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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】磁気スキルミオンの特性識別に成功 ―磁気スキルミオンを利用した大容量メモリ開発へ道筋―

2021年04月19日

仲谷栄伸教授(情報・ネットワーク工学専攻)、廣畑貴文教授(ヨーク大学電子工学科)、山田啓介助教(岐阜大学工学部)の研究グループは、磁気スキルミオンの特性を電気的方法により識別することに初めて成功しました。 磁気スキルミオンは、数ナノメートル程度の非常に小さい準粒子で、磁性薄膜内での安定性が高く、また動作に必要な電力が小さいことから、省電力の性能をもつ次世代磁気メモリの情報キャリアとしての応用が期待されています。

本研究グループは、電流により磁性薄膜中の磁化に働く2種類の力を組み合わせることで、磁性薄膜上に存在する磁気スキルミオンの特性である磁気渦の巻き方向(カイラリティ)を電気的方法で識別する手法を提案し、シミュレーションによってカイラリティの識別が可能であることを世界に先駆けて実証しました。

これにより、磁気メモリの大容量化への道筋が開かれました。すなわち、磁気スキルミオンのカイラリティが電気的手法により識別可能であるということは、カイラリティを新たに情報として使用することが可能であることを示します。加えて、磁気スキルミオンを利用する記憶・演算素子における情報キャリア、またはニューロモーフィックコンピューティング(脳機能の働きに類似した数理モデル)のシナプスへの利用など、省エネルギー・高密度・超小型化の次世代情報記録デバイスの創出に貢献できる技術を提示できました。 なお、この技術の詳細は2021年4月16日にNature Publishing Groupのオープンアクセス電子ジャーナル「Scientific Reports」に掲載されました。

本研究のシミュレーション結果。磁気渦の巻き方向が異なる磁気スキルミオンに対し、磁化に働く力のうち1種類だけを利用した場合(緑線)と2種類を組み合わせた場合(赤線・本研究の手法)の動きを示す。

本研究のシミュレーション結果。磁気渦の巻き方向が異なる磁気スキルミオンに対し、磁化に働く力のうち1種類だけを利用した場合(緑線)と2種類を組み合わせた場合(赤線・本研究の手法)の動きを示す。

詳細はPDFをご覧ください。