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お知らせ

【報告】笠原伸容さん(基盤理工学専攻博士前期2年)の研究が独立行政法人情報処理推進機構(IPA)2023年度未踏ターゲット事業に採択

2023年07月19日

ポイント

*モデル予測によるリアルタイム量子誤り訂正手法の開発
*弱測定を用いた連続量子誤り訂正手法に新たな展開

概要

曽我部東馬研究室(i-パワードエネルギー・システム研究センター/基盤理工学専攻)は、量子AIハイブリッド技術に関する基礎と応用研究を基幹テーマとして研究を行っています。このたび、笠原伸容さん(基盤理工学専攻博士前期2年)の提案した、量子誤り訂正にリアルタイムモデル予測制御を融合した「モデル予測制御を用いたハイブリッド型量子誤り訂正手法の開発」に関する研究が独立行政法人情報処理推進機構(2023年度)未踏ターゲット事業の一環として新たな展開に向かっています。

背景

量子誤り訂正は汎用型量子コンピュータ実現のために欠かせない技術として現在注目されています。近年、数千の量子ビット数を持つ量子コンピュータの技術が成熟しつつありますが、大量の量子ビットをどのようにすればエラーなく動作させられるかが非常に悩ましい課題で、量子コンピュータの実用化は、それによって妨げられていると言っても過言ではありません。
これまで開発されてきた対処手法として、大きく分けると、「離散量子誤り訂正」と「連続量子誤り訂正」の二つの方式があります。しかし、「離散量子誤り訂正」では、離散時間での操作を行うため、検知してから修正するまでの間に「まだ予期できない場所にエラーが発生してしまう可能性」があることが問題点として挙げられ、「連続量子誤り訂正」はシステムに起きるエラーの種類をあらかじめ仮定しているので、仮定した種類以外のエラーが発生した場合に、誤った「誤り訂正」を行ってしまい、リアルタイムに起きた様々な種類のエラーに対応できないという弱点があります。

手法

本プロジェクトでは上記手法の弱点に着眼し、世界で初めて、稼働中の量子コンピュータに起きうる様々なエラーに迅速に対応し、速やかにシステムを正常に回復する「モデル予測制御を用いたハイブリッド型量子誤り訂正」という手法の提案・開発を行っています。この手法の最大の注目点は、①これから起きうるエラーの種類を予測することです。ただし予測精度を担保するために、古典の制御工学分野で類似した問題に、すでに有効でかつ成熟した「モデル予測制御」という予測技術を採用します。②また、従来の離散手法と連続的手法の長所を機能的に融合しハイブリッド型量子誤り訂正を行います。このように、制御工学で培われてきた現代制御技術を量子計算機の性能向上に直接的に役立てることで、量子コンピュータの実用化に大きく貢献できることが期待されます。

モデル予測制御を用いたハイブリッド型量子誤り訂正

モデル予測制御を用いたハイブリッド型量子誤り訂正

詳細は以下のウェブサイトでご確認ください。