乱し、計測結果がその影響を受けることで真の情報が隠れてしまう恐れがある。このような問題を回避するため、近年、非侵襲、無拘束、非接触での生体計測法が注目を集めている。その応用分野は、乳児呼吸監視、災害時の瓦礫下の生存者発見、高齢者見守りシステム、睡眠時無呼吸判別、感染症の疑いがある患者の検出、ストレス度の非接触測定などの多岐にわたる。
本講演では、本技術を応用した感染症疑い患者の検出について紹介する。コロナウイルスなどの流行拡大を防止するため、空港検疫所等でサーモグラフィによる発熱チェックが実施されている。しかし、感染の疑いのある渡航者も解熱剤服用時には検出が困難であり、サーモグラフィの有用性を疑問視する報告までも散見される。そこで本研究グループでは、小型マイクロ波レーダ等のセンサーを用いて体温・心拍数・呼吸数を約10秒で計測し、計測結果からニューラルネットワーク判別関数を用いて感染症発症の有無を判別するスクリーニングシステムを開発した。本システムは体温のみではなく、感染症による心拍数・呼吸数の上昇を正確に捉えることで良好な精度を得ることができる。

研究テーマの紹介(Ⅱ)電通大の研究テーマ紹介

テーマ「LPWANの伝送速度を向上させるためのパケット型インデックス変調」

安達 宏一(先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター 准教授)
14時55分から15時15分

概要

省電力広域無線ネットワーク(LPWAN)において、既存の規格に変更を加えることなく、1つのデータパケットで伝送できる情報ビット数を増大させるためのパケット型インデックス変調の提案を紹介する。本提案は、周期的に観測データを生成・送信するようなセンサネットワークに有用な技術です。多くの既存技術では、無線資源割当などによりパケット配信率(PDR)を増大させることで、実質的な情報ビット伝送量を向上させている。一方で、本技術では、周期的に生成されたデータを送信する時間・周波数を選択することにより送信できる情報ビット数を増加させることができます。

テーマ「近赤外発光基質の創製」

牧 昌次郎(基盤理工学専攻 准教授)※ 当日は北田研究員代行
15時15分から15時35分

概要

ホタル生物発光型の長波長材料の開発を行い、天然発光酵素を利用して、ホタル生物発光型では450nm~675nmの長波長発光材料の創製を実現しました。また、現在市販中の675nmの発光基質【市販では世界最長】の課題であった水溶性を改善した材料の創生も達成しました。癌研究、再生委療、脳神経にかかわるインビボイメーイング技術への応用が想定されます。本発表ではこの詳細について紹介します。

テーマ「スマートフォン型医療診断センシングシステム及び液中試料向け顕微鏡観察セル」

サンドゥーアダルシュ(基盤理工学専攻 教授)
15時35分から15時55分

概要

  • (1)Point Of Care Testing (POCT)応用に機能磁性粒子とスマートフォンを融合することで、新たなバイオセンシング手法を開発しました。具体的には、テスト用溶液中のナノ磁性粒子の力学的な運動の有無を出力信号とした標的物質の検出を行った。外部電場および磁場によりナノ粒子の運動を制御し、その動きをトラッキングすることで、検出対象物質の濃度を定量的に検出できます。
  • (2)液中試料観察用透過型電子顕微鏡(WET-TEM)の循環型ナノカプセルの作製および液中200nm粒子の振舞についてWET-TEMでの観察に成功した内容を報告します。

テーマ「光コムによる光演算を用いた瞬時3次元計測手法」

加藤 峰士(基盤理工学専攻 特任助教)
16時00分から16時20分

概要

本発表では、周波数制御された光コムによる高精度な全帯域位相制御を応用した瞬時3次元計測手法について解説する。具体的には、光コムを特徴付ける2つの周波数を制御することで2位相ロックインアンプに相当する情報を光学的に生成し、これによる干渉画像を画像素子で撮影することで高解像度な3次元情報を瞬時に計測します。本手法によれば、被測定対象の3次元情報はフェムト秒(10^-15 秒)パルスで記録されるため、従来手法では測定困難な超高速現象を正確に計測することが可能です。さらに、正確な間隔で並ぶパルス列を用いることで6桁を超える広ダイナミックレンジ計測も可能であり、従来手法を凌駕する時空間的な広ダイナミックレンジ計測を実現することができます。

テーマ「同一周波数多重通信用アンテナモジュールおよび関連技術」

石川 亮(情報・ネットワーク工学専攻 教授)
16時20分から16時40分

概要

同一周波数多重通信の実現に向けて、複数の円形ループアンテナ(異なる直径で同心配置)が各々生成するOAM(軌道角運動量)波間のモード直交性を利用した、ループアンテナアレイモジュールを紹介します。また、同時に非接触給電を実現する機能を組み込んだアンテナモジュールも紹介します。既存技術では、OAM波を発生させる方法として、複数のアンテナを円状に配置して位相制御する方法などが提案されているが、今回提案するループアンテナの方法は、従来の方法に比べて、簡便にOAM波を生成することができます。

テーマ「秘密計算を用いた制御システムのサイバーセキュリティ強化技術」

小木曽 公尚(機械知能システム学専攻 准教授)
16時40分から17時00分

概要

本発表では、制御システムのサイバーセキュリティ対策技術として注目されている暗号化制御とその応用事例を紹介する。暗号化制御とは、公開鍵暗号方式(秘密計算)を組み込むことで、PIDゲインパラメータやセンサ信号を暗号文のままで記述するセキュアな制御器の実装法である。現存の制御システムでは、制御演算の前に暗号文信号を復号する必要があるため、制御装置への不正アクセスなどの高度なサイバー攻撃に対しては脆弱であるが、暗号化制御はこの点を解決するもので、応用事例を交え、暗号化制御がサイバーセキュリティ強化技術として有用であることを説明する。
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産学官連携センター
メールアドレス:r-day@sangaku.uec.ac.jp