新年学長挨拶
2022年01月04日
新年あけましておめでとうございます。
2021年は前年から続くコロナ禍が当初の予想以上に長期化する中で、平時以上に多くの皆様に大学運営への多大なご協力・ご尽力を賜りました。心より御礼申し上げます。
ちょうど2年前、突如として世界を襲い、現在もなお続いている新型コロナウイルスの感染拡大の長期化は、人々の生活様式、働き方・仕事の在り方を激変させ、社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を一気に加速させました。また、コロナ禍以前から既に進行していたSDGsに向けた取組、とりわけ気候変動に対峙するための脱炭素化の推進に伴う国際経済秩序の変化、国家間の覇権争いの激化等、2022年が社会構造の歴史的な変化の真っ只中に在ることは間違いないでしょう。
このような中、国立大学である電気通信大学が果たすべき役割・使命は何か、そのための本学の在るべき姿は何か、私自身、自問自答を繰り返し、また、学内外のさまざまな方面から多くの意見を頂戴しました。まずは、今後の道標となる新たなビジョンが必要と考え、2021年の年明けに若手教職員による検討ワーキングを立ち上げ、7月に「UECビジョン~beyond 2020~」を策定しました。
「UECビジョン~beyond 2020~」では、本学が思い描くSociety5.0を、人間知・機械知・自然知の融合により新たな価値(進化知)を創造し、さまざまな課題を自律的に解決しながら発展し続ける「共創進化機能」を内包した未来社会、すなわち「共創進化スマート社会」と表現し、更には、その「共創進化スマート社会」の実現に貢献するため、自らも共創進化スマート大学になることを宣言しています。共創進化スマート大学化は、大学を一つの社会として捉えることで、研究等によってもたらされた技術を大学の仕組みに組み込み検証し、社会に埋め込んでいく、いわゆる「実現」を教育研究に次ぐ新たな機能として位置づけ、実行していくものです。
これは、AI、ネットワーク、ロボット、光・量子技術をも含むSociety5.0の実現に必要とされる技術分野をカバーすることに加え、一つのキャンパスで専門分野や世代、さまざまな枠組みを超えた交流が可能、言い換えれば、小さいながらもダイバーシティとコミュニケーションが併存する環境にある本学だからこそ成し得ることであると考えています。
第4期中期目標期間の初年度ともなる2022年は共創進化スマート大学化に向けた第一歩を踏み出す、新たなスタートの年になります。「UECビジョン~beyond 2020~」の実現に向けた取組や、第4期中期目標・中期計画で約束をしたさまざまな取組に着手します。例えば、本学では、共創進化スマート社会を設計・実装・運用できる「UEC工型人材」を育成することとし、全ての学生にその基盤としてIMDAQ(イムダック)つまり情報、数理、データサイエンス、AI、量子に関する基礎や教養を身につけさせるプログラム構築等の教育改革を実行します。また、企業等との人や資金の好循環による研究力強化に向けた仕組みの構築等にも取り組んでまいります。
もちろん、これらの取組は容易く実行できるものでないことは重々承知しています。全教職員が「UECビジョン~beyond 2020~」という明確なビジョンを共有し、本学が新たな未来社会創造の推進力になるという誇りを持って全力以上の力を発揮できるよう、強い決意の下で取り組んでまいります。どうか一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
最後に、本年が皆様にとって、そして電気通信大学にとって良き年となることを祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。
本年も宜しくお願い致します。
電気通信大学長 田野 俊一