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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
田中(健) 研究室

情報システム活用のリスクマネジメント、
人間と自動化機器の協調による安全設計、自律分散システム型高信頼性設計

所属 大学院情報システム学研究科
社会知能情報学専攻
メンバー 田中 健次 教授
所属学会 IEEE-SMC、計測自動制御学会、日本品質管理学会、日本災害情報学会、医療の質・安全学会、ヒューマンインターフェース学会
研究室HP http://www.tanaka.is.uec.ac.jp/
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

田中 健次
Kenji TANAKA
キーワード

リスクマネジメント、情報システム、システム思考、緊急時意思決定、人間・機械系の信頼性と安全性、センサ群制御、自動車運転支援技術、製品安全技術、医療事故防止、災害情報システム、システム安全学、システムデザイナー

研究概要

新発想に基づくリスクマネジメントを追究し、安全な社会をデザインする

社会の情報化が進む一方、人間の特性を考慮しないシステムや、システムの信頼度に対する誤った認識が、多くの事故やトラブルを引き起こしている。
当研究室は、情報システム学の観点から「人間と人間」「人間と機械」「機械と機械」のコミュニケーションに着目し、人間の認知メカニズムや情報伝達の方法を探究することで“システム思考によるリスクマネジメント”の確立を目指している。

人間中心のシステム設計

情報システムを利用するのは人間であり、われわれを取り巻くリスクは情報の使い方によって増減する。システム思考によるリスクマネジメントは、人間とさまざまなシステムとの最適な協調関係を追究し、より安全な社会をデザインすることを目的としている。
数理解析、シミュレーション解析、認知工学実験、社会科学アプローチなど多様なアプローチからの研究を統合化することで“人間中心のシステム設計”を目指している。

災害情報システムの構築

2003年に緊急防災情報のシステム化について独自のモデルを発表。内閣府・消防庁・気象庁による調査委員会で採用され、2004年3月から気象庁で利用されている。これは、災害時における住民の円滑な避難行動を促すために、避難勧告・避難指示の発令前に情報を広く提供することを提案したもので、高齢者など災害弱者に対する「避難準備情報」と言う形で実施され始めた。

医療におけるリスクマネジメント解析

医療作業におけるエラー防止やエラー発見の仕組みを研究対象とし、様々な実験結果に基づいた効果的なダブルチェックの方法等を提案している。その研究成果は、医療系学会、全国の看護協会、大学医学部や大規模病院などで講義や講演を行い、普及に務めるほか、日本医療機能評価機構の教育プログラム委員として医療安全への貢献を図っている。

ヒューマンマシンシステムの高信頼性・安全性に関する認知実験

高度交通システム(ITS)をテーマに、ヒューマンエラーをはじめとする人間の操作や信頼の観点から自動化システムの問題点を探っている。
交通安全環境研究所と共同研究を進める一方、2004年11月に当研究室でドライビングシミュレーターを購入し、実験環境の整備にも力を入れている。

一般産業における製品およびシステムの安全設計

アリのフェロモンコミュニケーションを利用した群知能制御

製品安全では、安全保証設計と危険回避設計とを区別し、グレイゾーンを考慮した適切な安全設計法を追究している。
安全監視システムでは、自律分散システムによる高信頼性設計をテーマに、主に移動式センサ群の制御方法を研究している。例えば、プラント内を移動して放射能漏れや気体漏れを感知するセンサ群の協調行動制御と信頼性解析である。
これまでゾウリムシの走性行動やアリのフェロモンコミュニケーションを応用したシミュレーション解析でユニークな成果を得ている。

アドバンテージ

分野をまたがる横断的なリスクマネジメント研究

医療事故防止の支援ツール構築

リスクマネジメントの対象は、国家レベルから企業活動、個人生活まで幅広い。当研究室の個別テーマも災害、医療、交通システム、組織マネジメント、企業活動、製品設計、セキュリティシステムなど多岐にわたり、各分野で行政や企業との共同研究もしくは協力体制を築いて成果をあげてきた。
研究対象が広いことは、当研究室の特色となっている。
従来のリスクマネジメントが個別の分野で語られてきたのに対して、異なる分野の現象を横断的に研究できることの意義は大きい。情報システムの視点から共通する問題点を抽出し、統一的なリスクマネジメントのモデルを追究することが可能になる。実際、情報システムからみたリスクマネジメントでは、異分野でも似通った問題点が浮かび上がってくる。

多様な背景をもつ研究陣

認知工学実験用のドライビングシミュレーター

研究に従事する学生たちのバックグラウンドも多様で、心理学、経営工学、航空宇宙、制御工学など異質な視点から1つのテーマについて議論が繰り返される。
また、社会人経験者が多いのも特徴で、行政や企業の現実に即したアプローチを可能にしている。
毎年2月末には、当研究室主催のISシンポジウム「信頼性とシステム安全学」を開催し、研究成果を公表するとともに、学外の研究者との交流を図っている。

今後の展開

「システム安全学」の確立を目指す

当研究室では、単に研究成果を出すだけでなく、そこから生まれたリスクマネジメントの手法を関係方面へ積極的に提案していくことを重視する。
災害や事故の後で問題点を指摘する評論家の姿勢ではなく、事前に「こうすれば被害を最小化できる」と提案できるシステムデザイナーの養成を目指している。
リスクマネジメントは国家的なテーマであり、より科学的で実効性の高い手法の開発が求められる。
現実の問題を直視しながら、リスクマネジメントを追究し、将来的には人間の安全対応能力を育てる仕組みを工学的に探究する「システム安全学」を確立していくことが目標である。

気象庁採用の災害情報システムモデル
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