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お知らせ

【メディアリリース】アルマ望遠鏡が発見した、赤ちゃん星を包む大きな温かい繭

2013年10月04日

酒井剛助教(情報・通信工学専攻)を中心とする国際研究グループは、アルマ望遠鏡を用いてわし座にある赤外線暗黒星雲G34.43+00.24 MM3を観測し、生まれたばかりの若い星のまわりに温かく巨大な分子の雲を発見しました。この温かい雲は、太陽程度の質量をもつ若い星のまわりにこれまで見つかっていた典型的なものよりもおよそ10倍大きく、この若い星が特殊な状況にあることを示しています。

生まれたばかりの星の周囲を包む温かいガス雲は「ホットコア」と呼ばれ、有機分子をはじめとするさまざまな分子が含まれることが特徴です。今回の観測で巨大なホットコアが見つかったということは、同程度の質量をもつ赤ちゃん星よりも大量のエネルギーがこのホットコアの内部から発せられていることを示しています。その原因として、中心の赤ちゃん星に向かって通常よりも激しい勢いでガスが降り積もってきている、あるいはホットコアの中に複数の赤ちゃん星が含まれているという可能性があります。この結果は、星が誕生する過程がこれまで考えられていたよりも多様であることを示唆する成果として注目されます。

この成果は、2013年9月20日発行の天文学専門誌アストロフィジカル・ジャーナル・レターズに掲載されました。