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知的財産活動:研究・産学連携

手続の流れ

手続の流れ

発明が生まれたら

まず新しいウィンドウが開きます 発明届出書をご提出下さい。知財マネージャーがご相談に応じ、大学の権利承継の後、学外の特許事務所と発明者との特許打合せ、および権利範囲の設定等、強い特許の取得に力を注いでいきます。特許出願書類が完成した後、特許庁へ特許出願します。

論文発表のタイミングと特許出願(大原則:発表前に特許出願)

原則、論文発表前に発明届出書を知的財産部門にご提出下さい。ただし、差し迫った論文発表などに対処して特許出願を行うためには、新しいウィンドウが開きます 論文発表と特許出願の手引きのページを参照してください。

学内手続→特許取得までの流れ

以下、発明届出→特許取得までの原則的なフローです。
*下記フロー図を印刷する場合は新しいウィンドウが開きます こちら<PDF>

プログラム・データベースの取り扱い

はじめに

大学で作成されたプログラム、データベースがトラブルなく活用されるよう、その取り扱いを定めた新しいウィンドウが開きます 著作物取扱規程が平成24年4月1日に制定されました。これまでにも、学内で作成されたソフトウェアが学外にライセンスされており、ソフトウェアの著作権とそれに関連する特許をセットでライセンスした例もあります。
以下に、本学におけるプログラム、データベース等の著作物の取り扱いを説明します。

なお、文中で不明な著作権法に関する用語については、以下Webサイトを参照ください。

大学で作成される著作物の分類と著作権の帰属

大学で作成される著作物は、プログラム、データベースから、デジタルコンテンツ、著書、論文まで多岐にわたります。新しいウィンドウが開きます 著作物取扱規程では、これらの著作物を下記の表のように、個人著作物、職務関連著作物、職務著作物に分類し、それぞれの著作権の帰属を規定しています。

表 著作物の分類と著作権の帰属

著作物の分類 著作権の帰属
職務著作物 入試問題、教務システム等 著作者・・・大学
著作権者・・・大学
職務関連著作物 下記の条件下で作成したプログラム、データベース

  • 公的研究資金を利用
  • 大学が資金を支援
  • 大学が管理する施設・設備機器を利用
  • 企業と大学が契約を行う共同研究、受託研究等で作成
著作者・・・個人
著作権者・・・個人
ただし、以下の条件に該当する場合には、大学に届け出ていただき、著作権を大学に譲渡
個人著作物 学術論文、個人名義の出版物、報告書 デジタルコンテンツ 著作者・・・個人
著作権者・・・個人

著作物別取り扱い方法

職務著作物

大学の発意及び具体的な指示に基づき、職員等が職務上作成する著作物(例:入試問題、教務システム等)です。著作者、著作権者は、大学になります。

職務関連著作物

学外者に有償で譲渡・貸与・利用許諾する場合
学外者に対して有償でプログラム、データベース(以下、簡単に「ソフトウェア」とします)をライセンスする場合は、通常、以下のような手順になります。

  • (1)学外者から大学(教員)に、ソフトウェアを利用したいと申し出がある。
  • (2)ソフトウェアの利用条件を学外者と協議し、契約を作成・締結。
  • (3)学外者がソフトウェアを利用。

教員個人が有償のライセンス交渉、契約の締結を学外者と行うと、交渉がうまくまとまらず結果として研究に支障をきたす可能性があります。そのため、作成者である教員個人から著作権を大学に譲渡いただき、大学が契約の作成、交渉と締結を行います(著作権を大学に譲渡しても、ソフトウェアの研究および教育目的での利用に何ら制限はかかりません。新しいウィンドウが開きます 大学に著作権を譲渡した場合の利用制限参照)。学内での手続きは以下の通りです。

  • 1.著作物届出書を知的財産部門に提出してください。
  • 2.知的財産評価委員会において、届け出のあった著作物が職務関連著作物であるか否かの認定と、著作権を大学が譲り受けるか否かの決定を行います。
  • 3.大学が著作権を譲り受けることを決定した場合、知的財産部門から教員宛てに通知いたしますので、知的財産部門から送付する権利譲渡書に必要事項を記入の上、知的財産部門に提出してください。
  • 4.大学と学外者でライセンス交渉、契約の作成、締結を行います。

共同研究等で作成し、学外者に無償で譲渡・貸与・利用許諾(共有者間の利用の合意を含む)する場合
共同研究で作成したプログラム、データベース(以下、簡単に「ソフトウェア」とします)を学外者が利用する場合、その手続きは、通常、以下のようになります。

  • (1)企業から共同研究の申し込み。
  • (2)共同研究の契約内容を企業と協議。共同研究で作成するソフトウェアの利用に関する条件を決定。
  • (3)共同研究を実施し、ソフトウェアを作成。
  • (3)共同研究終了後に、共同研究の成果物であるソフトウェアを企業が利用。

共同研究期間中にソフトウェアの作成が予定されている場合、大学と企業が締結する共同研究契約にはソフトウェアの利用についての条項があらかじめ規定されることになります。共同研究終了時にソフトウェアの著作権が作成した教員個人に帰属しますと、共同研究先の企業はソフトウェアの利用に関する契約交渉を教員個人と行うことになります。そうなると、何らかの理由で教員が契約締結に躊躇して、ソフトウェアを利用できなくなるリスクが想定されるため、企業は共同研究契約の締結に難色を示す可能性もあります。
こうした事態を避けるために、「共同研究、受託研究等で作成したソフトウェアが、学外者に有償無償を問わず譲渡・貸与・利用許諾(共有者間の利用の合意を含む)することとなった際には、大学にそのソフトウェアの著作権を譲渡する」という趣旨の研究従事同意書を、共同研究契約等の締結時に提出していただくことになりました。共同研究等の終了時に学外者に利用許諾等行うことになった場合には、大学に著作権を譲渡頂き、大学がソフトウェア利用に関する契約締結を行います。以下に学内手続を示します。

  • 1.研究従事同意書を知的財産部門に提出してください。
  • 2.共同研究等の終了時に、成果物であるソフトウェアを学外者に利用許諾等行うことになった場合は、著作物届出書を知的財産部門に提出してください。
  • 3.知的財産評価委員会において、届け出のあった著作物が職務関連著作物であるか否かの認定と、その著作権を大学が譲り受けるか否かの決定を行います。
  • 4.大学が著作権を譲り受けることを決定した場合、知的財産部門から教員宛てに通知いたしますので、知的財産部門から送付する権利譲渡書に必要事項を記入の上、知的財産部門に提出してください。
  • 5.大学と学外者でライセンス交渉、契約の作成、締結を行います。

なお、ソフトウェアの著作権を大学に譲渡しても、ソフトウェアの研究および教育目的での利用に何ら制限はかかりません(新しいウィンドウが開きます 大学に著作権を譲渡した場合の利用制限参照)。

共同研究、受託研究契約等で、作成した著作物の著作権を大学又は第三者(技術研究組合等)に帰属させる旨の規定がある場合
共同研究や受託研究契約等で、作成した著作物の著作権を大学又は第三者(例えば、技術研究組合等)に帰属させる旨の規定がある場合には、「研究成果物である著作物を作成した時点で、著作権を大学に譲渡する」という趣旨の研究従事同意書を、共同研究契約等の締結時に提出していただくことになりました。以下に学内手続を示します。

  • 1.研究従事同意書を知的財産部門に提出してください。
  • 2.共同研究等の終了時に、著作物届出書を知的財産部門に提出してください。
  • 3.知的財産評価委員会において、届け出のあった著作物が職務関連著作物であるか否かの認定と、その著作権を大学が譲り受けるか否かの決定を行います。
  • 4.大学が著作権を譲り受けることを決定した場合、知的財産部門から教員宛てに通知いたしますので、知的財産部門から送付する権利譲渡書に必要事項を記入の上、知的財産部門に提出してください。
  • 5.共同研究契約や受託研究等に、第三者(例えば、技術研究組合等)に帰属させる旨の規定がある場合には、大学とその第三者で著作権の帰属に関する契約の作成、締結を行います。


個人著作物

学術論文、個人名義の出版物、報告書、デジタルコンテンツです。これらの著作者、著作権者は、作成した個人となります。

大学に著作権を譲渡した場合の利用制限

職務関連著作物が、の著作権の帰属の欄に記載の条件に該当し、著作権を大学に譲渡した場合でも、在職中および退職後も、研究および教育目的での利用に何ら制限は発生しません(新しいウィンドウが開きます 著作物取扱規程第4条2項参照)。

収入があった場合の配分

大学に著作権を譲渡したプログラム、データベースにより大学が利益を得た場合、原則発明の場合と同様に、大学:著作者:研究室=40%:30%:30%で分配することとしますが、著作者からの申し入れにより大学が認める場合には、大学への配分40%を除いた残りの60%について、プログラム、データベースの特性を考慮して、研究室と著作者の配分比を変更できます。

プログラム開発を学外者に委託する場合(注意事項)

大学からソフトウェア開発を企業に発注する場合、著作権の帰属について取り決めを交わさない限り、著作権法上は発注した企業に著作権が発生します。外注により作成したソフトウェアに第三者が興味を示したが、発注先の企業との間でうまく著作権処理ができなかったためライセンスがうまくいかなかった例が実際に発生しています。
大学からソフトウェアを外部に発注する際、作成されるソフトウェアの著作権の帰属に関して契約書に触れずに、契約を交わしてしまうことが多いと思われます。発注の段階でソフトウェアの将来の活用について想像することは難しいかもしれませんが、発注を開始する前に著作権の帰属について明確にしておかないと、ある程度ソフトウェアが完成した段階で著作権の交渉をしても、うまくまとまらないことが多くなります。
外注したソフトウェアを大学が自由に利用するためには、例えば、作成されるソフトウェアの著作権を大学に譲渡してもらい、発注先の企業が著作者人格権を行使しない旨の条項を契約に盛り込む等の対応が必要になります。
新しいウィンドウが開きます (参考)外注済ソフトの著作権譲渡契約書ひな型(資料・アーカイブのページ)

研究室で学生がプログラム、データベース作成に関与する場合

歴代の多くの教員、学生が作成したプログラム、データベース(以下、簡単に「ソフトウェア」とします)は、研究室の共有の資産であり、研究室に配属された学生は、こうしたソフトウェアの作成に携わることにより、研究室にこれまで蓄積された研究成果、知識を習得し、研究を深化させていくことができます。ソフトウェアの作成に携わる学生は、自らこの恩恵を受けると同時に、後輩となる学生に引き継ぎそれを発展させる役割を担うことになります。
研究室で歴代の多くの教員、学生が関与して作成したソフトウェアを学外者にライセンスする場合、誰が作成に関与したか著作者を特定できないため、すべての著作者からライセンスの承諾を得ることができず、結果としてライセンスを断念するという事態が起こり得ます。
ソフトウェアはユーザに使ってもらい、ユーザのニーズ、課題を考慮して改良し続けることにより、更に発展します。そのためには学外のユーザにもライセンスできるよう、上記の著作者特定の問題を解決する必要があります。
こうした事情を考慮し新しいウィンドウが開きます 著作物取扱規程では、以下の内容の同意書をあらかじめ学生に提出してもらうことができるとしています(同意書は知的財産部門に提出)。

教員と学生が共同で作成するソフトウェアが、将来、
学外者に有償で譲渡・貸与・利用許諾する場合
・共同研究等で改変され 学外者に無償で譲渡・貸与・利用許諾する場合
には、教員と学生が共有する著作権のうち、学生の共有持分を大学に譲渡することに同意する

なお、学生が大学に著作権を譲渡したソフトウェアが有償でライセンスされるなどして、大学が利益を得た場合には、著作物活用に対する補償金細則で定める補償金を教員と同様の基準で学生に支払います。

オープンソースで公開する場合

【大学への届出】
  • 作成したソフトウェアをオープンソースで公開する場合、大学に届け出て頂く必要はありません。
【ライセンスの選択】
  • オープンソースのライセンスは非常に多くの種類が存在しますが、よく知られたライセンスの方が、ユーザが安心して使えるため、ソフトウェアの利用促進には有利だと思われます。
  • オープンソースのソフトウェアをいくつか取り込んでソフトウェアを作成し、再度オープンソースで公開する場合、それぞれのオープンソースのライセンス条件が両立しないこともあり得ます。それぞれのオープンソースのソフトウェアを取り込んで作成している段階では問題ないのですが、両立しないソフトウェアを混在させた状態でオープンソースとして公開することはできません。GPLライセンスと他のオープンソースのライセンスとの両立性は下記を参照ください。
  • 一つのソフトウェアを複数のライセンスで配布することも可能です(例:オープンソースのライセンスと商用版のライセンスのデュアルライセンス)。
【著作者の特定】
  • 著作者が特定できないソースコード、著作者の特定はできていても公開に対して著作者の許諾を得ていないソースコード、外注したソースコード、既に第三者にライセンスしているソースコードなどが混在していないか、公開の際に確認する必要があります。

教育機関における著作物の利用等

教育、研究の様々な場面で起きる著作権上の問題に対する対処方法は、以下ウェブサイトにある、キーワード検索やカテゴリー検索を使って、近い事例を参考にしてください。

第三者の著作権の明示

学生は、修士論文や卒業論文の提出期限にあわせて、とにかくプログラムが動作するよう作成しなければならないため、有効と判断できれば第三者が作成したプログラムでも積極的に利用するはずです。他人の論文や著書から文章を引用して論文を作成する際に、著作権法上その出典を明記することが必要であることは、大学で教育されある程度徹底されています。しかし、同じ著作物でありながら、第三者が作成したプログラムを自分のプログラムに取り込む際に、誰が作成したプログラムであるか、その出所をソースコードに明記することはまれでしょう。
第三者がソースコードを公表しているプログラムを取り込んで利用する際には、著作権を放棄したPublic Domain Softwareを除いて、第三者のプログラムのライセンス条項で規定されている利用許諾条件を遵守する必要があります。そのため第三者の著作権が混入したままプログラムを外部にライセンスする場合には、当然ではありますが例えば、第三者のプログラムのライセンス条件がアカデミックユースのみの許諾なら商用利用はできないし、取り込んだ第三者のプログラムがオープンソースによるライセンスであり、かつ、開発したプログラムもオープンソースでライセンスする場合には、両者のライセンスの条件が両立することを確認する必要があります( オープンソースで公開する場合)。研究室で代々継続的に開発が行われているプログラムに、第三者のプログラムであることをソースコードやマニュアル等に明記せず誰かが取り込んでしまうと、次にそのプログラムを引き継いだ者が、外部から取り込んだ部分を前任者が作成したのか、第三者が作成したのか、判断することは困難となってしまいます。こうしてライセンス条件が不明な第三者の著作権がプログラムに混入されることになります。
プログラムを企業にライセンスする際、第三者の著作権を侵害していないことを保証するよう、企業に求められて交渉が難航することがあります。多くの人が開発に携わった場合、上記のように、いつ誰がどこから第三者のプログラムを混入させたか把握することが難しいため、保証を求められても出来ないというのが現状です。第三者のプログラムを利用した場合、ソースコードのコメントなどにそれを明記すれば、ライセンス時にその部分だけピックアップして、修正・代替等で対応することが可能になります。第三者のプログラムがオープンソースの場合には、ソースファイルの先頭に著作権の表示があることが多いので、プログラムに取り込む際にその部分も必ずカットアンドペーストしておけば目印になります。研究室で今後第三者のプログラムを利用して開発する際には、その出典をソースコードにコメント等で明記することを推奨いたします。

ソフトウェアのライセンス

研究室で日々数多くのソフトウェアが開発されていますが、機能改良、テスト、デバックがある程度行われた一部のソフトウェアのみが第三者にライセンスされています。ライセンスされているソフトウェアの内、更に一部のソフトウェアは技術移転機関などを通して有償でライセンスされていますが、それ以外は主に研究室のウェブサイトから非営利目的に限定(営利目的は相談)して無償でライセンスしているか、リポジトリを通してオープンソースとしてライセンスしている事例が多いと思います。また、いくつかのソフトウェアは、無償版(オープンソース、アカデミックユース)と有償版の2本立てでライセンスを実施している例があります(デュアルライセンス)。その場合の無償版の役割としては、
  • アカデミックユースに限定して、研究者が無料で利用できる代わりにバグレポートを義務付けている
  • 市場テスト、信頼性を担保するためにテストを行ってもらっている
など、無償で利用を許諾する代わりに開発の一部を担ってもらうことを期待しているようです。また、無償版と有償版の機能を比較すると、まったく同一な場合もあれば、有償版のほうがGUIなどの使い勝手を充実させている場合もあり、ソフトウェアによってさまざまです。
ソフトウェアをライセンスすると、ユーザからのサポート、メンテナンスへの対応が発生します。ソフトウェアの操作、利用がそれほど困難でないソフトウェアは、研究者が手の空いている時に、その対応を行っていると思われます。また、ビジネスとして成立しうるソフトウェアは、ベンダーと連携してベンダーが有償版を販売し、サービス提供を行っている例もあります。
問題は、ソフトウェアの利用にある程度の熟練が必要であり、かつ、ビジネスとして成立するほどユーザが確保されていないソフトウェアのサポート、メンテナンスをどうすべきか、ということだと思います。こうしたソフトウェアの多くは、実用化のレベルに到達するまで長期にわたる研究開発を必要とし、まずは、企業の研究開発で研究ツールとして利用されるレベルのものがほとんどです。そのため、学会での発表や、研究室のウェブサイト、外部機関のリポジトリを通してソフトウェアの情報発信を行い、共同研究を獲得し、共同研究の範囲内でソフトウェアの機能拡張、共同研究先の企業へのサポート、メンテナンスを行うべきかと思います( 長期にわたる研究開発を必要とするソフトウェア参照)。
なお、研究室のHPやリポジトリでソフトウェアを公開する際に注意すべきことは、HPやリポジトリにはソフトウェア、マニュアルだけでなく、ソフトウェアのデモ、出力結果(画像、動画等)、競合となるソフトウェアとの性能比較などが掲載されていると、ソフトウェアを短期間で評価することができ、ユーザ確保に役立ちます。マニュアルを読みソフトウェアを実際に自分で動かしてみないとソフトウェアを評価できないとなると、忙しい企業の研究者は手を出すことができません。これらのソフトウェアに関する情報・データは、学会発表等で研究成果を発表する際に作成する機会が多いと思われるので、こうした情報も合わせて掲載することはユーザ獲得に非常に効果的であると思われます。

長期にわたる研究開発を必要とするソフトウェア

大学が作成するソフトウェアの中には、実用化のレベルに到達するまで長期にわたる研究開発を必要とするものが多く存在します。こうしたソフトウェアを実用化、商品化するためには、ユーザのニーズを取り込んだ研究開発が必要になります。
研究開発によりソフトウェアを育成するためのモデルの一例を紹介します(下図参照)。
ソフトウェアの想定されるユーザが個人の場合にはある程度ニーズを推測することが可能かもしれませんが、ユーズが企業の場合、企業のニーズを大学の研究者が把握することは困難です。そのため、秘密保持の条項が盛り込まれた契約を交わし、共同研究やコンソーシアムなどを通して企業の研究開発現場で研究ツールとしてまずは使ってもらい、企業のニーズを取り込み研究開発することが、実用化に不可欠となります。
こうしたソフトウェアのファーストユーザは、ある程度経営資源に余裕のある大企業の研究開発部署になります。有望なソフトウェアは、企業からのフィードバックが期待でき、それが新たな研究テーマとなり、共同研究が継続される可能性があります。非競争領域のソフトウェアの場合、コンソーシアムを形成して開発を加速することも考えられます。
大学でよく開発されているシミュレーションのソフトウェアを例に取ると、共同研究のステージでの開発内容は、シミュレーションのモデルを企業の現実の課題に適合させるためのモデルの改良や新たなモデルの考案にあたります。
企業が共同研究を通して大学のソフトウェアを利用する動機は、ソフトウェアの使用を通して企業が抱える課題を解決するための「知恵」が欲しい、市販のソフトウェアでは中身が見えないので出力結果の評価が出来ない、などが挙げられます。
ファーストユーザである企業でソフトウェアの実証が得られると、それを見て2番手の企業が利用することになり、結果としてソフトウェアのコミュニティ(=将来の市場)が形成されることになります。この段階までの共同研究に伴うライセンス契約は、将来商品化の妨げにならないよう権利処理することが目的であり、共同研究による研究開発が継続できるよう、契約交渉には注意が必要となります。
コミュニティを形成する企業、つまり将来の顧客の顔が見えると、商品化を行うリスクが低減されるため、次の段階として(商業ステージ)、研究者が立ち上げたベンチャーや既存のベンダーが商品化を行い、販売・サービス提供を行います。
企業の抱える現実の課題を解決できるレベルまで機能を向上させるためには、ソフトウェアにもよりますが、長期の開発を要します(商品化まで5年から20年程度)。
この育成プロセスを経ずに(企業のニーズを取り込むことなく)、大学で作成したソフトウェアのアイデアが面白いからといって、例えばベンダーが直接商品化しようとしても、いわゆる死の谷に直面しうまくいきません。

その他

  • (新しいウィンドウが開きます)Q&A
  • (新しいウィンドウが開きます)用語辞典