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研究者情報:研究・産学連携

研究室紹介OPAL-RING
澤田 研究室

制御工学をセキュリティやエネルギー、モノづくりに生かす

所属 i‐パワードエネルギー・システム研究センター(専任)
機械知能システム学専攻(兼任)
メンバー 澤田 賢治 准教授
所属学会 米電気電子学会(IEEE)、計測自動制御学会、システム制御情報学会、電子情報通信学会、電気学会
研究室HP http://www.sawada.iperc.uec.ac.jp
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掲載情報は2017年3月現在

澤田 賢治 Kenji SAWADA
キーワード

制御系セキュリティ

研究概要

制御工学は、ある対象を自在に動かすための枠組み(アルゴリズム)を研究する学問です。澤田賢治准教授はこの制御工学を主軸にして、最適化や信号処理といった数学の理論を使いながら、セキュリティやエネルギー分野のほか、自動車やロボットなど多様な産業への応用を目指しています。

産業用コントローラのセキュリティ対策

セキュリティ機能を実装した産業用コントローラ

セキュリティ分野では、IoT(モノのインターネット)時代に向けて、特に工場内などの産業用機器の制御システムや重要インフラ(社会基盤)をサイバー攻撃から守るための技術を研究しています。情報システムとは違って、制御システムは一般的に運転期間が20‐30年と長く、攻撃を受けても簡単には停止できないといった制約があります。
澤田准教授は、アクチュエータやセンサを搭載した制御システムを動かす産業用コントローラに、セキュリティ機能を持たせるアルゴリズムを開発しました。コントローラのふるまいを常時監視し、正常な動作から逸脱した場合にリアルタイムに警告を出すことができます。これによって、サイバー攻撃による異常を迅速に検知できるようになりました。実際に、FA(ファクトリーオートメーション)機器やPA(プロセスオートメーション)機器に実装して、その機能を実証しています。
一方、電気やガス、水道などの重要インフラを狙ったサイバー攻撃も近年多発しており、これまで以上に日本のセキュリティ対策の重要性が高まっています。澤田准教授は国家プロジェクトにも参画し、攻撃を受けても運転を安定的に継続できる防御技術などを研究しています。「2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の設備を支える主要な重要インフラや、2030年のIoT社会基盤に実装する」(澤田准教授)計画だそうです。

レジリエンスを考慮したエネルギーシステム

デモ実験

レジリエンスを考慮したエネルギーシステム
エネルギー分野では、地震や洪水など災害時のシステムの早期復旧を目指した、いわゆるレジリエンス(復元力)の高いエネルギーシステムの研究を手がけています。特に、ネットワークにつながった制御システムを分散的に自律処理する自律分散制御の手法を使って、電力システムの最適な制御方法などを模索しています。

半導体ウエハーの生産効率を向上

 

自律分散制御の研究としては、ほかにも制御工学の観点から、ロボットを効率的に動かす研究もしています。例えば、最近、半導体生産工場で半導体ウエハーを自動で運ぶ自律無人搬送車向けの運用アルゴリズムを開発しました。
半導体工場では、通常時速約30キロメートル程度の速さで24時間走行する無人搬送車が300‐500台近く動いています。そのため、これらの大量の搬送車をいかに協調させて動かすかが、生産効率に大きく影響するのです。
澤田准教授は企業と共同で、直径300ミリメートルから450ミリメートルへのウエハーの大型化に伴い、搬送車の運用アルゴリズムを改良しました。搬送車全体のふるまいを考慮しながら、各車両の位置や速度を制御し、ウエハーの荷積みや荷下ろしのスケジューリングの最適化アルゴリズムを開発しました。その結果、渋滞が解消され、生産効率が大幅に向上しました。

半導体ウエハーの生産効率を向上

ハイブリッド自動車のシステム設計の背景

そのほか、自動車や航空機など乗り物の制御の研究にも取り組んでいます。自動車のシステム設計に向けたある研究では、エネルギー保存則に着目し、電気系と機械系が混在したハイブリッド車など複雑なモデルでも検証可能な「エネルギーベースモデル検証」を提案し、これで部品の構成を最適化しました。同モデル検証の導入により、設計工程を短縮できるだけでなく、例えば、燃費を向上するバッテリとモータの組み合わせなどが分かるようになります。
このように、澤田准教授が企業と共同で学術的な研究から応用まで幅広く手がけているのは、「制御工学をさまざまな産業の現場で活用してもらいたい」と考えているからです。

【取材・文=藤木信穂】

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