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国立大学法人 電気通信大学

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教員紹介

NICT連携研究室

朝枝 仁 連携教授

  • 所属:国立研究開発法人情報通信研究機構
  • メールアドレス:asaeda@nict.go.jp
  • ウェブサイト:新しいウィンドウが開きます https://www.nict.go.jp/nalab/

研究目的

ネットワークサービスやアプリケーション、通信環境は多様であると同時に常に変化し、インターネット技術は更なる進化と革新を遂げる必要があります。本研究室では、ヒト、センサー、ロボット、アバターなど、あらゆるものが効率的・効果的に情報共有可能なネットワークアーキテクチャの研究を行います。具体的には、情報指向ネットワーク技術と呼ばれるネットワークアーキテクチャをベースとした基礎研究・応用研究や、分散コンピューティングやブロックチェーンに代表される分散台帳技術などを用いた次世代のインターネットアーキテクチャ、超高精細・高品質ストリーミングの研究を行います。

具体的な研究内容

情報指向ネットワーク技術(Information-Centric Networking(ICN))

ICNは、URLのような「コンテンツ名」を情報識別子として用いるコンテンツ中心のネットワークアーキテクチャです。ICNでは、通信経路にある(ルーターなどの)ネットワーク機器がデータ転送時に自律的にキャッシュする「ネットワーク内キャッシュ」を利用し、同じコンテンツが要求された際にはユーザーに直接に(サーバーなどを介さずに)データを転送します。これにより、ユーザーは遠方にあるかもしれないサーバーやクラウドへの接続を課せられることなく、近隣のネットワーク機器から所望のデータを取得することが可能となります。さらに、「コンテンツ名」を用いた通信を行うことで、複数経路による通信(マルチパス)や複数ユーザーへの同時配信(マルチキャスト)と言った高度な通信技術を自然にサポートすることが可能となります。結果として、ユーザーにとっては遅延が少なく高品質な通信が、サービス提供者にとってはコンピューターやネットワーク資源を効率的に利用した省エネルギーな通信が可能となります。
ICNに関する研究テーマとしては、経路制御技術、トランスポート技術、ネットワーク内処理、セキュリティなどがあり、それらの成果をオープンソースのCeforeに実装し、検証していきます。

ICN応用研究(その1):ICN通信を用いた自律型ロボット

人間が操作することなく、自分自身で判断して行動してくれる自律型ロボット(Autonomous Robot(AMR))は、将来の人手不足を解消するために、あるいは人間が活動し難い場所(例えば被災地や危険な場所など)にて活用されることが期待されています。このAMR間の通信にICNを用いることで、サーバーやクラウドを経由することなく、AMR同士が会話しているかのようにリアルタイムで情報交換を行い、システム全体の挙動を決定することが可能となります。この研究では、AMRが通信帯域や使用電力を抑えながらどのようなタイミングで通信を行い、どのような制御を行うべきか、最適なアルゴリズムを発見し、シミュレーションや実機を用いて検証していきます。

ICN応用研究(その2):分散台帳技術(Distributed Ledger Technology(DLT))融合

仮想通貨であるビットコインの取引を記録する管理技術としてブロックチェーンという技術が使われています。このブロックチェーンに代表される分散台帳技術(Distributed Ledger Technology(DLT))には、記録されたデータの改ざんに強く、一部のコンピューターシステムに故障が起こっても全体のシステムは稼働し続けるといった特徴があります。この特徴を生かし、DLTをデータ共有基盤として利用する新しいネットワークアーキテクチャを検討することが出来ます。ここでは、DLTとICNを用いて、ネットワーク内で流通する情報の信頼度を管理し、ユーザー属性に応じた情報提供を行うことで、より安心・安全なネットワークシステムを構築するためのネットワークアーキテクチャを検討します。

教員からのメッセージ

私が本務とする(国研)情報通信研究機構(NICT)は情報通信分野を専門とする我が国唯一の公的研究機関です。当研究室に所属した学生さんは、必要に応じてNICT本部(https://www.nict.go.jp/about/hq.html)にある私の研究室を訪問していただき、最先端の技術に触れながら、研究や開発、実証実験を行ってもらいます。学会発表や国内外の研究者との交流も通じ、一緒に幅広い研究活動が行えることを期待しております。

参考文献・参考実装

〔1〕朝枝仁, “オープンソースCeforeがもたらす新しいネットワークサービスの可能性”, 電子情報通信学会誌, 解説論文, Vol.104, No.4, pp.346-353, 2021年4月.
新しいウィンドウが開きます https://app.journal.ieice.org/trial/104_4/k104_4_346/index.html
〔2〕Hitoshi Asaeda, et al., “Cefore: Software Platform Enabling Content-Centric Networking and Beyond”, IEICE Trans. Commun., Vol.E102-B, No.9, pp.1792-1803, September 2019.
新しいウィンドウが開きます https://search.ieice.org/bin/pdf_link.php?category=B&lang=E&year=2019&fname=e102-b_9_1792&abst=
〔3〕 “Cefore”,新しいウィンドウが開きます https://cefore.net