【ニュースリリース】脳の血流増加メカニズムの分離に成功
2021年06月16日
正本和人教授(機械知能システム学専攻/脳・医工学研究センター)らの研究グループは、脳が活動した際に見られる脳の血流増加について、その要因となる脳の神経細胞(ニューロン)とグリア細胞がそれぞれ独立に作用する調節メカニズムがあることを明らかにしました。
神経細胞は脳内で情報伝達を担い、グリア細胞は脳内の恒常性を維持する役割を担います。
ポイント
- 神経細胞とグリア細胞によって引き起こされるそれぞれの脳の血流増加メカニズムを分離することに成功
- これまで脳の血流増加に関わる二つの細胞間の詳細な関係性は不明だった
- 脳の血流低下の原因となる細胞の活動が分かれば、病態に応じて細胞の障害に特化した脳血管機能の回復、治療、機能低下の予防につなげられる
概要
脳が活動すると活動部位の血液の流れが増えます。血液の流れを可視化することにより、脳のどこが活動したのかを計測することができます。従来、脳の活動によって生じる脳血管の反応については、ニューロンによる"直接の作用"と神経活動に付随して生じるグリア細胞の活動による"間接の作用"という、二つの経路によって脳の血流が増加することが分かっていました。しかし、二つの作用が独立に生じるのか、あるいは連結して生じるのかは不明でした。脳血管の拡張機能が衰えると、認知症をはじめとした様々な脳の病気の発症につながるリスクが高まります。本成果によって、脳血管の機能の低下がニューロンの活動に由来するのか、あるいはグリア細胞の活動に由来するのかを病態に応じて明らかにすることが可能になり、将来的には原因となる細胞に特化した脳血管機能の回復、治療、機能低下の予防を行うことができると期待されます。
本研究は、慶應義塾大学医学部、東北大学大学院生命科学研究科、ならびに放射線医学総合研究所(現・量子医科学研究所)と共同で行いました。
ニューロンおよびグリア細胞の活動によって生じる脳血流増加のメカニズム
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