このページの先頭です

メニューを飛ばして本文を読む

ここから本文です

サイト内の現在位置

研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
志賀 研究室

電子情報ディスプレイデバイスおよびシステムに関する研究

所属 大学院情報理工学研究科
先進理工学専攻
メンバー 志賀 智一 准教授
所属学会 Society for Information Display、映像情報メディア学会、照明学会、電子情報通信学会
印刷用PDF

掲載情報は2015年8月現在

志賀 智一
Tomokazu SHIGA
キーワード

ディスプレイ、テレビ、PDP(プラズマ)、LCD(液晶)、放電、低電力、省電力化、高画質、発光効率、駆動方式、人間工学、視覚特性

研究概要

効率向上や省電力化で、より良いディスプレイを世に出す

近年、ディスプレイはブラウン管からプラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)に変わり、大型化が進んでいる。
当研究室では、このような現在の家電業界を支えているディスプレイについて研究を行っている。
現在、ディスプレイの大型化に伴い、消費電力量の増大が全世界的な問題になっている。これを解決するためには、PDPにおいてはディスプレイの発光効率を向上させる必要がある。そのため、パネル構造や駆動波形の最適化を通して発光効率を向上することで、低消費電力化を図っている。

駆動方式高画質化

もちろん、画質の向上も研究のターゲットだ。こちらも、さまざまな駆動方式を考案・実験することで、低駆動電圧化や高速アドレス化、高コントラスト化を実現するというものだ。例えば、ディスプレイは明るいと高画質に見えることから、画像をより明るく表示したり、画像の黒を黒らしく表示することで高画質化を図るといったことを、駆動方式の変更で実現する。これらの作業は、小型のテストPDPを使い、駆動回路を実際に作成して、信号波形の変更などによって評価を行っている。
LCDにおいても、大型化による消費電力の増大は大きな問題となっている。そこで、表示する画像の内容によってバックライトの明るさを変更するという、まったく新しい方式を開発し、これを使うことで省電力化を図る。通常、液晶のバックライトは、常に均一に発光して液晶パネルの背面を照らしている。そのため、画像の明るい箇所も暗い箇所も同じだけの光量が当たり、暗い部分を表示している箇所では、その分だけ光が無駄になってしまう。
当研究室が発表した方式では、バックライトの明るさを画像に合わせて変化させることで、無駄な電力を極限まで排除でき、省電力化を実現できるのだ。

フリッカ(チラつき)対策

さらに、人間工学に基づいた画質の追究も行っている。フリッカと呼ばれるチラつきに対しては、人間の目の特性として、網膜の中心よりも周辺部分の感度が高い。そのため、ディスプレイの大画面化により視角が増すと、よりフリッカが知覚されやすい。このような人間の持つ視覚特性を理解しながら、フリッカが起こらないようにするにはどうするかといった、画質に関する研究も行っている。

アドバンテージ

「テレビ技術者」としての視点で研究開発を行う

当研究室の利点として、常に「テレビ技術者」としての視点で研究を行っていることがある。現状のディスプレイ開発においては、パネルはパネル専門の部署が、回路は回路専門の部署が担当するというふうに、縦割りの組織で行われることが多い。そこで最終的な製品に、人が見ることを前提とした視点が欠落してしまうことがある。

きれいな見やすいテレビ画面

バックライトの局所輝度制御

当研究室では、そのようなヒューマンファクターを重視することで、「テレビ技術者」が本来持っている、人が見たときに、いかにきれいな見やすい画面にするかということを重要視した研究を行っている。
また、本格的にPDPに関して研究していたり、LCDに関して独自の切り口で省電力化を探る研究を行っている大学の研究室は他には見当たらない。つまり、日本の大学では唯一の「テレビ技術者」的な視野を持った、ディスプレイの研究ができる場所だといっても過言ではない。大学の研究室ならではの柔軟な視点で、企業の研究室ではできない斬新な研究成果を世に出すことができる。

今後の展開

人の目に優しいディスプレイの開発を目指す

現在、PDPに関しては、発光効率を向上させることで理論上は現在の2分の1くらいにまで省電力化が可能であることが分かった。またLCDに関しても、前記の方法を使うことで、同様に半分の消費電力で動作することが分かった。今後はこの技術が実際の製品に搭載された際に、同様の省電力性能が出せるように、研究を重ねていく。
画質に関しても、人間の目で見てきれいな画像表示を追究していきたいと考えている。これは、単に高精細なパネルがあればいいというものではなく、人間の目の特性について理解していなければならない。例えば、次世代ディスプレイとして期待されている有機ELディスプレイでは、液晶ディスプレイでは不可能であった高速な動画応答速度を得ることができる。ところが、この特性だけを考えた製品づくりを行うと、フリッカが生じてしまう。このように人間工学に基づいた、人間に優しいディスプレイづくりに貢献したいと考えている。

小型テストPDPの輝度測定
高速度ICCDカメラによる放電成長の観測
研究・産学連携
研究
産学官連携