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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】サイボーグ義手(5指筋電義手)の開発に成功 ~厚生労働省の補装具等完成用部品として認定~

2022年04月14日

ポイント

*適応学習機能を搭載した筋電制御型の義手システム
*厚生労働省の補装具等完成用部品に登録され、公費支給により利用者に届けられる

概要

山野井佑介特任助教、矢吹佳子特任研究員(機械知能システム学専攻)、黒田勇幹さん(共同サステイナビリティ研究専攻博士後期3年)は、5指独立駆動型のサイボーグ義手の開発と実用化に成功し、病院等でのフィールドテストをパスし、厚生労働省の補装具等完成用部品として認められた。このシステムは、個性適応学習機能を搭載しており、利用者の筋電パターンと義手の手指運動パターンを後天的に対応づけることで、自在にコントロールすることができます。

背景

これまでに国内で公費支給されてきた筋電義手は、海外の製品が主であり、輸入品であるためにコスト高であるとともに、機能的にも制限が大きく、自由に機能追加などの開発を行うことが困難でした。山野井特任助教らは、人工知能とロボット技術を研究しており、そこでの研究成果の社会還元を目指した取り組みを行ってきました。今回完成用部品に登録されたサイボーグ義手は、その一例であり、電気通信大学が開発に成功した研究の集大成となります。

成果

上記、義手システムを3名の被験者と3か所の病院および義肢装具会社の協力を得て、3か月間のフィールドテストを行い、主治医の診察として、日常生活において有効に機能し被験者の生活向上に寄与するとの評価結果を得ました。これらの評価結果に加え、組み立てマニュアルとプロトタイプを厚生労働省に提出し、完成用部品としての認定登録に至りました。これまで電動義手で完成用部品に登録されているものは国外製大手3社のものと2018年に当研究グループが開発したもののみであり、国産義手としては2例目となります。本システムは他社製には無い適応学習機能を搭載しており、より直感的に義手を動かすことが出来ます。

今後の期待

本義手システムは、独自開発のメカおよび制御系システムとなっているため、自由に機能追加の開発を実施可能です。本学の英知を取り入れながら機能向上が図られることが期待できます。

左より、五指駆動型ロボットハンド、五指駆動型筋電義手システム全体、ソケットへの組付け例

左より、五指駆動型ロボットハンド、五指駆動型筋電義手システム全体、ソケットへの組付け例

(論文情報)

Yuki Kuroda, Tatsuki Tsujimoto, Takayoshi Shimada, Yoshiko Yabuki, Dianchun Bai, Yusuke Yamanoi, Yinlai Jiang, Jinying Zhu, Hiroshi Yokoi : "Development and Clinical Evaluation of a Five-Fingered Myoelectric Prosthetic Hand with Pattern Recognition", 2022 IEEE 4th Global Conference on Life Sciences and Technologies (LifeTech), (2022). (IEEE LifeTech 2022 Outstanding Student Paper Awards for Oral Presentation受賞)

(外部資金情報)

本研究の一部は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 )2019年度「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」の助成を受けたものです。

詳細はPDFでご確認ください。