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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
前川 研究室

航空機器や動力エネルギーシステムの高効率化や身近な環境の
快適性・安全性を高める流体力学的機構

所属 大学院情報理工学研究科
知能機械工学専攻
メンバー 前川 博 教授
所属学会 日本機械学会、日本流体力学会
研究室HP http://www.maekawa.mce.uec.ac.jp/
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掲載情報は2015年8月現在

前川 博 Hiroshi MAEKAWA
キーワード

DNS(直接数値シミュレーション計算スキーム)、重み付非線形コンパクトスキーム、流体実験、空力音響学、流体騒音、乱流、環境、エネルギー、流体力学、安定性理論

研究概要

流体力学的機構を有効活用しロケットや超音速機の騒音や振動の低減

当研究室では、高速な空気の流れから発生する騒音について研究している。具体的には、次世代の超音速旅客機やJAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発しているロケットなどへの「騒音・振動対策」などがそれだ。
ロケット打ち上げの場合には、単純にロケットだけを考えればよいというわけではない。ロケットの形状をはじめ基地の地形、打ち上げ装置の形状、液体燃料なのか固体燃料なのか、素材はどうか、打ち上げに関わるすべての要素で騒音・振動対策を考える必要がある。打ち上げ時に音を無くすることは不可能だが、搭載されている人工衛星に影響を与えないように、特定周波数帯の強い音の発生機構を理解し低減する技術を開発することが重要になってくる。
次世代超音速機においては、既存の空港にある騒音規制を満足するように、エンジンからの騒音をはじめ空気力学的なすべての騒音源に対する対策が必要である。

高速車両の騒音問題

一方、次世代高速車両に関しては「内部の騒音・振動」に加えて「環境問題」も重要になる。高速車両から出てくるノイズは数十Hzないし100Hzくらいの低周波騒音と呼ばれるものだ。低周波には、より遠方に伝わっていくという特性があり、そのため住環境の近くを走る車両が予想を超えた騒音問題の原因になりかねないので、こういう周波数帯の音が車体のどこから出てくるかを突き止める必要がある。高速車両が時速500kmの亜音速(音速の約0.4倍)で走る際、低周波を減らす形状はどのようなものが良いのかを研究することで、環境性能を保つことができるのだ。
当研究室では、この課題に関して計算を使ってシミュレーションを行った結果、車体本体と車両下部から低周波が発生していることが分かり、音源となる流れの発達を遅らせる手法を提案してきた。

動力源の小型・多様化

最近、関心をもっていることに「動力源の小型・多様化」がある。航空輸送系エンジンの高出力・小型軽量化をはじめ家庭用のエネルギーシステムや民生用可搬機器にいたるまで、動力源がコンパクト化するように開発が進められている。
このようにエネルギー源の小型化・コンパクト化が進むと、小さく偏狭な内部領域では高速な流れであるソニックレンジでエネルギー変換・物質拡散が行われ、効率に大きな影響を与えている。一般に、実際に小型化することによって、効率が悪くなることが分かった。そのため、ソニックレンジの流れは、いかに損失を増加させずに流動状態をスムーズにするかが、効率的にも騒音対策的にも重要課題だ。

燃料電池

燃料電池などは環境問題・エネルギー問題の解決の重要な選択肢に考えられ、実用化に向けた研究が精力的に進められている。
燃料電池の場合でも、「流動」「熱」「電気化学反応」が重要になり、3領域からの対策が重要である。これには、さまざまな分野の人たちが協力して目的に向かっていく課題解決型の研究開発が重要になる。そこで、産学連携などで多様な分野が共同で作業することが、新しいものを生み出すためには必要になってくる。当研究室でも堅牢で高解像度シミュレーションを可能にする重み付非線形コンパクトスキームによるシミュレーションを行っている。

アドバンテージ

独自のソフトDNSと戦略的基礎研究

低乱風洞
曳航風洞

当研究室で研究開発したオリジナルなシミュレーションソフトのDNS(直接数値シミュレーション)は、非常に高解像度で高精度のもので、正確にシミュレーションができ、音の変化を数値的に捉えることができる。例えば超音速ジェット(噴流)の場合、ジェット出口の大きな圧力変化と、音のきわめて小さい圧力変化を、2つ同時に把握しなければならないが、DNSを使えば両方を正確に把握できる。
このようなシミュレーションに用いる数学的なアルゴリズムは一朝一夕にできるものではない。
当研究室では、計測する対象に応じて作成している。この基礎となっているのは、前川が30代の頃にNASA(アメリカ航空宇宙局)、および40代初期にスタンフォード大学で得た「圧縮性流体力学」の理論と応用法だ。その時から将来の応用研究を見据えた前川独自の「戦略的基礎研究」をずっと継続してきたが、今、DNSによる大規模シミュレーションとなって結実している。

本格的シミュレーション環境とそれを実証する実験環境

さらに、当研究室では低乱流風洞などの実験装置を持っており、DNSを使ってシミュレーションして出た結果を実験で確認することができる。シミュレーションで出た数値は実験を行って実証してこそ意味がある。低乱流風洞は非常に高性能な風洞設備であるから、これで詳細な実験

今後の展開

さまざまな分野の課題解決に協力したい

流れの可視化

産学連携や他の分野との共同作業で、さまざまな課題を見つけ出して、流体工学を使って解決の推進に貢献していきたい。今の時代は、一部門だけで何かをやろうと思ってもダメで、多様な科学分野、工学分野、製造分野などのさまざまな人たちが共同して何かをつくり出す時代に入った。
さまざまな分野から出てきた課題に対して、当研究室が関わって課題解決の道筋を見つけて、それを産業界にフィードバックすることで、競争力のある製品を作ることができる。
特に、〝思ったような効率が得られず効率を格段に上げたい〟とか、〝環境に対応したい〟というニーズに対しては、当研究室で課題解決に協力することができると考えている。

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