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国立大学法人 電気通信大学

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お知らせ

【ニュースリリース】コロナ禍における新たな入学式のスタイル~CO2濃度の分布をリアルタイムで可視化~

2021年03月29日

国立大学法人電気通信大学(東京都調布市:学長 田野俊一 以下「本学」)は、令和3年4月6日(火)に実施する入学式において、通常の新型コロナウイルス感染症対策に加え、会場内の二酸化炭素(CO2)濃度の分布をリアルタイムに可視化し、より安全安心の確保に向けた新しい入学式を挙行します。

【背景】

新型コロナウイルスの感染拡大予防のためは、「接触」「飛沫」「飛沫核」といった感染経路毎に、複数の対策を講じることが重要とされます。昨今、室内の二酸化炭素(CO2)の濃度を計測・可視化することにより室内の換気状態を良好な状態に保ち、たとえ空気中に「飛沫核」が存在したとしても、これを逸早く排出させる手法が注目されています。
本学はこれまで、調布駅前商店街との共同実証実験により、飲食店・学習塾・スポーツジムなどのCO2濃度を可視化し、環境ナッジ行動を支援してきました(参考リンク1)。また本学の附属図書館内に設置するアクティブラーニングスペース「Ambient Intelligence Agora」では、CO2センサを含む194台の環境センサが常時配置されており(参考リンク2)、そこで蓄積された約3.5年分のビッグデータは室内環境の分析・予測の研究に活用されています。
これらの実証実験で得た小型センシング技術や可視化システムを活用し、来る令和3年4月6日(火)開催の入学式において、20台のCO2センサを使った式場内のCO2濃度分布のリアルタイム可視化を行います。また、令和3年4月1日(木)には無人の式場を使用した予備実験を実施します。

【具体的な内容】

入学式で使用するシステムは、横川慎二教授(i-パワードエネルギー・システム研究センター)、橋山智訓教授(情報学専攻)、石垣陽特任准教授 (情報学専攻)が監修し、美術部の小川深月(Mon)(情報理工学域Ⅲ類(理工系)3年)、横川研究室の川内雄登(情報理工学域I類(情報系)4年)、中里諒(大学院情報理工学研究科情報学専攻博士前期課程1年)らにより、三密の度合いをイラスト化表示してわかりやすく提示するユーザインタフェースを開発します。

また、令和3年4月1日に無人の入学式会場を使用して2,400人分に相当する100kgの固体CO2(ドライアイス)を気化させる予備実験を行うと共に、電通大が独自開発した高精度な風向風速センサによる気流の可視化や、CO2ガスの拡散シミュレーションも実施します。
万が一、CO2濃度の高いエリアが検出された場合には、換気の強化等、室内環境を適応的に改善します。これは、建物等のハードとそれを制御するソフトやセンサが連携する自律進化型基盤「Flexインフラ」(参考リンク3)の考え方に基づくものです。

【期待される効果と今後の予定】

新型コロナウイルスの変異種や第4波への対策が求められる中、多人数が集まる場所では「換気の悪い密閉空間」を避けることが重要とされています。今回の取組みを契機として、入学式や学校行事、あるいは劇場やイベントスペースでの安全安心を支えるため、CO2の測定・可視化が広まり、適切な行動変容(ナッジ)に繋がることが期待されます。

入学式におけるCO2可視化のイメージ(合成写真です)

入学式におけるCO2可視化のイメージ(合成写真です)