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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
來住 研究室

光回路、光信号処理、光計測、光通信システム、光ネットワーク

所属 大学院情報理工学研究科
情報・通信工学専攻
メンバー 來住 直人 教授
所属学会 電子情報通信学会、日本光学会、米国光学会、米国電気電子工学協会
研究室HP http://www.opt.cei.uec.ac.jp/
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掲載情報は2015年8月現在

來住 直人
Naoto KISHI
キーワード

光通信、光信号処理、フォトニックネットワーク、WDM、光信号源、光ルータ、光波形変換

研究概要

超大容量情報通信に不可欠なフォトニックネットワーク

当研究室の主力テーマは光に重点を置いた情報通信の研究であり、情報転送の機能をすべて光化して超高速大容量化を図る「フォトニックネットワーク」の実現のために必要な技術の提案・開発に最も力を入れている。
ブロードバンドインターネットが広く普及し、大容量の動画像等がやり取りされるようになり、ますます高速大容量のネットワークが必要となる。現在は、光通信の潜在能力のごく一部が利用されているに過ぎず、無線通信にたとえれば、まだ90年前の「鉱石ラジオ時代」といえる。また、現在のインターネットは、曲がりなりにも道路は作ったが、交通信号もインターチェンジも未整備という状況である。
そこで当研究室では、フォトニックネットワークの実現に不可欠な光信号源や、光波長変換器・波形変換器・信号歪の少ない時間タイミング制御等の、全光型ルータの実現に不可欠な様々な要素技術の研究を行っている。

波長多重分割信号と時分割信号の相互変換

光信号波形変換器

さらに、これらの要素技術を統合することにより、異なる多重方式を採用したネットワーク間の相互接続に不可欠な信号多重方式の相互変換の手法についても提案している。
大規模な情報通信ネットワークは、複数の区分化された小規模ネットワークによって構成されており、それらの小規模ネットワークにおいては、地域の事情やネットワークの規模、に応じて固有の信号多重方式が採用されている。主な信号の多重方式は、波長多重分割方式と時分割多重方式であり、これらの方式を採用するネットワーク間で信号のやり取りを行う場合には、送付先のネットワークに合わせて多重方式を変換する機能が欠かせない。そのような機能を従来型の電子回路により行うことは、信号帯域の制限やシステムの複雑化により好ましくない。そこで、そのような多重形式変換を光信号のままで行う全光型の新方式を提案し、時分割信号を波長多重分割信号に変換する手法と、逆に波長多重分割信号を時分割信号に変換する手法の実証に成功している。

アドバンテージ

現在、手掛けている異なる多重方式間の相互変換ノードや光信号源、光波形・波長変換、光信号の低歪可変時間遅延回路などの研究は他ではほとんど行われていない。当研究室の強みは、フォトニックネットワークに関する細かな要素技術から、ネットワーク間の相互接続に至る、幅広い規模の基盤技術を研究している点だ。
企業との連携も積極的で、数年前まである企業と一緒に、フォトニックネットワークや光ファイバ無線融合システムに関する研究を行っていた。企業のできないことをわれわれが補ったり、われわれの見出した技術を企業での開発に活用してもらったりして、社会に役立つものを作り出すことは有意義であると考えている。

広い視野で失敗を恐れず新たな芽を育てる

当研究室は自由な雰囲気を大切にしており、学生の発想やアイデアを重視して、さまざまな研究テーマを展開している。実際、学生のアイデアから始まった研究もある。世間では、今すぐに役に立つ技術の開発を期待する声が大きいが、目先や流行に囚われない自由な発想で様々な挑戦を行うことから真の技術的飛躍が生まれることを確信している。失敗を恐れず、なるべく新しい芽を大切にしていきたい。

光ファイバループメモリー
光通信用測定器類

今後の展開

新たな機能の開拓

フォトニックネットワークの将来の発展には光メモリー技術が不可欠である。当研究室では、光ループ回路中の光信号波形を壊さずに回し続ける原理を発見した。まだ原始的で記憶容量も8ビット程度だが、光を一定時間閉じこめることが可能になったことで足掛かりができた。外部から光信号を自由に制御できるようになれば、実用的な光データメモリーとなる。
また、近年導入が進みつつある位相変調を取り入れた光信号変調方式と、従来型の強度変調方式が混在して同一の光ファイバ伝送路を伝送される場合に、それらの信号を処理・変換する機能は、信号の変調方式に依存せず動作することが要請される。そのような、複数の光信号に対して、それら変調形式に無依存で一括して処理を行うことが可能な「変調フォーマットフリー光ノード」機能についても研究をすすめている。
さらに、将来の光パケット交換で必須となる光タイミング制御回路の研究もすすめており、これまでにはなかった新しい諸機能が開発されつつある。

光信号処理回路の実験装置

新世代の分散型情報通信ネットワーク基盤技術を開拓

フォトニックネットワーク実証実験にて

世界的に、電話型ネットワークからインターネット技術をベースとした分散型ネットワークへと大きく変わろうとしている。当研究室では、今まで蓄積してきた基盤的知見を基本として、今後は光に限らず、複数の通信媒体を統合的に活用する未来型ネットワークの基盤技術を開拓していく。それらを足掛かりに新しい情報通信の可能性の芽を次々に提案していきたい。

研究・産学連携
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