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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
板倉 研究室

生体信号や人間行動の解析から、人間をモデル化し、
人間への理解を深める研究

所属 大学院情報理工学研究科
総合情報学専攻
メンバー 板倉 直明 教授
所属学会 計測自動制御学会、電子情報通信学会、日本生体医工学会、日本生理人類学会
研究室HP http://www.se.uec.ac.jp/~ita/
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

板倉 直明
Naoaki ITAKURA
キーワード

視線入力インタフェース、脳波入力インタフェース、Eye Gesture、Eye Glance、VEP、筋電図、道路交通シミュレータ、ヒューマンインタフェース、モデル化

研究概要

生体工学・人間工学を駆使して生体機能や人間行動などの仕組みを解明する

当研究室では、生体工学、人間工学を駆使して、生体機能や人間行動などの仕組みを解明する研究として、筋電図の波形解析による筋収縮メカニズム・筋線維組成の解明、人間の視線や脳波の特性を利用した入力インタフェース、道路交通シミュレータなどの研究を行っている。

筋収縮メカニズムの解明方法を確立

電図から伝播波だけを抽出する当研究室が開発したアルゴリズムを利用することで、筋肉の疲労や収縮する力の変化により、伝播波の速度や振幅も変化することが証明され、異種類のさまざまな筋線維が働く複雑な筋収縮メカニズムが初めて明らかにされた。

視線入力インタフェース「Eye Gesture入力」「Eye Glance入力」を開発

視線入力インタフェース装置

目(視線)を入力手段とする視線入力インタフェースとして、注視した文字が入力される「Eye Gaze(注視)入力」の研究は既に多数存在する。しかし、頭が動くと注視位置の特定が難しく、「Eye Gaze入力」では、頭を固定しなければならなかった。
そこで、当研究室では目の移動方向の組み合わせで入力を行う「Eye Gesture入力」を開発した。これを使えば、注視位置を特定する必要がないため、頭を動かしてもまったく問題ない。
これをさらに改良して、チラッと物を見る時の目の動きを使った「Eye Glance入力」も開発した。「Eye Glance入力」は「Eye Gesture入力」のさまざまな目の動かし方の組み合わせの中で、チラッと物を見る時の目の動きの組み合わせを利用する。実際に開発した「Eye Glance入力」インタフェースは、特別にデザインされた画面により、4方向の「Eye Glance入力」だけで、20文字分を入力できる。

VEPを活用した脳波入力インタフェースの研究

人間は点滅刺激を見ると、その刺激に特有なVEP(Visual Evoked Potentials:視覚誘発電位)が発生する。その特有なVEPと点滅刺激を利用すると、人間が見ている対象を特定できるインタフェースが実現する。これがVEPを活用した脳波入力インタフェースだ。当研究室では、周波数3Hz以上の点滅刺激を使うSSVEP(Steady-State VEP:定常的VEP)と、周波数3Hz以下の点滅刺激を使うTRVEP(transient VEP:遷移的VEP)の両方を活用するさまざまなインタフェースを提案していることが大きな特徴だ。

眼電図を用いたEye Glance入力

道路交通シミュレータを開発

当研究室は、本多(中二)研究室との共同研究で、道路交通シミュレータの研究開発も行っている。具体的には、追従運転、右左折運転、追越し運転など、運転動作(論理)を多数の種類に分類・モデル化し、その運転論理を組み込んだシミュレータ(MITRAM)を開発した。このMITRAMは、信号機メーカー京三製作所において信号機評価に使われている。当研究室では、人間行動のモデル化も人間を理解するための研究と捉え、さまざまな運転行動をモデル化し、コンピュータに組み込む研究を長年行っている。

アドバンテージ

新しい試みで新しいことを発見する

カメラを用いたEye Glance入力

当研究室では、既存の考え方にとらわれず新しい試みで新しいことを発見することが重要と考えている。例えば、従来の筋電図研究では単純な積分解析や周波数解析しか使用しなかったため、詳細な筋収縮メカニズムの推測には限界があったが、「伝播波検出法」を開発した。これは、サンプリング定理で使用される波形補間方法を活用し、相似比、振幅比、波長比パラメータを使って、伝播波を検出するアルゴリズムだ。これを使うことで、詳細な筋収縮メカニズムの推測が可能になった。

既成概念にとらわれず独自の発想、実証実験

脳波入力で使われるTRVEPでは、視覚誘発成分を明瞭にするため、刺激後300ミリ秒程度の波形を繰り返し計測し、加算平均することが必須だった。そのため、周波数3Hz以下(間隔300ミリ秒以上)の点滅刺激を使うことが当然の既成概念であり、多数(30程度)の波形を繰り返し計測し、加算平均するので、計測に10秒程度かかっていた。当研究室ではこの既成概念に固執せず、より短い刺激間隔の点滅刺激で実験した結果、周波数15Hz程度までの点滅刺激が使えることを実証した。これにより、計測を2秒程度まで短縮させた。

今後の展開

視線入力インタフェース「Eye Glance入力」を実用化したい

筋電図の伝播波解析システム

板倉は、生体情報利用には実用性が重要だと考えている。例えば、非接触な「Eye Glance入力」はタッチパネルが不必要で、小型、安価、安全な装置を使用した。さらに、4方向の「Eye Glance入力」だけで多数の文字入力ができるデザインは、タッチパネルにも応用でき、スマートフォンなどの小さなタッチパネルに関する主流のデザインになることが将来的に期待される。

筋電図の伝播波解析システムを応用し、筋トレに役立てたい

他にも、筋電図の伝播波解析システムを実際の製品に応用することを目指している。当研究室の伝播波解析システムを利用すれば、筋肉へのトレーニング効果を客観的に判断できるので、アスリートのトレーニングプログラムや、スポーツクラブのエクササイズプログラムなどに応用して、プログラムの効果を簡単に知ることのできる製品として使ってもらえればと考えている。

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