私の大学時代の夢は、“ドラえもんのようなロボットをつくること”でした。その実現に向けて、大学では、視覚認識やロボットの動作学習の研究に取り組みました。現在はIBMにて、同じ夢に向けて、画像処理や人工知能の基礎研究、公共機関へのAI導入および研究開発を行っています。
現在の私の研究目的は、「現実社会で本当に使えるAI」の実現です。例えば、限られたデータやバイアスのあるデータからでも学習できるAI、そして判断根拠を人が理解できる説明可能なAIの研究に注力しています。未来の社会を支えるAI技術を、現場のニーズと結びつけながら、日々研究開発しています。
IBMでは、現実社会で本当に使えるAIの実現を目的に、医療や、ゲーム、地理空間などの多様な分野にAI技術を応用しています。例えば、ラベル付きデータの取得が難しい医療現場における画像解析〔1〕や、報酬がなくても学習できる強化学習〔2〕、判断の理由を説明できる強化学習の設計〔3、4〕など、理論と実践の両面から研究を進めています。また、地域ごとの特徴や偏りを含む衛星画像を対象にした大規模基盤モデルの開発〔5、6〕にも携わってきました。現実社会での課題と向き合いながら研究を進めています。
〔1〕D. Kimura, S. Chaudhury, M. Narita, A. Munawar, and R. Tachibana, "Adversarial Discriminative Attention for Robust Anomaly Detection", WACV 2020.
〔2〕D. Kimura, S. Chaudhury, R. Tachibana, and S. Dasgupta, "Internal Model from Observations for Reward Shaping", AAAI-RLG 2019.
〔3〕D. Kimura, S. Chaudhury, M. Ono, M. Tatsubori, D. Agravante, A. Munawar, A. Wachi, R. Kohita, and A. Gray, "LOA: Logical Optimal Actions for Text-based Interaction Games", ACL 2021.
〔4〕D. Kimura, M. Ono, S. Chaudhury, R. Kohita, A. Wachi, D. Agravante, M. Tatsubori, A. Munawar, and A. Gray, "Neuro-Symbolic Reinforcement Learning with First-Order Logic", EMNLP 2021.
〔5〕 J. Jakubik, S. Roy, C. Phillips, P. Fraccaro, D. Godwin, B. Zadrozny, D. Szwarcman, C. Gomes, G. Nyirjesy, B. Edwards, D. Kimura, N. Simumba, L. Chu, and et al., "Foundation Models for Generalist Geospatial Artificial Intelligence", Arxiv 2023.
〔6〕D. Kimura, T. Ishikawa, M. Mitsugi, Y. Kitakoshi, T. Tanaka, N. Simumba, K. Tanaka, H. Wakabayashi, M. Sampei, and M. Tatsubori, "SAR2NDVI: Pre-training for SAR-to-NDVI Image Translation", ICASSP 2024.
現在、私は、官公庁(〇〇省など)や病院など、様々な現場の方々と日々やり取りをしています。その中で見えてくる「現場の課題」を、どうAIで解決できるかを常に考えています。そのような活動に興味のある方、是非ともご連絡ください。
そして研究を進めていく上では、失敗を恐れずに、たくさん挑戦することが大切です。最初からうまくいくことは稀です。私自身も何度も失敗し、論文がRejectされたことも数えきれません。でも、挑戦し続ける中で、面白い発見や成長が必ず待っています。初めから完璧を求めすぎずに、仲間や私などと議論をしながら、手を動かして実験していくのが良い方針だと思っております。