研究室紹介OPAL-RING
小池(卓) 研究室
新しい診断・治療技術の開発
所属 | 大学院情報理工学研究科 知能機械工学専攻、脳科学ライフサポート研究センター |
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メンバー | 小池 卓二 教授 |
所属学会 | 日本機械学会、日本音響学会、バイオメカニズム学会、日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、日本鼻科学会、Association for Research in Otolaryngology |
研究室HP | http://www.bio.mce.uec.ac.jp/ |
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掲載情報は2015年8月現在
- 小池 卓二 Takuji KOIKE
- キーワード
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手術ナビゲーションシステム、バイオエンジニアリング、感覚器機能解明、シミュレーション、バーチャル手術、振動・音の計測、PVDFフィルム、生体応用、人間機械システム、難聴、耳小骨、骨導補聴器
研究概要
振動・音響工学と医学のコラボレーション
当研究室では、音波・振動計測、数値解析や画像処理などにより、生体組織の構造と機能解明に関する基礎・応用研究を行っている。そして、治療に役立つ新たな計測技術やデバイスの開発、数値シミュレーションによる最適手術法の開発、新たなコミュニケーションデバイスの開発など、幅広い研究と応用を行っている。
聞こえ・難聴のメカニズム
感覚器官の研究分野で、特に聴覚器官の機能解明と、その病変診断・機能回復への応用を行っている。聴覚器官のナノレベルの振動をコンピュータ上でシミュレーションすることで、聞こえの仕組みを解明するとともに、難聴が生じるメカニズムを明らかにすることを目的としている。
最適手術法提示システム
各病変に対応したシミュレーションによるバーチャル手術を試行することで、難聴の効果的治療法の検討・提案を行っている。
耳小骨可動性計測装置
聴覚器病変診断・機能回復装置の開発研究の一例として、これまで医師の経験によるところが大きかった耳小骨(鼓膜の振動を蝸牛に伝える小骨)の可動性を定量的に評価できる装置の開発を行っている。これは、小さな計測対象(耳小骨)に10ミクロン程度の変位を与え、その時の反力(数ミリニュートン程度)を、手持ちで計測可能とするものである。本装置により、手術中に耳小骨の可動性を評価できれば、効果的かつ安全な術式を決定することができ、術後聴力成績の向上が期待できる。
人工聴覚システム
小型高音質・埋め込みタイプの骨導補聴器の開発も行っている。磁力により形状が変化する超磁歪素子を振動子として用い、これを頭皮下に埋め込み、コイルの相互誘導により、外部からエネルギーと音声信号を経皮伝送するものである。通常の音波を使用する補聴器では難しい、高音域までクリアな音質を実現する、高出力補聴器の開発を目指している。
この他にも、PVDFフィルムにより発声時の皮膚振動を計測することにより、高騒音下でも明瞭な音声を取得可能なシステムの開発なども行っている。
- コンピュータシミュレーションによる聴覚器官の機能解明
- 耳小骨の可動性計測
アドバンテージ
国内では珍しい耳鼻科領域での計測とシミュレーション
耳鼻科領域でも手術ナビゲーションシステムは種々開発されている。しかし、手術中の計測結果とシミュレーション結果を基に「現在どのような問題があり、何処をどうすればどれだけ良くなる」といった、身体機能の低下原因とその機序、機能回復のための手術方法と術後の結果までを提示できるものは未だに実用化されていない。
- 埋め込み型骨導補聴器
このような次世代手術ナビゲーション開発のため、国内外の医学部との親密な協力関係のもとで積極的に研究を進めている。
また、まったく新しい方式の診断・治療装置の開発や、新たなコミュニケーションデバイスの開発を積極的に行っている。
今後の展開
ニーズの多い注目の分野
今後は、物理的な動きに加え、電気的な仕組みも考慮し、聴覚系全体のシミュレーションを行い、さまざまな疾患機序の解明と最適手術法の開発を進めていく。
また、新たな人工補聴システムの開発にも力を入れていく。
音波・振動計測・制御技術を応用した機器の開発を通して、生体メカニズムの解明、生体の適合性を考えたデバイスの開発など、研究分野を広げていきたい。
- 高騒音下音声取得デバイス