第54回 脳科学ライフサポート研究センターセミナー【8月4日開催】
2017年07月14日
脳はどのようにして外界の特徴を捉え、モデル化しているのでしょうか。その神経メカニズムはどのようなものなのでしょうか。この問題は脳が外界からの入力情報をどのように学習しているのかということと密接に関係しています。そこで脳が外界をモデル化する仕組みについて、私の研究室が取り組んでいる二つの問題を紹介しながら考えます。はじめに海馬の場所記憶の形成について、プリプレイの概念について説明し、我々のモデル化の試みとそれにより明らかになった計算論的利点について紹介します。空間探索中のマウスやラットの海馬では時系列学習が起こり、これらの時系列は従来、学習によって生じるものと考えられてきましたが、プリプレイが主張するのは、時系列記憶の「種」は、もともと神経回路構造(自発発火)に備わっており、学習によって新たに生成する必要はないというものです。プリプレイによる記憶を実現する2コンパートメント・ニューロンの回路モデルを構築し、素早い記憶形成(ワン・ショット記憶)において樹状突起が重要な役割を果たすことを示します。次に時系列入力から繰り返し出現する「チャンク構造」を検出するための神経回路モデルを紹介します。このモデルは教師付き学習であるリザーバ計算を拡張して時系列の教師なし学習を実現したもので、ランダムな時系列に埋め込まれた複数の規則的配列を読み出すことが可能になります。モデルの回路構成には人工的な匂いが残りますが、大脳皮質と大脳基底核ループによる時系列学習の機能を一部実現していると考えています。
日時 | 2017年8月4日(金)13時00分から14時30分 |
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場所 | 電気通信大学 東3号館306会議室
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講師 | 深井 朋樹(理化学研究所 脳科学総合研究センター脳回路機能理論研究チーム・リーダー) |
司会 | 田中 繁 特任教授(脳科学ライフサポート研究センター) |
題目 | 外界をモデル化する脳の回路メカニズム ----海馬と大脳皮質 |
参加費 | 無料(予約不要) |
問い合わせ先 | 山田幸生(脳科学ライフサポート研究センター 特任教授) メールアドレス:yukioyamada@uec.ac.jp 電話:042-443-5220 |
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