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お知らせ

【ニュースリリース】新型コロナワクチン接種会場におけるAI/IoT環境センサの実証 ~週1.3万人規模の学内接種会場で活用~

2021年08月10日

国立大学法人電気通信大学の研究者チームは、令和3年8月1日(日)から本学体育館を会場として調布市が実施するワクチンの集団接種にて、通常の新型コロナウイルス感染症対策に加え、会場内の二酸化炭素(CO2)濃度や温湿度などの各種IoTセンサによる三密・熱中症リスクのモニタリング、AI人流センサによる安全管理に関する実証実験を行っています。

【背景】

新型コロナウイルスの感染拡大予防のためは、「接触」「飛沫」「飛沫核」といった感染経路毎に、複数の対策を講じることが重要とされます。昨今、室内のCO2の濃度を計測・可視化することにより室内の換気状態を良好な状態に保ち、たとえ空気中に「飛沫核」が存在したとしても、これを逸早く排出させる手法が注目されています。
本学はこれまで、調布駅前商店街との共同実証実験により、飲食店・学習塾・スポーツジムなどのCO2濃度を可視化し、環境ナッジ行動を支援してきました。また調布市とも連携し、調布駅前の新型コロナワクチン接種会場において、三密状態回避の共同実証実験を既に行っています。これらの予備実験で得た小型センシング技術や可視化システムを活用し、令和3年8月1日(日)から実施する本学体育館における大規模な集団接種において、会場内のCO2や温湿度などの各種IoTセンサによる三密・熱中症リスクのモニタリング、AI人流センサによる安全管理に関する実証実験を行っています。

【具体的な内容】

実証実験で使用するシステム次の通りです。これらは、横川慎二教授・澤田賢治准教授(i-パワードエネルギー・システム研究センター)、安達宏一准教授(先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター)、榎木光治准教授(機械知能システム学専攻)、石垣陽特任准教授(情報学専攻)が共同で構築し、研究にあたるものです。

  • 二酸化炭素(CO2)濃度や温湿度・環境雑音など各種センサによる三密・熱中症リスクのモニタリング及び予測システム
  • AI人流センサ(KDDI株式会社との共同実証による)
  • 低消費電力型IoTコンピューティング環境(ソニー製SPRESENSETM及びIoT回線プラットフォームMEEQによる)

これらのセンサのうち、特にCO2センサは世界最高レベルの精度を持つ分析装置(ガスクロマトグラフィー)を用いて精度確保の検証も行われています。分析装置の精度は0.1ppmで1,000万分の1という濃度を検出できます。例えるならば、東京都23区内の人口約1,000万人弱から1名の人間を特定できる程の高精度です。

【期待される効果と今後の予定】

新型コロナウイルスの変異種や第4波への対策が求められる中、多人数が集まる場所では「換気の悪い密閉空間」を避けることが重要とされています。今回の取組みを契機として、病院・高齢者施設・学校などでの安全安心を支えるため、IoTによる手軽な環境センシングとAI技術による分析・予測が広まり、人々の適切な行動変容(ナッジ)に繋がることが期待されます。

体育館における環境測定のイメージ(合成写真)

体育館における環境測定のイメージ(合成写真)